「萬代旅行会」タイ バンコク4日間



 春の連休のバーベキューのときに、いっちゃんやタケゴンと、近場の手頃な海外旅行に行きたいなと言う話になり、ベトナムやマレーシアなどいくつか検討した結果、タイのバンコクに行ってみようということになった。
 実は、いっちゃんの娘さんが結婚してバンコクで暮らしていて、連絡をとったところ、時間がある限り現地案内を引き受けてくれるということになった。また、アユタヤ遺跡への観光ツアーやチャオプラヤー川のディナー・クルーズの手配などもやってくれるとのこと。
 前回の台湾旅行では、一日中バスで移動し、名所旧跡と土産物店を小刻み回って、夜遅くホテルに帰った時分には周囲の街も店じまいして閑散としており、なかなか“街歩き”という雰囲気を味わうことが出来なかった。今回は、現地に住む人が組み立ててくれた「リアル街歩きツアー」とでもいうべきものになりそうで楽しみである。


      <タイ旅行ガイド> バンコクナビ





(地図は、Google Maps より引用・加工させていただきました)


6/24(月)

関西国際空港17:00 ―(タイ国際航空)― 21:15(これ以降・現地時間)タイ・スワンナプーム国際空港 21:55 ― 22:40「ロイヤルオーキッド・シェラトンホテル&タワーズ」(泊)

 急病人やら点検やらを言い訳にしょっちゅう遅れるJRを敬遠して南海電車で関西空港に向かう。余裕を持って早めに着き、4階の国際線のロビーでボーッとしているところへ、いっちゃんがやって来る。やがてタケゴンもやって来たので、JTBの団体カウンターでチケットをもらい、レートは3.5ほどでよくないが、タイに入国してからバタバタしなくて済むように、とりあえず3人の共同財布用に1万円ずつ計3万円をバーツに両替する。

 搭乗するタイ国際航空のカウンターで荷物を預け、さっさと保安検査を済ませて3階に下り、出国審査を受ける。そのあと、シャトルで搭乗ロビーに移動して、缶ビールで前祝い。
 午後5時25分に離陸。機内は空いていて半分ぐらいが空席。好きなところに座ってよいと言われて、横になりたがるタケゴンは喜んでいる。6時頃、ドリンク・サービスでSINGHAビールとおつまみが出る。日本のビールと変わらない味。続けてスーパードライも出る。なかなかサービスよろし。続いて夕食はチキンと魚を選べたので、魚を頼む。ワイン、ウイスキーなど飲んでくつろいでいるうちに台湾上空にさしかかり、夕焼けの雲海の上に玉山(新高山)が浮かんで見えた。10時過ぎにマンゴスチンのシャーベットとドリンク出る。眼下はベトナムあたりだが、灯りは少ない。
 午後9時15分(これより現地時間。時差は-2時間)、タイ(タイ・スワンナプーム国際空港)に到着。タラップを下り、バスで10分近く走ってターミナルビルに着く。入国審査の後、荷物を取り、到着ロビーを出たところで、現地係員のおばちゃんが待っていた。今回のツアーはホテルと空港の送迎だけに係員が付いているプラン。
 JTBからの日程表では、空港からはJTB主催の他のツアーの参加者と混乗で順番にホテルを回って降ろして行くので、我々がホテルに到着するのは午前0時頃ということになっていたのだが、雨季ということや夏休み前ということもあるのか、客は結局我々3人だけで、ワゴン車でホテルに直行となり、予定より1時間以上も早く着いて助かった。
 ホテルに着いて、現地係員がチェックイン手続きをしてくれる。帰国日の送迎時間が30分遅くなって5時になると言われる。少しでも遅くなるのは大歓迎だ。そこに、いっちゃんの娘さん夫婦がやって来た。部屋に上がって、娘さんへの手土産に持って来た日本の食品など渡す。娘さんのクルマに、日本からタイに帰っていた小太郎が待っており、久々のご対面となる。いっちゃんは一年近く飼っていたので、当然小太郎の喜びようも鼻を鳴らして舐めまくって半端でなかったが、カンボにも何度かじゃれついて来る。全く面識のないタケゴンには一切無関心なので、かつてたった一日一緒に遊んだだけのカンボのことを憶えていたのは間違いないようだ。人の顔をなかなか憶えられないカンボとしては小太郎に頭が下がる思いであった。
 3日目のディナークルーズの出発地がホテルの隣の「リバーシティ」という商業施設の船着き場ということなので、下見に行ってから娘さん夫婦と別れ、部屋に戻って入浴後就寝。


