「フリック…実はお前に、告白がある。」 「な、何だよ?改まって…」 「いいから、そこで黙って聞いていてくれ。」 「…解った。言えよ。」 「実は…」 「実は?」 「今日の昼に、執務室の机の上にあった書き掛けの書類を丸めて捨てちまったのは俺なんだ。」 「やっぱりな…って、そんなのお前以外にいねーだろ…」 「昨日、洗って干してあったお前のマントに泥を付けたのも実は俺…」 「っ!やっぱり貴様かっ!!!」 「わっ…わざとじゃねーよ!!!」 「当たり前だ!わざとであってたまるもんかっっ!!!!!」 「悪かったって!」 「で?!どうせまだ他にもあるんだろう?!!」 「お、おお…あー…お前が隠してた秘蔵の酒を飲んじまったのも俺だ。」 「ほほう…」 「こないだ壊れた外壁も、はぐれモンスターの襲撃にあったってのは嘘で、ちょっと軽く蹴っ飛ばしたらこー…ぼろっとだな…」 「……」 「レオナが見当らねえって騒いでるワインも、バーバラんトコに保管してる干し肉とかハムとか、こっそりつまみ食いっつーか、何つーか…で、倉庫にあった年代モンの鎧とか剣とか皿とか壷とか…全部売っぱらちまったりとか…」 「……」 「あと、お前が部屋の戸棚の中に隠してたヘソクリも…」 「お前っ…?!あれはな!!万が一の時の為に、俺がどれだけ苦労して〜〜〜っ!!!!!」 「いてっ!いでっっ!!わ、悪かった!!!落ち着けって!」 「これが落ち着いていられるかっ!!!」 「だから最初に『黙って聞いててくれ』っつったじゃねーかよ〜」 「黙ってるにしても限度があるってもんだろ?!」 「ま、まあ待て!な!まだ話は終ってねえからよ。」 「まだあるのかっ?!!!!!」 「ああ、こっからが肝心だ。」 「…よし、この際だ。全て洗い浚い吐け。」 「そのつもりだけどよ…あー…酔った振りしてお前に抱き付いたりとか。」 「は?」 「何気ない振りして髪に触れたり頬を撫でたりとか。」 「え?なっ…?!」 「お前の事オカズに自分を慰めてみたり、」 「っ!」 「お前が眠ってるのをいいことにキスしたりした。」 「〜〜〜っ」 「お前が好きだ、フリック。これで洗い浚い全部だ。」 「……」 「……」 「……」 「…何か言えよ…」 「…お前が…黙って聞いてろって言ったんだろ。」 「そりゃそうだけどよ…でも話は終ったんだから、もう喋ってもいいぞ。」 「……」 「……」 「…お、俺もお前に告白する事がある。」 「うん?」 「お前がキスしてきた時、実は寝てる振りしてた…」 「……」 「……」 「それで?」 「…それで……今度は、寝てる振りじゃない時にしてーなと思った。」 「は…はは…」 「笑うな、バカ。」 「すればいいじゃねえか。」 「簡単に言うなよ。」 「簡単じゃねえか、ほら…」 「ん…」 「……」 「……」 「……」 「フリック…」 「…っ…」 「……」 「…ビクトール…これが終ったら、ちゃんと話付けるからな…」 「話?…って何のだ?」 「決まってるだろ、…っ…」 「んん?」 「お前が…あっ…っ俺の、ヘソクリを使い込んだ話だ…っ!」 「へーへー」 「だから、ちゃんと手加減しろよなっ!」 「あー…まあ、約束は出来ねえけど、努力はするぜ。」 「何言って…っ、ちゃんと約そ…っ…あ!…っ…っ!」 「……やっぱ無理だな。話はまた明日な、な?」 「…明日…憶えてろよ…」 |
まあ大人だからね。告白後そっこーでもいいでしょ。
2005.07.09