<お話>
幼い頃に事故で母親と死別した森咲亮((主人公)は、ロボット技術者の父と、メイド代わりに引き取った身寄りのない少女、美桜(みゆう)と共に、一つ屋根の下で暮らしていた。自らの通う『柊学園』で穏やかな学園生活を続けながら、亮は、さほど歳が違わない美桜に、いつしか、メイドと言うより、妹のような感情を抱くようになっていた。
いつまでも続くと思われていたその生活は、父親が連れてきた一人の少女によって変わることになる。その少女の名前は「梨乃」。 父親がメーカーからの依頼を受けて製作していた、メイドロボットの試作機であった。父親は、試運転期間として作動データを収集する1か月間だけでも、彼女に家事を手伝ってもらえば、美桜の仕事が楽になるだろうと思い、連れてきたのだった。
そして、物語は始まる……(以上メーカーサイトより、一部改変)。 <プレイ状況>
攻略対象は4人で、エンディングが各2つずつあります。(アップデート前にやったので)バグのためCGは一枚見ていませんが、一応フルコンプと言うことで。 <システム>
フルインストールで650MB。システム的に引っかかる部分は特にありませんでした。save数30、文字速度、フォントの選択、スキップの既読判定、音量調整、ボイス再生、バックログなど必要な機能はすべて装備されていて、使い勝手も良かったです。システムボイスがヒロイン4人から選べるのも心憎い演出。おまけもCG、イベント、音楽と必要なモノは完備。非アクティブな状態で動作が止まるのだけはイヤなんですけど……。 <ゲームデザイン>
システム面が充実しているだけにゲームデザインでの考えのなさが非常に際だちました。同一プレイの中で同じイベントが頻出します。もうこれでもかというくらいに。基本はマップ移動型で、学校での昼休み、下校時(誰と帰るかも選択)、下校後・家で、それぞれ移動先を選択するのですが、ここで起きるイベントに使い回しがやたら多い。既読スキップが利くので許容範囲内かと思っていると、場所が違うとか、内容が少し違う(例えば本屋で立ち読みというイベントでミステリかSFかというような違い)で再び同じイベントを…。日常イベント程度なら許せるかと思っていると、涼音シナリオでは、選択肢がある重要イベントですら二度、三度と使い回され、プレイヤーはその度に同じ選択を…、また美桜を引き取った理由とか比較的重要なイベントも同じテキストで二度語られていました(激怒)。
まあ、そんなんでイライラしながらもヒロインに会ってイベントを起こし、好感度を高め、とデザイン的にはオーソドックスと言って良いでしょう。好感度を見ることが出来たり、重要イベントが発生する場合はマップの色が違っていたり、プレイしやすいように工夫はされていますが、オンリープレイでは攻略できないようで難易度は高め。私は最初から攻略に頼りました。主人公名は森咲亮で固定。 <音楽>
PCMで21曲。うちオープニングとエンディングに主題歌がありどちらもアップテンポな曲ですが、ゲームの内容やBGMはもう少し落ち着いた感じです。「小鳥のメモリー」は優しい感じの曲でお気に入り。良い曲が揃っていると思うのですが、PCMで非アクティブだと止まってしまうため、ゲーム中以外にゆっくり聴くことが出来なくて残念。 <音声>
美桜以外のキャストはこんな感じです。森咲梨乃:北都
南、穂々月柚香:AKIRA、華宮涼音:白井 綾乃、彩蕗まゆら:木葉楓、桐生若葉:藤代奈央、ことり:夏野向日葵。徐々に「感情」が芽生えていくロボット役を北都さんが好演しているのは言うまでもありません(笑)。またAKIRAさんががさつ系ヒロイン、夏野さんが無邪気系ヒロイン(?)と、それぞれはまり役(?)を見事に演じています。他も芸達者な方々ばかりで不満なし。 <グラフィック>