搭乗するタイ国際航空TG627便

夕食の機内食

スワンナプーム国際空港に到着

ロイヤルオーキッド・シェラトンホテル&タワーズ玄関

娘さんご夫妻と合流

久々に小太郎とご対面


6/25(火)

ホテル 8:30 ― 8:40 タクシン船着き場 8:45 ― 9:10 ターチャン(Tha Chan)船着き場 ― 9:15 ワット・プラケオ/王宮 10:10 ― 10:30 ワット・ポー 11:45 ― 11:25 船着き場 ― 11:35 ワット・アルン 12:10 ― 12:15 ターチャン船着き場 12:25 ― 12:43 タクシン船着き場 ― 12:45 BTSサパーン・タクシン駅 ― 13:02 BTSサイアム駅 ~「サイアム・パラゴン」,「MBK」で昼食とショッピング~ 16:50 BTSサイアム駅 ― 17:00 BTSチョン・ナンシー駅 17:25(旦那さんの車でピックアップ)― 18:40「Yuping Sea Food」(夕食)20:10 ― 21:00「アジアティーク(ASIATIQUE)」21:55 ― 21:00 ホテル(連泊)

 5時に起床。外はまだ暗い。昨晩は、移動の疲れと、夜中に1時間おきぐらいにタケゴンが「おおっ」とか「お母さん!」とか叫ぶのでよく眠れなかった。いっちゃんのいつものいびきは聞こえなかった。寝る前に深酒していないせいか?
 6時過ぎにホテル1階のレストランでバイキングの朝食。品数は多いが大味。クーラーが効き過ぎて寒い。ホテルのハブリック・スペースではWi-Fiが無料で使えるらしいのだがうまく接続できなかった。このホテルでは客室のインターネット接続が有線/無線とも有料(470バーツ/日)で、朝晩にちょこっと使うためだけに1,500円近く払うのは馬鹿らしい。アメニティ・サービスの一環として宿泊客には無料で提供するべきだろう。

朝のバンコク

ホテルの玄関前

全室リバービューの客屋からの眺め

 ホテルの専用船着き場に行き、8時半の便の専用船(ホテル・フェリー)で下流のタクシン船着き場に向かい、ここで娘さんと落ち合う。タクシン船着き場のすぐ隣にはBTSのサパーン・タクシン(Saphan Taksin)駅がある。それに乗り換えて市内中心部に向かうとバンコク名物の交通渋滞に巻き込まれることがなく大変便利なのだが、今回はBTSには乗らず、同じタクシン船着き場から出る乗り合いの船(エクスプレス・ボート)で逆に上流に向かう。ホテルからわざわざ下って来てまた逆行するというのは一見不合理なようにも思えるが、船の便が多い上に料金も13~32バーツと安く、しかも速いのである。現地で暮らしている娘さんに付いていくので、こういう細かいワザもこなせるのである。そうでないとタクシーやトゥクトゥクに乗ることになるのだが、それらはたまに現地の人でも経路や料金でもめたりぼられたりすることがあるそうだ。

