前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
3年 そろばん
そろばんの授業、発想転換!!
そろばん教えるのではなく、そろばん教える

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 発想転換@ そろばん教える
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 そろばんの授業は、年間たった3〜4時間程しかない。
 たったそれだけの時間で、そろばんの技能を習熟させようと思うと苦しくなる。
 そこで、提案したい。
 「そろばんを教える」という発想から、
 「そろばんで、数の感覚を豊かにす
という発想に転換してみてはどうだろうか。

 そう考えれば、気持ちがうんと楽になる。
 「はり」「けた」「わく」などの用語を覚えさせることに目くじらを立てる必要もない。
 日本の文化として紹介する程度でいいのではないだろうか。

 初めて「そろばん」と出合う子にとっては、真新しいことが多すぎると負担になってしまう。
 簡単に言い替えられる言葉は、なるべく簡単な言葉に直して使っていきたい。
 例えば、「ご破算」なら「玉を戻しましょう」と、
 「定位点」なら「○○の位を表す点」といったように言い替える。
 それだけで、子どもにとっての負担が少なくなる。



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 発想転換A おはじきのイメージで
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 初めてそろばんを学習する子の中には、
「そろばんって難しそう」
と感じている子もいるだろう。
 そんな子には、
「これまでに使ってきたおはじきと一緒ですよ」
と言ってあげたい。
 ちょっとイメージを転換するだけで、そろばんへの抵抗が少なくなる。

 子供たちは、おはじきを操作しながら計算の学習をしてきている。
 例えば、12+31なら、十の位のお部屋におはじきを1個並べて、一の位のお部屋におはじきを2個並べる。次に十の位のお部屋に3個、一の位に1個おはじきを並べる。合計すると、十の位に4個一の位に3個あるから43といった操作をしてきた。

 そろばんも、それと同じことをしているのである。
 ただ、おはじきを出し入れするかわりに、玉を動かしたり戻したりするだけのことである。
 むしろ、そろばんを使うことで、おはじきのようにいちいち箱から出し入れしなくてすみ、作業が楽になるのである。

 歴史的にみても、昔は、土の上に石を置いて計算していた。
 それをより簡単に扱えるようにしたのがそろばんである。
 そろばんも、石やおはじきを置くのと同じだと思えば、簡単に感じられる。


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 発想転換B 5円玉がささっているイメージで
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 こうして、用語や用具に対する抵抗をなくした上で、算数的な抵抗について考えてみたい。

 算数的に見て、そろばんがこれまでの計算と1番違うところは、5の合成分解を使って計算することである。
 それが、そろばんの学習で1番難しいところでもあり、1番大切なところでもある。

 理解しづらい子には、1円玉、5円玉、10円玉、50円玉が串にささっているイメージを持たせてみてはどうだろうか。
 ちょっとしたイメージの転換で、理解しやすくなる。



お金で作ったそろばん
<例「64+23>

 例えば、「64+23」なら、そろばん君から64円と23円をもらうと考える。

 まず最初に、そろばん君から64円もらう。
 これは、簡単にできる。

 次に、23円もらいたいのだが、ここで困ったことがおきる。
 10円玉は2枚あるのだが、1円玉は3枚もないのである。

 そんな時にどうすればよいかを、子供たちに考えさせたい。


そろばんくんから


63円もらった。

あと23円ほしいけど、
1円玉が3枚もないよ…。


 お金に例えて考えると考えやすい。
 3円をもらうには、そろばん君から5円をもらって2円を返せばよいのである。

 つまり、

 @23円もらうには



 A25円(10円玉2枚と5円玉1枚)もらって、



 B2円(1円玉2枚)返す。


ということである。


 このように、まずは、お金に置き換えて考えてみる。
 そして、その後でその操作をそろばんでやってみると理解しやすい。

 そろばんを習っていない子にとっては、お金に置き換えることで考えやすくなる。
 また、そろばんを習っている子にとっても、新たな学びが生まれる。
 自分が普段そろばんでやっている操作を、お金に置き換えて考えることで、操作の意味が分かるのである。




★☆ おわりに

そろばん教えるのではなく、そろばん教える。

5の合成分解を使った計算の仕方について考え、

数の感覚を豊かにする学習だと捉えたい。

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