それぞれ、美桜…25、梨乃…30、柚香…19、涼音…16、バリエーションなしでこれだけの枚数なので、標準的だと思います。ただ、実際にプレイしているとCGがないのが残念なイベントが多々あったのも事実です。原画は橘あかりさん。Tacticsの『すいすいSweet』の時からのファンです。制服の袖の太さ(笑)とか、首の辺りとかちょっと気になるのですが、女の子は抜群に可愛いです。立ち絵、背景も高レベルだと思います。またアイキャッチなどで見られるチビキャラが可愛いのも評価を上げています(笑)。 <シナリオ>
シナリオライターはでぇすてさん。序盤に顕著なのですが、説明的すぎたり無駄だと思える会話や独白が多いですね。一例を挙げるなら「美桜が友達と話している→邪魔しちゃ悪いから別れる(主人公独白)→気を使ったんだね(友人のフォロー)→主人公の説明」という一連のイベント。友人との会話以降はクドくてウザいだけだと思います(笑)。
そんなわけで相手の心情を推し量ることを得意とする主人公なんですが、恋愛に対してはご多分に漏れずニブチンです。柚香みたいにあからさまに愛情表現しているヒロインに対してちょっとやり過ぎと思えるほどニブチンぶりを発揮するので、もう少し何とかならないものかと思ことしばしば(苦笑)。
各ヒロインのシナリオについては、ロボット対人間(人間性)というテーマ性を前面に出している部分はあるもののごく一般的な恋愛モノで極端な出来不出来は感じませんでしたが、涼音シナリオはちょっと唐突と言うかご都合過ぎるなぁ……と思います。また、テーマを重視しているため、設定とかイベントが作りすぎというか、若干図式的な感じを受けることもあり、特に梨乃シナリオでは、サブキャラ2人が使い捨て的に使われていて少し哀れなような気がしました(笑)。
この作品ごく一般的なイベントが多くて、特に変なシナリオが有るわけでもないのに終わった後にそれほど印象に残らないのは、「あたりまえすぎる(=テーマに匹敵する抽象的思考がない)」というのもあるのでしょうが、同時に心理描写、状況描写の不足も原因だと思われます。例えばあるヒロインが別のヒロインに嫉妬して主人公とケンカする場面。主人公と別のヒロインのイチャイチャ場面や、女の子のイライラの描写が絶対的に不足しているから、唐突な感じを受けてプレイヤーの側が付いていけなくなってしまいます。
じゃあ、ぎこちないだけでありきたりのイベントばかり詰め込んだクズ作品かというとそんなことはなく、恋人になった後のラブラブ感は最高です。もう、『とらハ』シリーズに匹敵するくらい(笑)。最初から「萌えオーラ」を発しているのは柚香くらいなのに、結ばれた後の至福感は何者にも代え難いものがあります(爆)。残念なのはこの所謂「第二部」がそれほど長くなく、Hシーンの数も不足していること。シナリオの比重がもう少し違っていたら、結構な良作になっていたのではないかと悔やまれます(笑)。 <Hシーン>
純愛モノの基準は十分にクリアしています。各ヒロイン、最初の一回とエンディング分岐後にそれぞれ一回で計三回あります(涼音は分岐後だけなので二回)。CG枚数も結構使われているし、定番なシチュエーション(神社の本殿の中、お風呂)、服装(巫女服、メイド服のH)など、押さえるところは押さえています。
ただ、他の二人にはあるのに、奉仕する立場のメイド二人にフェラチオシーンがないのは如何なモノかと思います(激怒)>というか、二人とも普通のHシーンになっています。あと、H前後の甘々感は良く書けているし、前戯の部分なんかもそれなりにテキストを費やしているのに、肝心の挿入後が短いような…(汗)。
個人的には美桜の貧乳ぶりがお気に入りです(爆)。一応全員処女ですので、そっち系の方は安心してプレイを(謎)。
<総合評価>
デコボコをならすとこんなものかなあ、の6点。
我慢してエロゲやるなんて言語道断なのですが、デザイン的な問題もあって、中盤までのタルさは苦痛以外の何者でもありません。ですが、終盤のラブラブ萌え萌え感は好きな方にはたまらないものがあるのではないでしょうか(笑)。 |