宿泊客用のホテル・フェリー

船内はゆったり

ホテルからタクシンへ

車のエンジンにスクリューを直結した船をよく見る

タクシンでエクスプレス・ボートに乗り換え

乗合船は客でぎっしり

動画「チャオプラヤー川」>


 今度は上流に向かうエクスプレス・ボートで、先ほど乗船したホテルの前を通り、ターチャン(Tha Chan)の船着き場で下船する。いかにもアジアンな市場風の露店を抜けるとワット・プラケオだ。入口で怖そうなおばさんが、ノースリーブや短パンなどの不敬な服装の者がいないかチェックしていた。拝観料は500バーツとタイの物価水準からすると高い。
 日本の寺社とは全然違う金や赤や青やのきらびやかな色遣いと天に聳える仏舎利塔の林立に目を奪われ、次々とシャッターを切ってしまう。フィルム・カメラの時代でなくて良かったとつくづく思う。靴を脱いで本堂に上がる。写真撮影は禁止だ。出入り口のあたりでは猛烈な足の臭いが立ち上っている。おびただしい数の拝観者が靴を脱いで上がって来るためだろう。
 続いて同じエリアにある王宮を見物。こちらはとくにこれというものも無くあっさりと終わる。古い槍などが展示されている小さな武器庫も写真撮影禁止となっていて、携帯のカメラを向けていた人が係員に咎められていたが、シャッターを押したくなるほどの展示品はとくに見当たらなかった。


ワット・プラケオ

拝観料500バーツはちと高め

色も形も日本のお寺とは全く異なる

金色の仏塔

飾り彫刻も金色で細密

日本のお寺の持つ陰気さが全く無い

きらびやかだが美しく優雅

なんとなくユーモラス

支えている姿が健気だ

色遣いが見事!

王宮の象と衛兵

王宮

 入ってきた門から出て、船着き場の手前で左に曲がり、金色の寝釈迦仏で有名なワット・ポーに向かう。途中の歩道は露店が連なっている。小さな仏像やら明らかに偽物とわかる品物、中古の電源アダプターなどなど、どれも同じような物を売っている店がずう~っと並んでいるのである。商売熱心というふうでもなく、通り過ぎる我々に絡んでくる者もいない。

トゥクトゥクの向こうは無料バス

いかにもアジアンな風景

ワット・ポーまで露店が続く

 20分ほどでワット・ポーに着く。こちらの拝観料は100バーツと安く、しかも無料の小さい水のペットボトルがもらえる。ここも靴を脱いで参拝する。頭からつま先まで46mあるという寝釈迦仏はさすがに壮観だ。参拝客は皆、うまく全身が収まるようなカメラ・アングルを探そうと必死になっている。仏像というと威厳のある顔をしているものだが、このお釈迦様はなんともいえず優しくユーモラスな印象を受ける。ぐるっと回ると背中からの寝姿も見える。


ワット・ポー入口の看板

ワット・プラケオと似たような建物

寝釈迦様

足下から

仏塔が何基も林立する


ヨーガのようなポーズの石像も

 ワット・ポーを出て、近くの船着き場から対岸に渡る渡し船(クロス・ボート)に乗りワット・アルンに向かう。乗船料3バーツなり。チャオプラヤー川はグレーに濁っているが、とくにドブ臭いということもない。むしろ船着き場周辺ではボートのエンジンの排気ガスが立ちこめて臭い。川面では体長30cmくらいはあろうかという魚が飛び跳ねている。
 ワット・アルンの拝観料は50バーツと安い。ここは川辺に聳える巨大な仏塔が有名で、バンコクのランドマークの一つなのだが、この仏塔、かなりの急勾配の階段を使って自由に登ることができる。高所恐怖症の人には辛い修行になるだろう。上からは、チャオプラヤー川の対岸に、先ほどまで居たワット・プラケオやワット・ポーが見える。明晩のディナー・クルーズで船上からライトアップされたこのワット・アルンの荘厳な姿を見るのが楽しみである。今は雨季なので降られないことを祈ろう。

クロス・ボートで対岸に渡る

堂々とした姿は圧巻だ

ここにも縁の下の力持ち

こちらは女性?


