前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
2年2年「ひき算のひっ算」
筆算の単元。時には、面白問題を!
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 時には面白問題を!
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筆算のよいところ。
それは、どんな数が来ても、機械的に操作していけば、答えに辿り着くところである。
しかし、逆に考えれば、何も考えずに、機械的に操作だけする子が育つという怖さがある。

筆算の単元では、時々、“考える楽しさ”を味わえるような授業を挟んでやりたい。
例えば、次のような穴埋め問題である。
空欄の中に1~4の数字を1回ずつ入れて、1番小きな答えをつくる。

  

この問題は、筋道を立てて考えないと難しい。
子どもは夢中になって取り組む。


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 第1問 1番大きな答えをつくろう
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第1問は、1から4の数字を1回ずつ使って足し算をして、1番大きな答えをつくる問題である。


  

 <ルール>
 ・ □の中に1~4の数字を入れる。
 ・ 4つの数字を1回ずつ使う。
 ・ 1番大きな答えをつくる。

まずは、自力解決の時間をとった。

こうした問題は、解く時間に個人差が出る。
早い子は、問題が出されてすぐに「できた!」「73だ!」という声を挙げた。
遅い子は、

そんな時には、子どもたちのノートを見てまわりながら、
「おや、同じ答えでも、違った筆算の人がいますよ」
と大きな声で、つぶやいてみせる。
すると、答えが分かって安心していた子も、他の筆算を探して動き出すのである。

しばらくたったところで、できた答えと筆算を発表してもらった。
答えは、73。
作り方は、次の4種類である。



4種類の答えが出そろったところで、
「これ以上大きい答えは、ない?」
「ほんとに?」
「絶対に?」

と子どもたちに問い掛けた。

子どもたちは、
「ほんとに?」「絶対に?」と尋ねられると、
「だって…」と、その根拠を語り出す。

「だって、十の位に大きな数字を入れ方が、答えが大きくなるんだよ」
と、ある子が発言した。
問題に秘められたカラクリに目を向けていったのである。



数の大小を比べる際、上の位から見ていくことは、十進位取り記数法の大切な考えである。
十のくらいから かんがえる」と赤で板書した。
実は、このことが、第2問のヒントにつながる。



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 第2問 1番小さな答えをつくろう
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第2問は、1から4の数字を1回ずつ使って引き算をして、1番小さな答えをつくる問題である。


  

<ルール>
 ・ □の中に1~4の数字を入れる。
 ・ 4つの数字を1回ずつ使う。
 ・ 1番小きな答えをつくる。

この問題は、かなり難しい。
そこで、少しずつヒントを出しながら、自力解決の時間を小刻みにとることにした。

まずは、自力解決の時間を3分間とった後、ヒントを出した。
ヒントは「十の位から考えること」である。
「十の位がどうなればいいですか」
と子どもたちに尋ね、十の位の数がどんな組み合わせになればよいのかを考えていった。

第1問と異なり、十の位に小さな数字を入れればよいわけではない。
十の位の差を小さくすればよいのである。
そう考えると、十の位は、「4-3」「3-2」「2-1」の3種類に絞られる。



十の位は3種類になることを確認し、もう1度、自力解決の時間をとった。

しばらくすると、
「13ができたよ!」
「11ができたよ!」
と子どもたちの嬉しそうな声があがり始めた。

そのうちに、一人の子が、
「9ができたよ!」
と声をあげ、まわりの子たちを驚かせた。

さらには、
「7ができたよ!」
という子が出てきて、教室が騒然となった。

「7」をつくった子に、ヒントを言ってもらうことにした。
分かった子にヒントを言わせるという活動は、
言う子にとっては、自分の考えを簡潔にまとめることになり、
聞く子にとっては、考える見通しを持つことになる。

ここでのヒントは、「繰り下がり」であった。
このヒントの後、再度、自力解決の時間をとった。
「繰り下がり」というヒントを聞いて、「分かった」という子がどんどん増えていった。

答えは「7」。
次のような筆算になる。



筋道を立てて考える楽しさを味わえる授業となった。

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