前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
だったら」が生まれる授業を!
「だったら」を生み出す4つのポイント 4年「変わり方調べ」の実践をもとに

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 1、は じ め に
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 問題が解決した後、「だったら…」が生まれてくるような授業をしたいと思っている。
 答えが出たことに満足せず、新たな問いが生まれていく授業である。

 それでは「だったら…」と問題を発展させて考える子に育てるには、どうすればよいのだろうか。
 4年「変わり方調べ」の実践をもとに、
 「だったら」を生み出す4つのポイントについて考えていきたい。



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2、「だったら」を生み出す4つのポイント
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(1)「だったら」のおいしさを味わわせる!



 ポイント@
 教師が「だったら…」を使ってみせる

 ポイントA 「だったら…」を使う子を褒める


 「だったら」を生み出すために大切なのは、
 まず、「だったら」と考える楽しさを味わわせることである。
 最初のうちは、教師から「だったら」を提示してみせるのもいいと思う。

 例えば、次のような問題を解いたとする。


問題:
三角形の数を増やしていった時、まわりの長さはどう変わる?



答え:1pずつ増えていく

 
三角形の数
まわりの長さ



 こんな問題を解いた後に
「だったら、三角形じゃなくて、四角形ならどうなると思う?」
と問い掛けてみては、どうだろうか。



 調べてみると、四角形なら2pずつ増えていくことが分かる。

四角形の数  
まわりの長さ 10


 さらに「だったら、五角形なら…?」「六角形なら…?」と考えていっても面白い。
5角形は3pずつ、六角形は4pずつ…と増えていくのが分かる。

n角形 
増え方

 最初から子どもの中から「だったら」という声が生まれてくることは難しい。
 最初のうちは、教師が「だったら…」を提示してみせてもいいだろう。
 まずは「だったら…」と考える楽しさを味わわせることが大切である。

 そんな授業を繰り返すうちに、子どもから「だったら…」というつぶやきが聞こえ出す。
 そうなれば、しめたものである。そんなつぶやきを、うんと褒めてやればいいのである。
 他の子も「だったら…」を使って考えるようになっていく。

(2)「だったら」を仕組む!

 子どもが「だったら」と言い出すのを受け身で待っているだけでなく、
 「だったら」が生まれるように授業を仕組むことも必要であろう。

 子どもが「だったら」と考えたくなるような教材を仕組み、
 子どもから生まれた「だったら」を生かして授業を展開するのである。


ポイントB 「だったら…」が生まれる教材を仕組む

ポイントC 「だったら…」を生かす授業を仕組む


@ 条件不足の課題提示で「だったら…」を生み出す

 4年「変わり方調べ」の学習の発展として、次のような問題を扱った。
 
<ツーショット写真!パシャリは何回?>

問題: □人がツーショット写真を撮る組み合わせは何通りあるでしょう。


 まず、A、B、C、3人がツーショット写真を撮る場合を考えた。
 組み合わせは、AとB、BとC、CとAの3通りになった。

 続いて、A、B、C、D、4人の場合を考えた。
 AB、AC、AD、BC、BD、CDで6通りになった。

 子どもたちは、「だったら、5人なら…」と考え始めた。
 5人だと一体何回になるのだろうか。
 これが本時の課題である。



 子供たちの予想は、「9回」や「12回」というのが多かった。
 「3人から4人になると3回増えた。5人になると、もう3回増えて9回」
 「3人から4人になると2倍になった。5人になると、もう2倍になって12回」
 という理由である。

 しかし、ある子が
 「両方とも、おかしいよ」と手を挙げた。
 「だって、2人の時は1回、1人の時は0回でしょ」と発言。
 1人や2人の場合を考えると、「3ずつ増える」「2倍ずつ増える」というきまりは成り立たないというのである。



 この発言に、「あれ?」と教室がざわつきだした。
 なにしろ、予想が見事にくつがえされたのである。
 子供たちは、「5人だと何回になるの?」とノートに図をかいて確かめた。
 5人だと10回になることを確認した子どもたちは、「え、10回!?一体どんなきまりがあるの?」と考えていった。
 やがて、増え方に着目し「1回、2回、3回、4回ずつ増えていっている」というきまりを発見した。



 さて、5人の場合を考えるのが、本時の課題であった。
 10回という答えが出て、課題は解決したわけである。
 しかし、子どもの追究はまだ続いた。
 子どもたちは、
 「だったら、6人だと15回になるはずだ」「7人だと…」と調べていった。
 対応する値の組を増やして、自分の見つけたきまりを確かめようとしていったのである。

 実は、本時の課題には仕掛けがあった。
 あえて条件不足の課題を提示したのである。
 本来、変化の様子を調べるには、対応する値の組が3組以上必要である。
 しかし「3人なら3回」「4人なら6回」と、あえて対応する値の組を2組だけ提示した。
 そうすることで、対応する値の組をもっと増やして確かめようとする姿を引きだしたのである。










A 「だったら」を生かして、表を縦に見たきまりに気付かせる


 「だったら6人だと…」「7人だと…」と考えていった子どもたち。
 そのうちに「だったら、40人だと何回になるかな」という声が聞こえてきた。

 その「だったら…」を生かして、次の日、
「ようし、今度は40人で撮ったら何回になるか考えてみよう」
と子供たちに投げかけた。
40人というのは、本学級の人数である。
丁度、もうすぐクラス替えを迎える時期であった。
記念に2人ずつで写真を撮ろうともちかけたのである。

 子供たちから「えっ40人…!?」「40人の場合を求めるのは、大変だよ」という声があがった。
「昨日のように、3人、4人、5人…と順番に調べていく時はいいけど、40人の場合を調べる時には、1+2+3+…+38+39と、いちいち足してゆくのが面倒になる」というのである。
 そして「だったら、回数が簡単に分かるようなきまりを考えていこうよ」という意見が出てきた。
 「回数が簡単に分かるきまりを考えよう」という新たな課題が生まれたのである。




 その後、回数が簡単に分かるきまりを考え、子どもたちは「回数=(人数−1)×人数÷2」という公式を発見していった。


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 3、お わ り に
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 問題を解決する授業の終わりには、何があればよいか。
 私は、「だったら…」というつぶやきがあってほしいと思う。
 「なるほど!」の後に「だったら…」と発展していく。
 そんな授業を目指していきたい。
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