塔の登りはかなりの急勾配

塔からの眺望

動画「ワット・アルンからの眺望」>

 再び渡し船で今度はターチェンの船着き場に戻り、エクスプレス・ボートで川を下ってタクシン船着き場に戻る。BTSサパーン・タクシン駅からBTSサイアム(Siam)駅まで15分ほどで、一人34バーツ。BTSはバンコク中心部を走るモノレールで、今回の街歩きには大変役立った。サイアム駅からつながった「サイアム・パラゴン」という商業施設のフードコートでランチとする。今晩は娘さん夫婦の案内でシーフード・レストランに行き、プーパッポンカリーという蟹のカレー炒めのディナーを食べる予定なので、ランチは軽く済ませようということになった。いろいろ迷った挙げ句、シーフードと玉子のライス・ヌードルという汁気の無い焼きそばのようなものを食べる。75バーツなり。食後、近くの商業施設「MBK」に寄り、お土産など見て回る。タケゴンが奥さんから「タイの歯間ブラシを買ってこい」と仰せつかっているとのことで、いろいろ見てみたが、これというのが見当たらなかった。追加で一人1万円ずつ両替する。レートはこちらのほうが0.4ほど良い。
 商業施設の中には、市場のように小さなショップが密集しているフロアがあり、ここでは露店同様に値段交渉もできるようだ。シルク製品やアンティーク、時計、バッグ、ベルト、化粧品…とありとあらゆるジャンルの店があるが、同じような物を扱っている店も多い。North Faceの登山用ザックを安く売っている店もあったが、なんとなくロゴマークの感じがしっくりこないのと、背中の当たる部分にフレームや人間工学的な形状のパッドも無く平面的に仕上げられているのに疑問を持つ。いわゆる偽物というやつだろうか。

汚い川だが、魚がウヨウヨいる(ターチェン)

フードコートで軽いランチ(サイアム・パラゴン)

シーフードと玉子のライス・ヌードル

BTS サイアム駅

市内はご覧のとおりの大渋滞

MBK

 5時前にBTSサイアム駅から3つ目のBTSチョンノンシー(Chong Nonsi)に向かい、下車。やはり25バーツと安い。ビル内でショッピングしている間に雨が降ったようで、道路が濡れていた。駅の近くで、仕事を終えて合流する娘さんの旦那のクルマを待つのだが、噂どおりの大渋滞で、近くに来てはいるのだがなかなか辿り着かない。渋滞した車の間を縫って二人乗りのバイクが次々と走り抜ける。運転している人は一様にオレンジの服装をしている。娘さんの説明によると、バイク・タクシーというものだそうで、料金は交渉制らしい。ヘルメット着用は義務でないのか被っていない人が多い。話しに聞くとおり路上は排気ガスの臭いが立ちこめている。走っているクルマはTOYOTAが圧倒的に多く、HONDAがそれに続く感じ。窓が開きっぱなし(無い?)のバスを時々見かけるが、娘さんによると、タイでは古くなったバスもエンジンが動く限りは走らせ、低所得者を無料で乗せているらしい。エアコンどころか窓ガラスが無くても当然なのだ。

BTSでサイアムからチョンノンシーに向かう

チョンノンシー

バイク・タクシー

 5時半前にようやく旦那にピックアップしてもらえた。市内の大渋滞では、指示器も出さず割り込んでくる車が多く、バイクも次々とすり抜けるので運転はとても大変だ。旦那さんは器用なハンドルさばきを見せる。高速道路で市外に出て海の方に向かい、「ユーピン(Yuping)」というシーフード・レストランに到着。クルマが多く駐車していて繁盛店のようだ。
 池の上にたくさんの水上ハウスのような桟敷があり、桟橋のような木の渡り廊下でつながっいる、いかにも東南アジア的な店で、ワクワクしてくる。すっかり日も暮れて、電球の灯りの下でエスニック料理をいただく準備は整った。まず飲み物はSINGHAビールで乾杯にする。アイスジャーに満杯の氷が来たのでなぜかな?と思ったのだが、こちらの人はビールをさらに冷たくして飲むために氷を入れるのだとか。でも、タイでは生水と氷は口にするなとガイドブックなどにしつこく書いてあるので、我々は遠慮する。料理は、念願のプーパッポンカリーに続き、お約束のトムヤンクン、ソムタム、手長海老のグリル、ワタリ蟹の蒸し物、焼き飯など。いずれも皿にたくさん盛られて来る。どれもこれもうまい。プーパッポンカリーはさらに一皿追加した。個人的には、トムヤンクンが一口目はどうということなかったのに、二口目から激辛になり閉口した。他のメンバーはどうもない様子。ちなみに、娘さんの旦那は海に近いところで生まれ育ったので、蟹の剥き方がとてもうまい。タイでも日本でも蟹を食べるときはみんな無口になる。料理をすっかり堪能したが、 今回のツアーの会計係をしているタケゴンの話しでは、飲んで食べて5人で3,250バーツだったとのこと。日本円で一人2千円ほどということになる。定年退職後のロングステイでタイが人気なのもわかる気がした。

