前田の算数
前 田 の 算 数 実 践 事 例 | ||
1年生 「いくつといくつ」 | ||
【学校探検】 あわせて□文字のものをさがそう! | ||
指導案(PDF) | ||
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1、 は じ め に | ||
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子供たちが、問題意識を変容させながら、繰り返し教材とかかわる授業をめざして | ||
アニメのキャラクターやお菓子などを教材に使うことがある。 そうすると、一時的に子供たちの心をぐっと惹きつけることができる。 しかし、学習が進むに連れて、子供の意欲はだんだんと減退していってしまう。 それでは、子供たちが夢中であり続けるには、どうすればよいのだろうか。 まずは、子供たちが、自ら切実な問題意識を持つことが大切であろう。 さらに、その問題意識を変容させながら、繰り返し教材にかかわることが大切であろう。 子供の問いが連続する、そんな授業の仕組み方を、 1年生「いくつといくつ」の実践をもとに、考えていきたい。 |
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2、 単 元 の あ ら ま し (全5時間) | ||
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【問題意識の変容】 | |
@ 身近な問題を教材に取り上げることで、教材への興味・関心を高めていった子供たち | ||
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子供たちは学校探検が大好きである。生活科において、「3文字のものを見つけよう」「5文字のものを見つけよう」と、学校の中のいろいろな物を探してきた。 この学校探検を算数の授業の中で取り上げ、「あわせて□文字になるように、2つのものを見つけよう」というゲームを行った。例えば、‘あわせて5文字’なら、〔つくえ・いす〕、‘7文字’なら〔てつぼう・ぴあの〕などが、そうである。 子供たちは、「ようし、たくさん見つけるぞ!」と楽しく活動に取り組んでいった。 |
「たくさん見つけたい」 「誰も見つけてない ものを見つけたい」 |
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A それまでの方法では不都合が生じるような場をしくむことで、 問題意識を数理的に洗練していった子供たち |
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はじめのうちは、つ、く、え、い、す…と、指を折りながら数え足していた子供たち。しかし、「5文字になるもの」から「7文字になるもの」へと数値を拡張していくと、いちいち数え足すのが面倒になっていく。 子供たちは、はやく簡単に見つけるために、様々な工夫をし始めた。例えば、〔おるがん〕の4文字分だけ指を折っておいて、その続きから数える子。「4と3で7だから…」と、ちょうど3文字になる物を探す子…。 「はやく・かんたんに見つけたい」という願いから、数の合成・分解に目を向けていったのである。 |
「はやく・かんたんに 見つけられる方法は ないかな」 |
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B 新しい視点を与えることで、自分の考えを見つめ直していった子供たち | ||
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こうして、7文字になるものがいっぱい見つかった。子供たちの見つけてきたものを、〔4と3〕のグループ、〔2と5〕のグループと、7になる組み合わせごとに分類して黒板に貼っていった。 いくつか板書したところで、「ほかにも7の作り方はないかな」と、問いかけた。子供たちは、「1と6のも見つけたよ」「3と4のも見つけたよ」と、〔7になる組み合わせ〕に目を向けていった。そして、7になる組み合わせを全部見つけようと、様々な工夫をし始めた。「1と6、2と5、3と4…」と1から順に調べる子。「6と1が7になるなら、1と6も7になるはず!」とペアを作って調べる子…。 「抜かりなく見つけたい」という願いから、事象を整理して捉えていったのである。 さて、7文字だと6通りの組み合わせが見つかった。「だったら、8や9や10文字だと、何種類の組み合わせができるかな」という新たな疑問がわいてくる。調べていく中で、子供たちは「かたっぽうが、1・2・3…と増えていくと、もうかたっぽうは、1ずつ減っていくね」「7は6通り、8は7通り、9は8通り…って階段みたいになってるよ」と、関数的な見方を養っていった。 |
「他の組み合わせはないかな」 「全部で何種類あるのかな」 「数えもらしがないように、 整理して調べよう」 「他の数でも試してしたいな」 「何か、きまりがありそうだぞ」 |
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こうして子供たちは、問題意識を変容させながら、繰り返し教材とかかわっていった。 | ||
