昔話

昔々あるところに、人間の街で暮らすかわいらしいハーフエルフの少年がおりました。
彼は父親はおらず、混血であるゆえに近所の子供達からいじめにもあっていましたが、お母さんには愛されて育ちました。
お母さんは、冒険者の経験もある盗賊でした。
そのお母さんが病気で亡くなった後、お母さんの信頼していたギルド員のおじさんのところに預けられ、盗賊ギルドに所属することになりました。
ギルドでの修行中、年の近い少年少女たちにやっぱりいじめられたりもしましたが、おじさんが目撃するとかばってくれることが唯一の心の支えでした。

そして、成人したある日。
おじさんから、初仕事を命じられました。
仕事の内容は依頼人の貴族の家に行って詳しく聞いてこいと言われ、緊張しつつものこのこと出かけていきました。
そこで彼は、仕事に関係なさそうなお話を聞きながら、薫り高いコーヒーをいただきました。
そのコーヒーには、実はイケナイ薬が盛られていて。

なんだか体が熱くなってきて、具合が悪いのだろうと言われてベッドに寝かされ。
依頼人の貴族は、おでこに手を当てて熱をはかったり、寝るなら着替えた方がいいと言いつつ服を脱がせてきたりするのです。
何かがおかしい、と思い始めた頃には、薬のせいで抵抗する力も失っていました。
そのまま、体中をまさぐられて、痛いこともされて…
少し気持ちいいなどと思ってしまった自分に、屈辱感も倍増しになり。

↑あぶりだし

依頼内容というのは、それだったのです。
人生に絶望してどーでもよくなってしばらくはその貴族の家でどよーんと過ごしていた少年でしたが、
あるいはその貴族が本当に自分のことを愛してくれていたのなら、今でもずっとそこにいたかもしれません。
しかし、そうではないことを日に日に確信させられて。
ある日耐えきれなくなって脱走しました。

そして、おじさんの元に戻ってみると…
「なんだ、逃げてきやがったのか。違約金払わせられるからとっとと戻れ。
ああ、今までかばってやってたのは商品に傷をつけさせるわけにいかなかったからだからな。勘違いするな。
俺はあの、ルディをかどわかしたエルフにどんどん似てくるお前が嫌いなんだよ」

それからは、何をどうしたのかよく覚えていません。
とにかくギルドを飛び出して、行き倒れたところを魔術師のおじいちゃんに拾ってもらい、命拾いをしたのでありました。
ちゃんちゃん♪