シーフード・レストラン「ユーピン」

水上桟敷席になっている

開放的で心地よい

まずはお約束のプーパッポンカリー

続いてトムヤンクン

ソムタム

手長海老

焼き飯

ワタリ蟹

 8時過ぎに店を出て市内に戻り、チャオプラヤー川沿いの商業施設「アジアティーク(ASIATIQUE)に寄る。ここで旦那さんは一度自宅に戻り、小太郎を連れて戻って来るとのこと。娘さんの案内で中をぶらつき、「Naraya」という現地で有名なカジュアルバッグの店でお土産にバッグを購入。デザインや縫製も良く、しかも求めやすい価格だからであろう、店内は客で溢れていた。

リバーフロントの商業施設「ASIATIQUE」

観覧車が目印

遅くまで賑わっていた

 10時前に旦那が戻って来て我々を拾い、ホテルに送ってくれる。ホテルに着くまでの間、クルマの最後部からは、小太郎が興奮して鼻を鳴らす音と、いっちゃんの「コタ!もうわかった!わかった!」となだめる声がずっと聞こえていた。ホテル帰着後、交替で入浴して就寝。いよいよ明日はアユタヤだ。

6/26(水)

ホテル 6:50 ― 7:05 インターコンチネンタルホテル 7:20 ― 8:30 ワット・ヤイ・チャイ・モンコン 9:15 ― 9:25 象乗り場 10:05 ― 10:07 ワット・プラ・シー・サンペット 10:50 ― 10:55 ワット・プラ・マハタート 11:25 ― 12:45 インターコンチネンタルホテル(昼食)13:35 ~チットロム(Chit Lom)駅周辺で買い物~ 15:25 BTSサイアム駅 15:35 ― 15:45 BTSサパーン・タクシン駅 ― 15:50 タクシン船着き場 16:10 ― 16:20 ホテル ~入浴・休憩~ 18:40 ― 18:45 リバーシティー船着き場 19:30 ~グランド・パール・クルーズ(2時間)~ 21:30 リバーシティー船着き場 ― 21:35 ホテル 21:45 ― 22:00 スカイ・バー「シロッコ」22:55 ― 23:05 ホテル(連泊)

 昨晩もタケゴンが一時間おきぐらいに「ふぁあーっ」とか「おぉぉ」などと叫ぶので眠りが浅かった。樋屋奇応丸でも飲ませたほうがいいのかもしらん。まてよ、もしかすると歯間ブラシ購入の重圧で悪い夢を見ているのかもしれない。歯間ブラシ探しにみんなで協力しよう。
 今日は娘さんに手配してもらっていた現地ツアーのパンダバスで半日のアユタヤ観光に出かける日だ。昨日は午前中は晴れていて、午後も曇りだったが、今朝はどんよりとした空模様。6時半に迎えのクルマが来るということだったので、5時に起きて6時のオープンと同時に1階のレストランに飛び込んでさっさと食事を済ませたのだが、予定時刻になっても迎えが来ない。心配になって電話したところ、うちの前の客が遅れたので到着が遅れているとのこと。20分遅れてやって来る。一人1,500バーツの料金を先に支払い、ワゴン車に乗り込んで集合場所のインターコンチネンタルホテルに向かう。雨が降り出す。他のツアー客も乗り込んで、7時20分にアユタヤに向けて出発。1時間ほどでアユタヤに到着。
 バスと言っても空港の送迎と同様のワゴン車である。ガイドはエイク(EAK)という通称のタイ人青年。日本語はまずまずわかる。アユタヤに着いた頃には雨がしっかり降っている。寂れた古都のアユタヤ遺跡を見る分には、雨もまた風情があって悪くないのだが、象に乗ったり、あるいは夜のクルーズやオープン・エアーのスカイ・バーはどうなるのだろうと心配になってきた。
 まずは、ワット・チャイ・モンコンというお寺で屋外の涅槃仏を見てから、さほど大きくない本堂に靴を脱いで入って拝み方などを教えてもらう。それから裏に聳え立つ戦勝記念塔なるもののすり減った階段を上ってみたりしたが、昨日のワット・プラケオやワット・ポー、ワット・アルンに比べるとスケールが小さく、また寂れているので、それほど心を動かされなかった。いっちゃんは二回目らしい。

