前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
4年 垂直・平行と四角形
対角線から四角形をつくる

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 1、は じ め に
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 子供にとって、様々な四角形の対角線の特徴を調べる経験はあっても、対角線から四角形をつくるという経験はあまりない。
 本実線では下図のような教具を使って、対角線から四角形を作る活動を行った。
 経験したことのない活動に、子どもは予想外の結果と出会う。
 新たな発見が生まれる楽しい活動となった。


自作教材
(対角線マシーン)

鉄の棒を真ん中で固定し、その周りに輪ゴムをかける。
鉄の棒を対角線に、輪ゴムを辺に見立てて、四角形をつくる.。

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 2、授業の実際
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★☆ いろんな四角形ができるよ!

 対角線の学習をした次の日の授業。

 授業の始めに、赤と青、2本の棒を提示した。
 2本の棒を交差させ、「四角形が見えるかな。」と問いかけた。
 四角形なんて、どこにもない。
 最初はきょとんとしていた子供たちだったが、徐々に「分かった。」「そういうことか。」というつぶやきが聞こえてきだした。
 2本の棒を対角線と見立てると、四角形がみえてくるのである。

 棒の角度や長さを変えて子供たちに見せると、子供たちの頭の中には、様々な四角形が出来上がる。
 対角線の交わる角度や長さによって、いろいろな四角形ができることを確認し、
「2本の対角線でいろいろな種類の四角形を作ろう。」と投げかけた。
 ここで、対角線の長さや角度を自由に変えることができる教具、名付けて「対角線マシーン」を提示した。
 様々な対角線の交わり方を試す時間を設けると、子供たちは、平行四辺形、ひし形、長方形、正方形など様々な形を作っていった。
 「対角線を 〜 すると、○○形になったよ!」という発見の連続に、子供たちは夢中になって活動した。


★☆ 長方形にならないの?

 しばらく活動の時間をとった後、全体で話し合う場を設けた。
「平行四辺形は作れたかな。」と尋ねると、
子どもたちは「そんなの簡単だよ。」と、作った平行四辺形やその作り方を次々に紹介していった。
 対角線が真ん中で交わるようにすれば平行四辺形ができるのである。

 平行四辺形の作り方を確認したところで、子供たちに次のように問いかけた。

平行四辺形ができたよ。

 前の学習では、長方形をつぶした形が平行四辺形だと言っていましたね。
だったら、平行四辺形の対角線の角度を変えていくと長方形になるはずですよ…ね。

 うんうんとうなずく子もいれば、「そんなはずないよ。」と言う子もいて、教室がざわめき始めた。



平行四辺形の角度を変えると
長方形になったよ。

 「それでは、試してみますよ。」と言って、実物投影機に教具を映し出した。
 平行四辺形の対角線の交わる角を、少しずつ90度に近づけていく。
 少しずつ形が変わっていく平行四辺形を見ながら、
「やっぱり、なりそう…。」「あれ、やっぱりおかしいかも…。」といったつぶやきが聞こえてきた。
 ここでは、最後まで動かして答えを出してしまう前にストップした。
 各自で教具を使って確かめてみるようにしたのである。



角度を変えると、
長方形になるかな?

★☆ あれ?ひし形になったよ!

 実際に試してみると、いくら動かしても長方形にはならない。
 「そのかわり、ひし形になったよ。」
 という驚きの声が、次々に聞こえてきた。
 平行四辺形がひし形に変身するって、本当なのだろうか。
 実物投影機に教具を映し、みんなで確かめてみることにした。

 「ひし形になったら、“はい”と言ってね。」
 そう言って、少しずつ対角線の交わる角度を変えていく。
 子供たちは、真剣に教具を見つめ「はいっ。」というタイミングを伺う。
 ところが、ここで、ちょっぴり意地悪をした。もうちょっとでひし形になりそうな所で、急にスピードを上げたのである。
 子供たちは「はいっ。」と言いそびれ、
「速すぎるよ。」「もっと、ゆっくり動かして。」とブーイングである。

 「じゃあ、どこで止めたらいいの。」そう尋ねると、 「90度のところで止めて。」という答えが返ってきた。
 意地悪をしたことで、子供が、ひし形になる条件を言葉で語り出したのである。
 子供たちは、
「対角線が、真ん中で垂直に交わった時、ひし形になるんだよ。」
と説明していった。

 また、説明する中で、さらに、次のような気付きの発言も聞かれた。
「逆に言うと、真ん中で交わるけど90度にならないのが平行四辺形だよ。」
「ひし形は平行四辺形の特別な形なんだね。前にも、そう学習したよ。」
 ひし形と平行四辺形の関係に着目した発言である。


あれ、ひし形になったよ

★☆ 他の四角形はどんな関係になっているかな?

 平行四辺形の対角線の交わる角を90度にすると、ひし形になってしまう。
 では、長方形は、どうやったら作れるのだろうか。
 子供たちに、「対角線がどんな時、長方形になるのか。」問い掛けた。

 子供たちは、試行錯誤しながら
「2本の対角線の長さを等しくしたら、長方形になるよ。」
「交点から4つの頂点までの長さを全部同じにしたら、長方形になるよ。」
と、発見していった。


対角線の長さを同じにしたら
長方形に!

 平行四辺形、ひし形、長方形ができれば、残るは正方形である。
 対角線がどんな時に正方形になるのか、子供たちに問いかけた。
「長方形の対角線を90度にすると正方形になるよ。」
「言い替えると、対角線の長さが等しく、真ん中で垂直に交わる時が、正方形。」
と、子供たちは発見していった。
「つまり、全ての条件を満たす時に正方形になるんだね。」
とある子が言い、みんなも納得した。


さらに垂直にしたら、
正方形に!


★☆ 同じ関係になってるよ!

 子供たちの発言をまとめ、「長方形→(垂直)→正方形」と板書した。すると、
「長方形からじゃなくて、ひし形から正方形にすることもできるよ。」
という声があがった。
「ひし形の2本の対角線を同じ長さにすると、正方形になる。」
というのである。

 そこで、「ひし形→(同じ長さ)→正方形」と板書に書き加えた。
 黒板には、下のような関係が浮かび上がる。



 黒板を使って、学習をまとめていると、子供たちから、
「掲示してある図と同じだ。」
という声が聞こえ出した。
 この“掲示してある図”というのは、辺や角について学習した際に、四角形相互の関係をまとめた図のことである。(下図)



 その図をあえて教室の前に目立つように掲示しておいた。
 そして、その図と同じような構成で板書することで、掲示と板書がリンクするように仕組んでおいたのである。

 子供たちからは、
「平行四辺形の特別な形が長方形、平行四辺形の特別な形がひし形、長方形の特別な形が正方形、ひし形の特別な形が正方形っていう関係は、どちらも同じだよ。」
「平行四辺形から始まって、辺や対角線を90度にしたり長さを等しくしたりしていくと、最後は必ず正方形に辿り着くっていう関係が同じだよ。」
などの意見が出てきた。

 対角線から見た関係性が、辺や角から見た関係性と“同じ”であることに気付いたのである。


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 3、お わ り に
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 「四角形から対角線の特徴を調べる」のではなく、
 「対角線から四角形をつくる」という活動を行った。

 こうして、少し視点を変えるだけで、様々な発見が生まれる。

 子どもたちは、四角形相互の関係は、辺や頂点から見た関係性も
 対角線から見た関係性も、同じであることに気付いていった。

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