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3、 本 時 の 展 開 (3/5時) | ||
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@ どうすれば、うまく見つけられるかな? |
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「今日は、あわせて7文字のものを見つけるよ」 と、課題を提示した。 「例えば、最初にオルガンを見つけたら、次に何を見つければいいかな」 と、最初が4文字の場合を例に挙げてルールを確認した。 子供たちからは、「つくえ」「ぴあの」「とけい」などの答えが返ってきた。 「つまりね、おるがんは4文字だから、次に3文字のものを探せばいいんだよ。」 と、ある子がみんなの発言をまとめた。 「でも、おるがんの次は3文字がくるって、どうして分かったの」 と子供たちにたずね、 「どうすれば分かるのか、困っている人もいるかもしれないね。 先生になったつもりで、説明してみましょう」 と投げかけた。 子供たちは、先生になりきって説明を始めた。 「だってね、お・る・が・ん・で4でしょ。 そこに、あと1・2・3って順番に指を折っていったら7になるよ」 「4本の指と3本の指を合わせると、ほら、7本になるよ」 と、指を操作して説明した。 こうして、うまく見つける見通しがたったところで、いよいよゲームを開始した。 子供たちは、7文字になるものをいっぱい見つけて、満足した様子であった。 |
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A ほかにも7の作り方はないかな? | ||
子供たちの見つけてきたものをカードに書いて、黒板に貼っていった。 ここでは、 「先生がどんなルールで貼ってるか見ててね」 と子供たちに告げておいた。 興味深く黒板を見つめていた子供たちであったが、やがて「ははん、分かったぞ」という顔になった。 実は、〔2と5〕のグループ、〔4と3〕のグループと、7になる組み合わせごとに分類して貼っていたのである。 そうして、いくつか板書したところで、 「ほかにも7の作り方はないかな」 と、子供たちに問いかけた。 子供たちは、「1と6のも見つけたよ」「4と3のも見つけたよ」と、自分の発見した組み合わせを紹介していった。 組み合わせという新たな視点で、自分の見つけてきたものを、見つめ直していったのである。 中には、 「1と6があるなら、6と1もあるはずだよ」 というつぶやきも出てきた。 抜かりなく見つけようと、事象を整理してとらえ始めたのである。 |
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B これで、ぜんぶかな? | ||
さて、最初のうちは、「まだある、まだある」と、元気いっぱいだった子供たち。 しかし、6種類出たところで、急に声が小さくなり、 「もうないよなあ…」というつぶやきが聞こえ始めた。 そこで、 「どうして、もうないって分かったんですか」 と子供たちに尋ねた。 すると、 「だって、あわせる数がもうないよ」 と、ある子が答えた。 「1から6まで全部出てるもん」 というのである。 それに続いて他の子が 「まず、1と6でしょ。次に2と5でしょ…、ほら、これで全部だよ」 と説明をした。 1から6まで順に確かめていったのである。 |
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説明に合わせて、黒板に貼ってあったカードを、1から順に並び替えてみせた。 子供たちは、 「あ、階段だ!」 と声をあげ、 「こうして見ると、分かりやすいね」 と納得した様子であった。 実は、この日の板書では、最初、子供たちの発見した組み合わせを、1から順に並べずばらばらに板書しておいた。 そのままでは、抜かりなく数えたかを確かめづらい。 あえて不都合な場を設定することで、整理して事象をとらえようと子供が動き出す姿を期待したのである。 |
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C だったら、8文字なら…? | ||
さて、こうして、7文字だと6通りの組み合わせがあることが分かった。 子供たちからは 「だったら、8文字なら…」 というつぶやきが聞こえてきた。 次への問題意識が生まれたところで、授業を終えた。 |
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4、 ま と め | ||
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まず、生活とかかわりある問題を取り上げ、強い興味関心を抱かせる。 そして、その中にひそむ数理的な問いを見出させる。 そうすることで、子供たちは切実感をもって課題に取り組んでいく。 そうして、課題に取り組み、手応えを感じていった子供たちに、 それまでの考えでは不都合が生じる場面に出会わせる。 そうすることで、子供たちは自分の考えを見つめ直していく。 そうして、問題意識を変容させながら、繰り返し教材とかかわる中で、 子供たちは見方・考え方を深めていく。 |
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