前田の算数

算 数 以 外 の  実 践 事 例
3年理科「理科開き」
理科との出会いを、ティッシュペーパーで演出!

 4月。
 3年生にとっては、初めての理科。
 子供たちは、「理科ってどんな教科だろう」と胸をわくわくさせていることだろう。
 理科と出会いは、楽しく演出したいものである。

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1、ティッシュペーパーの秘密
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 普段、何気なく使っているティッシュペーパー。
 しかし、実は、ティッシュペーパーには、面白い秘密がある。
 繊維の向きが決まっていて、縦方向と横方向とでは、強度が違うのである。
 その秘密を利用して、次のような面白い実験ができる。


①ティッシュペーパーを、4枚ずつ、重ねて、細く折りたたむ。
 ただし、1つは、縦方向に、折りたたみ、もう1つは、横方向に、折りたたむ。
②細く折りたたんだティッシュペーパーの両端を引っ張る。
 片方は、すぐにちぎれるが、もう片方は、なかなかちぎれない。




 この実験に、遊び心を加えて理科開きをおこなった。
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2、授 業 の 実 際
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「力くらべをするよ。」
と言って、男の子と女の子、1人ずつ出てきてもらった。

「よーいどんでティッシュを引っ張ってね。
 先にちぎれた方が勝ちだよ。」
 そう言って、二人に、ティッシュを渡した。
 しかし、実は…、ここに仕掛けがある。
 女の子に渡すティッシュは、縦に折ってあってちぎれやすいのだが、男の子に渡したティッシュは、横に折ってあってちぎれにくいのだ。したがって、当然、女の子が勝つ。メンバーを替えながら、何度も対決するが、やっぱり、女の子ばかりが勝つという仕掛けである。

 最初のうちは、力自慢の男子の、くやしそうな表情に、教室はわっと盛り上がった。
 しかし、何度も繰り返すうちに、子供たちは「何かあやしいぞ」と、真剣な目で観察し始めた。
 そして、
「そうっとひっぱった方がちぎれやすいんじゃないか」
「本当に両方4枚あるのか」
「男の子に渡すのと女の子に渡すのが、違ったティッシュなんじゃないか」
などと、ざわつき始めた。
 子供たちの、そんな「ものの見方」を、理科において大切にしたい。

 「おかしいなって思う心、それが、理科なんだよ。」

 「じっくりと観察する目、それが、理科なんだよ。」

と、ほめていった。

 さて、ここでは、すぐに仕掛けがばれてしまっては、面白くない。
「じゃあ、男子もそうっとひっぱってごらん」
「4枚かどうか確認してごらん」
「好きな方を選んでごらん。選んだら先生が折るね」
などと、原因がそこにはないことを1つ1つ確かめながら、授業を進めた。

 そのうちに、子供たちは、
「男の子と女の子では折り方が違うんじゃないか。」
と気付き始めた。そして、
「僕にも、折らせてよ。」
と言い出した。
そうなれば、しめたものである。

「理科では、はてなと思ったことを、実際に試していきます。
 これを、実験といいます。」

 そう説明して、グループに1箱ずつティッシュを配った。
 子供たちは「ああでもない」「こうでもない」と実験を楽しみ、ティッシュの秘密に気付いていった。
 謎が解決したところで、

「理科では、はてなと思う心、じっくりと観察する目が大切です。
 心と目を使って、これから楽しく学習していきましょうね。」

と言って、授業を終えた。

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