筆者の貧乏性による公開物(*ノ_ノ)

アビィサイド

2年…いや3年前、父から明かされた衝撃の事実。
アビィには、腹違いの、ハーフエルフの弟か妹がいる。
それを聞いて森を出て、行き倒れて、ドワーフのおばさんに助けられて、たどりついた人間の街。
ハーフエルフは一般の社会に受け入れられず、冒険者になることが多いという。
アビィ自身も、冒険者というものに興味があった。
様々な人が集うという。
画一的な価値観を持ったエルフしか住んでいない森よりも、退屈しないだろう。
そう考えて訪れた冒険者の宿・月光華亭。

そこで…
軽蔑する父にそっくりの顔をした、人間の青年に出会った。
思わずまじまじと顔を見つめた。
「あ、あの…何?」
「…似ている。」
「へ?誰に?」
これがハーフエルフなら、目的の弟ということになるかもしれないが…あいにくと人間だった。
顔を見た瞬間に感じた懐かしさはふきとび、嫌悪感をもよおす。
失礼なことと知りながら、相手の言葉を無視して街へ出た。
そいつがソレルという名で、盗賊ギルドをぬけてきた魔術師であること、両親はいないこと、父とは全く違って人見知りをする気の弱い青年であること、女性関係に潔白であることなどは、後で噂に聞いた。

それからしばらくたった頃。
ふとした拍子に、頭にかぶっていたターバンから尖った耳をはみださせているソレルの姿を見た。
ソレルは少しビクッとしたが、すぐに「よっ」とぎこちなく笑って手をあげた。
最初に会った頃よりも、表情が明るくなっていた。
アビィは。
何も、反応することができなかった。
何故今まで気付かなかったのか。
探しにきたものがずっと近くにいたのに。
頭が混乱して。
何も言えなかった。
何も聞けなかった。

どうしていいかわからず、言い出せないまま、遠くからソレルを見つめる日々を過ごす。
そうしているうちに、彼とよく話している鎧の男のことも目に入つくようになった。
あれは確かオーグルと言って、「鎧の人」で通っていたはず。
以前いっしょに仕事をしたことがあったが、彼女がいるのに他の女に興味を持ったり、失言をしたらぺちっと叩かれたりと、あまりいい印象はなかった。
今は、その彼女とは別れたらしいが…
ソレルや他の仲間と話している様子を見ていると、そんなに悪い奴ではない。
いや、むしろいい奴だ。
その場の雰囲気を明るくして。
落ち込んでいる人を元気づけて。
冗談を言って笑わせて。
…しかし、何故宿の中でも鎧を着ているのだろう。

いろいろあって。
自分がその鎧に恋をしていることに気付いて。
ますます、ソレルのことを放置するわけにはいかなくなって。
友達になったクレアに打ち明けた。
そして何故かオーグルにも手紙で打ち明けた。
しかし、ソレル本人に言う勇気は出せずにいた。
そんな悶々とした気持ちを抱えていたある日。

本編骨組み ツラ文字入り

コンコン
「…誰だ?」がちゃ
「あ、起きてたか?ならちょっと話が…」
「…!いや、寝る。寝るところだったから…」
「Σ( ̄□ ̄;)ま、待て、閉めんな!今日は話がある!」
「明日にしてくれ」
「あ、そう?なら明日…いやいやいやいや、そうやって逃げる理由も知ってんだからな!ヽ(`△´)ノ」
「…(゜゜)?!」
「というわけで、だ…小遣いちょうだい(´▽`)ノ」
「…は?」
「いや、違う!なんで肝心な単語だけ抜け落ちてんだ!」がんがん
「お、落ち着け…(ーー;)」
「(すーはー)…姉ちゃん、親父から20年分の小遣い預かってへんかー?」
「………………。」
「………。ご、ごめん。冗談、でもないんだけど、なんだ…」
「オーグルか…(−−)」
「うん、そう…。あいつがこう、言ってみたらどうよ?って…まあそれも冗談だろーけど…なんか冗談だけで生きてるみたいだな、オレら(’’)」
「…とりあえず入れ」

