瞳を閉じれば浮かぶ笑顔。
出来るなら、守りたかった笑顔
海保様に捧げます。
タイトルまんまですが、フリックや熊がオデッサを思い出す時にこんな風に笑っているところだといいなぁ
と、願いを込めて。
本物のオデッサはもっとキリっとしたイメージなんですが…
この人は理想がありすぎて、中々上手く描けないのが現実です。うぅ。
絵的には、上のどアップで。
全体は、折角描いたので、下に置いときます〜
宜しければ合わせて御覧下さいまし。
海保さん、イメージ違ってたらゴメンナサイ。
いつも大変お世話になっております。
ちょっとでもお礼になってればいいのですが〜(汗)
2001.02.01.

下絵 鉛筆・スキャナ取り込み
着色 Painter Classic


なんと!海保さんより、お礼の文などを戴いてしまいました!!
戴く、とゆーより置いてあったのを奪ってきたカンジですが。
私の好きな「オデッサを思い出すフリと、そのフリを想う熊」!
素敵です、もっといちゃついて下さい(笑)

そしてオデッサ、気に入って頂けた様で嬉しいです〜!えへ〜
本当に有難う御座いました!私は幸せ者です〜
海保さんのサイトは→こちら


樹林様のサイトの一万ヒット感謝企画にまんまと便乗して
「オデッサのイラスト」というリクをお願いしたところ
いただいてしまいました。オデッサ。
リクはただ一言「オデッサ」だったのに
勝手に「オデッサは絶対笑顔」と決めていたので
実際にいただいたイラストがやっぱり笑顔ですごく嬉しいです。
樹林様のとこの男前の腐れ縁が
大事に胸にしまってるオデッサですからね!やっぱり笑顔でないと!
ほんとにありがとうございました。(020203)



i can't bear you.

宿を出たのは昼を大分過ぎていた。
昨日の雪はやんで足下にわずかに残るだけだ。空が高い。いい天気だ。
後ろから上機嫌の鼻歌がついてくる。莫迦熊め。
足を少しだけ速めると、つかず離れずの距離を保って少しだけ距離をつめてくる。
莫迦熊め。
俺はため息をついた。

夜寝台に入る前に熊が言う言葉が、「おやすみ」でなく「いいかな」になって「いいよな」になった。
弊害はいろいろある。
思い知らされる体力と体格の差とか。
朝の出立がやたら遅れるとか。
特に腹に据えかねるのは莫迦熊の無駄口だ。
最中ずっと囁くのだ。莫迦熊が。耳元で。
歯の浮くような気恥ずかしいことから、聞くに耐えない恥ずかしいことまで。
おおむね莫迦な戯言だ。
口が他のことをしている時以外はずっと続く。
莫迦熊め。

何度かやめろと言ってみたが、自然に出てくるものは仕方ないと言われた。
にやにやした莫迦な熊面にそれ以上言う気も失せた。
どこの莫迦が自然にあんな莫迦な言葉の数々を思いつくというのか。
しかし莫迦熊に言わせると、恋人に思いのたけを伝えたいと思うのは自然なことだそうだ。
腹が立つ。まだ鼻歌が聞こえる。
誰が恋人だ。

風が少し冷たい。空が澄んでいる。笑顔を思い出す。
自分にも恋人がいたことはある。でも今熊が自分に言ってよこすような言葉を言ってみたことはなかった。
オデッサの殺された恋人は貴族だったという。さぞやきらびやかな言葉をオデッサに贈ったことだろう。
だからというわけでもないが、自分が思いつく月並みな言葉を、オデッサに告げるのはためらわれた。
ビクトールはたくさんの言葉を持つ。自分にはそんな言葉の持ち合わせはない。
惜しみなく聞かされる言葉はしかし、必ずしも不快なばかりではなかった。
その言葉に救われるような気分になることも多い、かもしれない。今背後から聞こえてくる、下手な鼻歌のように。

ふいに、男の腕が腰に巻きついた。
「ば・・・こんなとこでさかるな熊!」
「フリック、そっちは崖だ」
道はこっち、と引きずられる。本当だ。いつのまにか道が終わっている。危なかった。
「・・・すまない」
「何ぼんやりしてたんだ」
「・・・別に」
「崖に向かってまっすぐ歩いてくから何事かと思った」
「・・・いいかげん離せよ」
腕は離れたが向かい合わせに抱き寄せられた。さかるな、というのに。
ビクトールが的はずれな言葉を返した。
「いい女だったから思い出しちまうのは仕方ねえけどな」
「・・・」
「まだそっちにやるわけにはいかねえよ」
「・・・・・・」

体が離れた。男の目がこちらをのぞき込んでくる。
わかっているのだ。
男が自分を甘やかしていることも。男がやたらと繰り返す言葉が、自分の返事を待っていることも。
しかし、そんな恥ずかしい真似が、できるわけがない。
しばらく黙った。
行くか、と言って男が歩き出した。
「危ないから手ぇつないでやろうか」
「莫迦」
オデッサには優しい言葉の一つもかけてやれなかった。
少しは、言ってみれば良かった。オデッサに。つまらない言葉でも。多少、気恥ずかしくても。
そんなことを思っても、とっくに相手がいなくなった今となっては、遅いのだが。
いつかこの男に対しても、あの言葉を言っておけば良かったと、後悔する日が来るのだろうか。
自分が何も言えないうちに、失ってしまうことが、あるのだろうか。
男の手をつかんだ。
「お?」
「お前の、手は、好きだ」
少なくとも無駄口はたたかないから。珍しいものを見るような男の視線を避けて、小さい声でつけくわえた。
「お前の口は嫌いだ」
莫迦なことばかり言って処置に困る。男は少し笑ったようだった。
「・・・冷てえなあ」
それが自分の手のことか態度のことかはわからなかったが、掴んだ手に男の側からも少し力が加わった。
「早く他のとこも好きになってくれや」
「莫迦」
目は逸らしたが、手は離さなかった。
後悔はしないように。



思いついたのでお礼の気持ちも込めつつアップ。
いつぞやのキリリクで熊が青いのの手を掴んでいたので今度は青いのから。
いちゃいちゃすんなよ! とか思いながらつい出来心にございます。


女の人は描くの難しいです


・・・ ・・・