前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
5年 「偶数と奇数」  アルゴリズムたいそう!振る?しゃがむ?
本質を見極める!

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 1、は じ め に
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本質を見極める!
「あまりによって整数を類別する学習」と捉える!

“学習内容”ばかりでなく、その“本質”に目を向けて授業をしたいなと思う。

例えば「偶数と奇数」の学習なら、「偶数は2で割り切れる整数で、奇数は2で割って1余る数という内容を教えよう」と思うより、「あまりによって整数を類別することにより、整数の見方を深めよう」と思って授業をする方が、授業のアイディアが楽しく広がっていく。

整数は、2でわった場合には、あまりによって偶数と奇数に類別できる。
 この「2でわって」のかわりに「3でわって」「4でわって」と置き換えれば、考えを発展させることができる。
 例えば3でわった場合、
{1、4、7…}はあまりが1の仲間。
{2、5、8…}はあまりが2の仲間。
{3、6、9…}はあまりがない仲間と、3つの仲間に類別することができる。
 そんな見方でカレンダーを見てみるのも面白い。
月曜日は「7で割ったあまりが1の仲間」。
火曜日は「あまりが2の仲間」というふうに見えてくる。

このような整数を類別する見方が、その後の「倍数と約数」の学習へとつながっていく。




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 2、 教 材 に つ い て
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アルゴリズムたいそう! 振る? しゃがむ?

NHKの「ピタゴラスイッチ」という番組に「アルゴリズムたいそう」という面白い体操がある。
 「♪手を横に、あら危ない…」というメロディーに合わせて、手を横に振る人と、しゃがんでよける人に分かれて踊る体操である。
 この「アルゴリズムたいそう」を教材に用いて授業を行った。


 「しゃがむ人、振る人、しゃがむ人、振る人…」と交互に並んでいき、20番目の人はどんな動作になるかというのが課題である。
 しゃがむ人は{1、3、5…}番目の人。
 振る人は{2、4、6…}番目の人。
 20番目まで調べてみなくても、20を2で割ってみれば、あまりがないので振る人だと分かる。



 さらに問題を発展させて「しゃがむ、振る、しゃがむ、しゃがむ、振る、しゃがむ…」という振り付けにしたらどうだろう。
 {1、4、7…}など、3でわったあまりが1の人はしゃがむ。
 {2、5、8…}などあまりが2の人は振る。
 {3、6、9…}などあまりがない人はしゃがむということになる。
 20を3でわるとあまりが2なので、20番目は振る人だと分かる。



 このように「アルゴリズムたいそう」の振り付けを考えながら、整数の見方を深めていった。
















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 3、 指 導 略 案 
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 アルゴリズムたいそうを踊る。出席番号順に、1番はしゃがむ、2番は振る…と2つの動作に分けた時、20番目の人はどんな動作になるのかを考える。


・全部調べて‘振る’だと判断する

・(しゃがむ、振る)を1組にして、10組あるから‘振る’だと判断する。
20÷2=10という式から、あまりがないので‘振る’だと判断する。


 振るのはどんな数の人で、しゃがむのはどんな数の人なのかを考え、説明する。

<振る>
・振る {2、4、6、8…18、20}
・振るのは、2でわり切れる数の人。
・16=2×8
<しゃがむ>
・しゃがむ {1、3、5、7…17、19}
・しゃがむのは2でわり切れない数の人
・17=2×8+1


 動作を変えて問題を発展させる。1番はしゃがむ、2番は振る、3番はしゃがむ…としたらどうなるかを考える。



 学習を振り返る。

・整数は、割り算をしたあまりの数によって仲間に分けることができる。


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 4、 指 導 の 実 際 
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(1)偶数と奇数

「アルゴリズムたいそう」のビデオを見せるところから授業が始まった。
何が始まるのか、子どもたちの顔は興味津々になる。
「♪手を横に、あら危ない」の部分を踊ることを伝え、出席番号1〜6番の人に前へ出てきてもらった。
1番の人にしゃがんでもらい、2番の人に振ってもらい、3番の人にしゃがんでもらい…。
この辺までくると、子どもたちから「次の人は‘振る’だ」「その次は‘しゃがむ’だ」と予想の声が聞こえ出した。



そんな子どもたちに
「20番目の人はどっちになるかな?」
と問いかけた。
ほとんどの子の手が挙がり、「振る!」と答えた。

そこで、
「やってみないのに、なぜ分かったの?」
と、さらに問いかけた。
本当に分かっているかを確かめたい時には、子どもたちに説明させるのがよい。


 子ども: 「2、4、6…と2とびになってて、続きに20がくるから」

 教師:  「どうして、続きに20が来ると分かったの?」

 子ども: 「偶数だから」

 教師:  「偶数って何?」

 子ども: 「2でわってあまりがない数。」

 子ども: 「式で表すと、20÷2=10になる。」

 教師:  「ところで、その2ってどこから出てきた数?」

 子ども: 「えっと…???」


こうして問いかけが進んでいくうちに、子どもたちの答えが少々曖昧になってきた。
ここでのポイントは「」という数である。「」という数の意味について考えていきたい。
って何なのか、図で表してごらん」
そう助言すると、一人の子どもが前に出てきて、黒板に貼ってある図を2人ずつ囲んでいった。
そして、
2人ずつで1セットになっている。」
「だから、2で割り切れる人は振る人。2人セットからあまる人はしゃがむことになる」
と説明した。



式に出来てた「」という数について、言葉で説明させ、図に表させる。
「式」と「言葉」と「図」、この3つを関連させることで、子どもの理解は深まっていく。

こうして「2」の意味が理解できたところで、「偶数」「奇数」という用語を確認した。
1から20までの数を、偶数と奇数に仲間分けし、実際に20人並んで踊ってみた。


 




(2)発展

さて、ここからが、いよいよ本題である。
「今度の踊りは先生のオリジナルの動きだよ。」
そう言うと、
「♪手を横に、あら危ない」のリズムに合わせて、両手をぶんと振ってみせた。

きょとんとした顔で見つめる子どもたち。
そこで、出席番号1〜6番の子に前に出てきてもらって説明することにした。
1番の子はしゃがむ、2番の子は両手を振る、3番の子はしゃがむ、4番の子もしゃがむ…。
そうやって例を示すうちに、だんだん
「なるほど!」「そういうことか…!」
というつぶやきが聞かれ始めた。
振る人の両端の人がしゃがむというルールで並んでいるのである。



「20番目の人は、しゃがむと振る、どっちになるかな?」と問いかけた。
今度の課題は、なかなか難しい。
少し考える時間を与えることにした。

ここでのポイントは、前の考え方を発展させて考えることである。
「さっきは2でわったあまりによって仲間わけしましたね。さっきの考え方を使ってごらん」
とアドバイスを加えた。

分かった子に説明してもらった。
「さっきは2人ずつでセットだったけど、今度は3人ずつでセットになっている」
「今度は3でわると分かる」
「20÷3をすると2あまる。3でわったあまりが、2の人は振る人になっている」
などと、子どもたちは前の考え方を活かして説明していった。



こうして、3の意味が分かったところで、実際にみんなで踊って授業を終えた。

















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 5、 お わ り に 
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「偶数と奇数」の学習。その本質は「あまりによって整数を類別する見方」である。本質を見つめると、発展の姿が広がっていく。


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