「…どうぞ。竜殺し。ブランデー入り」
「おお?紅茶なのにか(゜゜)」
「オーファンの銘茶だそうだ。」
「ああ、オーグルのね…ふーん…(−−)」
「…やはり、恨んでいるのか?」
「い、いや!Σ( ̄□ ̄;)そーいうのはもうやめることにしたんだ!」
「やめようとしてやめられるものでも、ないと思うが…どうしてまた」
「だって、親友と、…ね、姉ちゃんじゃないか…。お祝いしなきゃ」
「…ありがとう。姉と思ってくれるのか」
「そりゃそーだろ、事実…あれ?そういえば」
「うん?」
「なんでオレのこと弟ってわかったの?ハーフエルフってだけで?」耳ぴこぴこ
「ああ、それは…」ごそごそ。似顔絵取り出し
「これが、わたしの父だ。母はお前とは違うな。」
「へー。そっくりだ。それで最初に…いや、ちょっと待て」
「何を?( ̄旦 ̄)」
「根拠はこれだけか?」
「ああ」
「違うかもしんねーじゃねーか?!Σ( ̄□ ̄;)」
「そうか?」
「他人のそら似ってあるじゃん!」
「…Σ(・・)」
「…。」
「冗談だ。」
「うおぉい?!狽k( ̄□ ̄ )」
「確信は、あった。お前の顔を見た時に感じた何かが。」
「だから…」
「それだけでは証拠がないので、森に帰った時、お前の母の名を聞いてきた。…父の浮気相手のな」
「うわき…(。。)」
「ルディという。赤毛で緑色の目をした、優しくて芯の強い女だったそうだ。」
「…あってる…(。。)」
「…どこまで聞かされている?母から」
「ほとんど、何も…。親父はエルフで、オレが産まれる前に別れたけどどっかで生きてるだろうってぐらい…」
「そうか…。こまかくは、言いたくなかったのだろう。」
「やっぱり、ひどい奴だったの?」
「ひどくは…あるな。お前にとっては。」
「…。」
「故郷に妻が二人もいるのに、お前の母に浮気をして…そこからさらに浮気をして、別れたそうだ。」
「〓■● 〜=□○0」
「( ̄旦 ̄)~」かすかに手がふるえている
「そこまで徹底してると…かえって笑えてくる…_| ̄|○」
「…そうか。」
「しかも…エルフだろ?なんか、イメージが…」
「あれは特殊例だ。」きぱり
「そ、そう…変わってるんだ…」
「変態だ。」きぱり
「そこまで言わんでも…( ̄▽ ̄;)」
「擁護するか?浮気という身勝手な原因で、まだ産まれていないお前と、身重の母を捨てた奴を」
「…(。。)」

アビィはぽつぽつと語る。
父は時々ふらふらと人間界に出ては、そこで出会った女性に手を出してきたこと。
その一人が、ソレルの母だということ。
子供ができたことを知りつつ、浮気がバレてあっさり別れて、森へ帰ってきたこと。
それを3年前に、酒に酔った勢いで笑いながら話されたこと。
今は幸せに暮らしているソレルに、今更嫌な気分を味わってほしくはなかったが。
贖罪のためには、話さなければならなかった。
そして。

「何故、ハーフエルフであることを隠していた」
「それは…いじめられたから…」
「どのように?」
「どうって…」
「思い出したくはないだろうが…辛い目にあったのなら、話してほしい。」
「ヤダよ…なんで…」
「お前の存在を知って森を出たときから、決めていた。父の代わりに、恨み言を聞いて、…それで…」
「そうだよ。辛かったよ。親父いなくて、母さん体が弱くて、耳尖ってるってハブにされて、手先が器用でも本が読めてもエルフの血が入ってるからだろうって言われて、どうしてオレ産まれてきちゃったんだろうって…だけど、それをあんたにぶつけるなんて間違ってる!(>_<。)」
「間違い…?」
「そうだよ…アビ…姉ちゃんは、知らなかったんじゃないか。親父がやらかしたことなんて。全然責任ないじゃんか。それに、つい最近まで、オレがここにいることさえ」
「だが…わたしは…」
「なんでもっと早く見つけてくれなかったんだよ。言ってくれなかったんだよ!」
「え…」
「おかげでオレ、あんたに嫌われてると思って…しかも、人の顔見て逃げるようなよくわからん奴にオーグルを、とられる…と…おもっ…」
「それは…すまない(。。)」
「あやまんなよ!」
「は?怒っているのでは…?」
「ただの八つ当たりだよ!わかれよ!ヽ(`△´)ノ」
「すまない、わからなかった」
「だーかーらー!!」
「お前、おもしろいな。」
「_| ̄|○そりゃどうも…」

「それで…?気付いてからまたしばらく間が開いてただろ?なんですぐ言わなかったのさ」
「それは、その… 恥ずかしかったから」
「何が。」
「…(///_///)」
「…(*ノ_ノ)」
「ここへ来てすぐに会って、これだけ父にそっくりなのに、人間だというだけで違うと思って…放置…したことが……わたしは馬鹿かと…」
「やーいばーかばーか(σ ̄▽ ̄)σ」
「(ーーメ)」
「すんません、調子に乗りましたm(_ _)m」
「いや…馬鹿にされるようなことをしてきたと、思っている」
「そんな真面目になられても!Σ( ̄□ ̄;)ノシ」
「…お前たちは、本当に…」微笑み
「お前、『たち』?」
「オーグルも、そうだ。そうやって茶化して、気まずい雰囲気をやわらげようとしてくれる」
「そ、それは、シリアスになれない病といってだな…」
「病気なのか?」精霊を使役する仕草
「そう… って、だから真面目にとるなとゆーのに!」
「(。。)」
「お前アレだな…ツッコミの修行したるな…」
「是非(・・)」
「あー…でも、どうだろう。『そんな君が好きっ!』てのもあるかもしんないし…」
「それは…ないだろう…」
「なんでよ( ̄▽ ̄;)」
「あいつはわたしといると、酷く居心地が悪そうだ。特に、冗談を真面目にとってしまった時」
「…(’’;)ふーん…つっこまれたがりさんだからなあ…」
「ところで、誰の話をしている?」
「え?オーグルじゃないの?」
「…通じるものだな…。」
「今の会話で通じてないとえらく気まずいんだが…」