ワット・チャイ・モンコンの涅槃仏

ガイドのエイクさん

本堂でお参り

戦勝記念塔

雨に濡れてシックな仏たち

戦勝記念塔から本堂を眺める

隣には半壊した仏塔も

すり減った階段

バスと言っても実際はワゴン車

 10分ほど車で移動して、象乗り場に向かう。道路沿いの公園のような所に乗り場があり、階段を上がってデッキから、一頭ずつ寄って来る象の背中の椅子に乗り込んで10分ほど周回するというもの。象の頭の上に象使いがまたがっていて、客は二人乗ることができる。客の頭の上には小さなパラソルがあるため雨でも頭は濡れないが足は濡れる。200バーツ追加すればもう少し遠くまで行ってくれるらしい。タケゴンはアユタヤに来る前から象には乗らないと宣言していて、みんなが乗っている間ひとりで待つ。雨の中を道路沿いにゆっくりと進む。象は思っていたより小柄だが、乗っている椅子の位置は結構高い。ゆらゆらと揺れるが振り落とされるほどではない。しかしビルマ軍との戦闘でも象に乗って闘ったというが、それは凄い迫力だったのだろうなと思う。やがて折り返しポイントのあたりで、別の象と待ち合わせて、向こうの象使いにカメラを渡すとこっちの“勇姿”を撮ってくれると言うのでお願いし、あり合わせのコインでチップを渡す。あとでタケゴンに聞いたら10バーツのコインだった。20バーツ渡したつもりだったのだが…。

象乗り場

思ったより大きいような小さいような

10分でも十分楽しめる

動画「アユタヤの象乗り体験」>

 10時過ぎに象乗り場を出て車で2分ほどでワット・プラ・シー・サンペットに着く。ここは3基の仏塔の周りに壊れた壁や草むした瓦礫が点在する廃墟のようなところ。仏塔に登れると言うので、壊れた石の階段を気をつけて上がってみたが、野良犬が昼寝していたりするだけで、折りからの雨もあって。とても侘びしい佇まいである。
 遺跡に隣接する新しい本堂?にまたまた靴を脱いで入り拝観。やはり足の臭いが立ち上っている。

火焔樹の花

雨のせいもあってひときわうら寂しい

3人の王の遺骨が納められた3基の仏塔

廃墟

草むした廃墟と瓶

タイは野良犬が多い。お寺に捨てに来るとも

栄枯盛衰という言葉がぴったりする

バンコク市内のきらびやかな寺院とは対照的だ

首を切られた仏像たち

 11時前に出て5分ほどで、木に覆われた仏像の頭で有名なワット・プラ・マハタートに着く。件の仏像の頭はなんとなく水木しげるの作品風にに不気味である。このほかにも首のない座像がずらりと並んでいるのは異様な風景である。ガイドの説明によると、仏像の頭には眼などに宝石がはめこまれていたため、ビルマ軍に戦利品として首だけ持ち去られたのだそうだ。ビルマも仏教国のはずだが、実利を優先して仏像に敬意を払わなかったのだろうか。

有名な「木に覆われた仏頭」

この仏様には首が付いていた

首の無い坐像が並んでいる

観光客もやや廃墟疲れ

何か訴えかけてくるものがある

地盤沈下で傾いている塔も少なくない

 鉄道でバンコクに帰るツアー客を途中のレストランで降ろして、11時半頃にアユタヤからバンコクに向かう。午後1時前に出発と同じインターコンチネンタルホテルに戻り、ホテル内のタイ料理レストラン「サワディー(Sawadee)」で、ツアーに付いている皿に盛られた定食ランチをいただく。薩摩揚げのようなものを含め、みな美味しく完食する。それにしても1,500バーツのツアーでここまで含まれているコスト・パフォーマンスの良さは感動ものだ。ちなみにビールを頼んだらSINGHAの小瓶が170バーツで、日本の生ビール並みの値段だった。
 食後に近くのマクドナルドで娘さんと合流し、セブンイレブンで歯間ブラシを探すも適当なものが見つからなかった。チットロム駅に行って構内の両替コーナーで最終の両替をする。カードもあることだし、あと必要なのはお土産代程度なので、3,000円にしておく。続いて、お土産を買いに「セントラル・ワールド」内の伊勢丹に寄り、いろいろ買い込む。前から欲しかった椰子糖(Palm Sugar)が手に入ったのは収穫だった。いっちゃんはタイ料理のペーストを買い込んでいた。タケゴンもここで念願の歯間ブラシをゲット!これで夜うなされることも無くなるか。
 買い物をしている間に雨は上がっていた。3時半頃、BTSサイアム駅からサパーン・タクシン駅に移動、タクシン船着き場で娘さんと一旦別れてホテル・フェリーでホテルに戻る。

ツアーのランチ

「サワディー」の店内

インターコンチネンタルホテル

チットロム駅付近

チットロム駅付近。二段の高架はBTS

タクシンでホテル・フェリーを待つ

 ホテルに戻ると、ドアの下にフロントからの伝言メッセージの封筒が入っていた。JTBが委託している現地旅行会社からの、明日の帰国のピックアップ時間がさらに30分遅くなって5時半になるという連絡だった。結局当初予定より1時間は長く眠れることになった。
 ディナー・クルーズまでの間、入浴して休憩する。撮りまくって残量が減ってきたカメラのバッテリーも充電する。このホテルの客室には、洗面所のシェーバー専用コンセント以外にいわゆる日本・アメリカ型のAタイプのコンセントが無く、出発前にアマゾンで購入したマルチ・プラグ・アダプターが役に立った。なおこの間、タケゴンが出国カードをうっかり捨ててしもたと騒ぎだし、一時はどうなることかと思ったが、あちこちひっくり返して探した結果、カバンの中からレシートの束に紛れて発見され、事なきを得た。
 7時前にホテルを出て、隣のリバーシティーの船着き場に向かう。7時チェックインと書いてあったように思うのだが、他のクルーズ船が次々出港するのに、申し込んでいる「グランドパール ディナークルーズ」の船は一向に姿を見せない。川上からクルーズ船らしいのが近づくたびに目を凝らすのだが違う。出港時刻の7時半が近づきちょっと不安になってきた頃、川下からド派手な船が大音響の音楽を奏でながらやって来た。クルーがデッキで整列して入港するなどなかなかの演出である。
 乗船後まもなく、我々のテーブルに民族衣装の若い娘がやって来て、タケゴンの胸に花をつけ、一緒に写真を撮りましょうと言う。不意を突かれた人のいいタケゴンはついつい言われるままにツーショットに収まったがすぐに後悔し、クルーズ中は民族衣装の娘と顔を合わさないよう努めていた。
 ビュッフェ・ディナーをいただきながら、生バンドの演奏をバックに、窓外のライトアップされたワット・アルンなどの夜景を楽しむ。お腹が一杯になったのでデッキに出て、心地よい川風に吹かれながら夜景を楽しんでいると、民族衣装の娘が目ざとくタケゴンを見つけて、写真を売りつけに来た。少しは抵抗したが最終的に購入、200バーツ。うっかり写真を売りつけられたことと若い娘とのツーショットということが、帰国してからトラブルの火種にならないことを祈る。それはともかく、ワット・アルンの夜景を往復2回見たが、やはり壮観の一語に尽きる。

リバーシティー前の埠頭で待つ乗船客


クルーが敬礼する演出がいい

まずはドリンク・メニューを

だんだんと小食になってきました

ライトアップしたワット・アルンが近づく

ビュッフェの料理

昼間よりも荘厳な姿

どの角度から見ても美しい

川面には他のクルーズ船も

ロイヤルオーキッド・シェラトンホテル&タワーズ

下船後に向かう「シロッコ」(左ビル屋上ドーム)