「ゆっくり話ができてよかった。来てくれてありがとう。」
「礼なんて言うな。照れるじゃん(///▽///)ノシ」
「オーグルと、みんなと…これからも仲良くな」
「おう。 って…なんだかお別れみたいなこと言うじゃん。ダメじゃん(。。)」
「別れたくないと、思ってくれるか?」
「そりゃあ…姉ちゃんだし…そうでなくたって、月光華亭の仲間じゃん…それにオーグルが…」ののののの
「そうか…もう、思い残すことはない。森を出てきた目的は果たしたし、お前も元気で…」
「…ちょ、ま、マジで?!」
「冗談だ(・・)」
「きいいいい!!」
「(くすくす)」

「では…」手を差し出す。
「な、何…?」
「握手。家族のあかしとして。」
「う、いや…家族はいちいちそんなことしないだろ?するのか?(///_///)」
「ああ、そうだな…では」抱きしめる
「え、ちょ、ま…あの…」
「わたしの家族は、よくこうしてくれた。お前は?」
ソレルのたった一人の家族であった母も。
家族同然の愛情を持って育ててくれた師匠も。
落ち込んだ時には、抱きしめてくれた。
「母さん… 姉ちゃん……」
抱きついて、子供のように泣きじゃくる。

「オーグルが、気にしてたよ。アビィの思惑を壊したんじゃないかって」
「それは…違う。わたしが、勇気がなかっただけ。かえって感謝している」
「じゃあ、そう言ってやんなヽ(´ー`)ノ」
「そうだな…頼んだわけではないのに、結局頼ってしまった(。。)」
「いいんじゃん?あいつ頼られるの好きだしー。交流の神様の使徒じゃん」
「交流、か…」銀のショートソードを取り出し
「な、何?!オレなんか刺されるようなこと言った?!Σ( ̄□ ̄ノ)ノ」
「(−−)…この柄と鞘の装飾を見ろ」
「お、はっぱだ。キレーだなー」
「まじないごとの本によれば…葉脈は、人と人との交流を象徴するという。そんなことは意識せずに、気に入って買ったものだが」
「ふーん。なんかかっこいいじゃん( ̄ー ̄)」
「エルフは聖印を身につけることはできないが…これをいつも身につけていよう。」
鈴ちりりん
「イイナ…オレもなんか持とうかな」
「…そうだ。葉っぱではないが、姉弟のしるしに、これを…」
緑色のリボンを巻いたラベンダースティックを。
「お?なんだコレ?いい香りがする」
「ラベンダーの花を乾かして飾りをつけたものだ。オーグルも兜にさしている。」
「おお、おそろいっぽ?(///▽///)アリガトー」
「(くす)」
「じゃあオレもオレも」
フクちゃんの羽根をぶちっ
「Σ(・・;)」
「イテテ…これやる!かざっとけ!」
「ありがとう…」
「フクロウやミミズクは、知恵の象徴だ。オレはね、ラーダ様の信者なの」
「そうなのか…(。。)」
「でも、チャ・ザ様とラーダ様は仲良しだぜ!多分!」
「多分か狽k(・_・ )」
「言葉は交流を円滑にするものであり、伝えるべきことを正確に言葉にのせるためには知性と知識と…ち(がっ)舌噛んだ…=□○_」
「_| ̄|○…」←笑
「ま、受け売りだからうまく言えん!後でシャルトかリージャにでも聞いとけ!」
「そうする…(’’)」
「じゃーなっ(≧∇≦)ノ おやすみお姉ちゃん♪」

ごみばこ

「すまなかった…」
「な、だから、あやまるなとゆーのに…」
「今のは、父の代わりだ。お前に苦労をかけてきたことを」
「だから、なんで…」
「………家族だから?」
「あんなボロクソに言ってんのに、家族って…」
「逆だ。」
「ぎゃく?」
「他人なら、言えない。身内でなければ、変態などと」
「そーかなぁ…」
「お前も、友達に軽口を叩くだろう?」
「ああ…」

「別にそんな、家族だなんて、ただ父親がいっしょなだけじゃん。いままでいっしょに暮らしてたわけでもあるまいし」
「…そうか?」
「そうだろ?」
「すれ違いばかりとは言え、この宿で共に過ごした日々は、家族と呼ぶに足りるものではないか?」

「神様、か…」
「エルフは、神様信じないんだってな。」
「ああ、そういう習慣はない。わたしたちを生み出したのは、神ではなく世界樹だから」
「そしたら…理解できないもんなのかな…」
「理解は…したいと思う。人間の社会の中で、生きていく指針になるのなら」
「ほんとに、森に帰らないつもりなんだな…」

「オレもチャ・ザさまの説法聞いてみようかねぇ…」
「…聞くと、寝るくせに」
「な、なんで知ってるΣ( ̄□ ̄;)」
「シャルトに聞いた(・・)」