動画「ディナー・クルーズ」>

 2時間はあっという間に過ぎて9時半にリバーシティーに帰港。娘さん夫妻と合流するためにホテルに戻る途中で、先ほどの民族衣装の娘がアイスクリームを舐めながら歩いて来るのに出くわす。娘はチラッと「おっさ~ん」というようにタケゴンのほうを見てすれ違って行った。戻ったらすでに娘さん夫妻が待っていて、旦那の運転で「シロッコ(Sirocco)」に向かう。バンコクで人気スポットのスカイ・バーのひとつで、高層ビルの屋上がバーになっている。屋根の無いオープン・エアー形式なので雨が降ったらどうしようもない。雨季なので心配していたのだが、ディナー・クルーズ共々ラッキーだった。“タケゴン晴れ男”説が実証されたようだ。
 ビルの最上階までエレベーターで上がり、そこから大階段を下りたところがスカイ・バーなのだが、円形のバーカウンターの周りに人がすれ違うのがやっとぐらいの通路があり、夜景を眺めながら立ったまま酒を飲むようになっている。手すりの下は落下物防止に1mほどのネットが張り出しているものの、地上までストンと落ちていて、たぶん日本では許可が出ない構造だろう。一段下にテーブル席もあるが予約が取りにくいようだ。客は欧米人の若者が多い。みんな、名所だから来てみたという感じだ。先ほどまでディナー・クルーズをしていたこともあり、ウイスキーの水割りを一杯だけ飲んで11時過ぎにホテルに戻る。4日間、大変お世話になった娘さん夫婦にお礼を言って別れる。
 明朝も早起きなので、シャワーを浴びて就寝。

ビルの塔頂部のドームから階段を下りる

地上247mで世界一高いオープン・エア・バー

たしかにバンコクの夜景は見事だ

テーブル席もある

円形のバーカウンター

高速道路が大動脈のように走っている

値段も現地としては高いのだが賑わっている

丸いのは「アジアティーク」の観覧車だろうか

お月様と一杯やっている感覚になる

6/27(木)

ホテル 5:30 ― 6:00 スワンナプーム国際空港 8:15 ―(タイ国際航空)8:45 ―(これ以降・日本時間)16:20 関西国際空港)

 4時半頃に起床。出発準備をする。チェックアウトして5時半に迎えのワゴン車に乗り込み、高速道路を走って6時に空港に到着。来るときの関空の閑散とした風景とは大違いに混んでいて、長い列に並ぶこと40分。保安検査、出国審査の後、残ったバーツを使い切るためにお土産を買う。いっちゃんはまた度々来る機会があるので、全部は使わずに持って帰った。
 またしてもボーディング・ブリッジではなく、バスで搭乗機まで移動して搭乗。来るときと同様に空いていたので、離陸後は席を移ってゆったり座る。まもなく朝食が出る。魚のを頼んだが、ここのところスパイシーなものばかり口にしていたので、日本の煮魚の味付けを懐かしく思った。屋久島上空あたりで軽食のロールサンドイッチが出る。屋久島はあいにく梅雨前線の厚い雲の下で見えなかった。
 午後4時20分、関空に着陸。荷物を受け取り、入国審査を終えて、空港バスで帰る二人と別れ、JRに乗り込んだ。
 4日間という短いツアーだったが、いっちゃんの娘さん夫妻の現地案内のおかげで、一般のツアーとは違うリアルな街歩き体験ができたと思う。3大寺院や本場海鮮料理、アユタヤ、象乗り体験、クルーズ、スカイバー…と実質2日間のフリータイムにしては密度の高い充実したものになった。感謝感謝である。

朝5時過ぎのホテルロビー

朝焼けの中、空港に向かう

空港に到着

かなり混雑している

フライトを確認

タラップで搭乗する

寝不足でアクビも出る

朝食の機内食

とにもかくにも、いい旅に乾杯!



(カンボ)