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レポート5 家庭教育プログラム:子育て編3
(めだか:児童福祉、養育家庭の専門誌 no.24 平成16年3月)

 今回は離婚家庭や親が精神的に不安定で親権をとることができない親たちの為に用意されているプログラムを紹介します。まず始めに、Child Abuse Prevention Services系列のFamily Growth Centerで行なわれているHelping Ourselves Parent Effectively(H.O.P.E.)についてお話します。参加者のほとんどは幼児虐待やネグレクトなどで問題になり、裁判所で提言されて来ている人たちです。2時間の講座にはインストラクターによる講義やデイスカッションがあります。10回シリーズでプログラムは作成されています。テーマは親業、コミュニケーション、自尊心をもつには、ストレス、怒りの処理の仕方、健康家族になるために等です。

 また、ミシガン州立大学系列のMSU Extension イートン郡ではスマイルというプログラムが実施されています。離婚率の高いイートン郡では18歳までの子どもをもつ離婚した親たちにこの講座に参加することが義務付けられています。MSU Extentionのデレクター、裁判官、大学の教授による講座が2時間行なわれます。ビデオ鑑賞、デイスカッションも含め、子どもたちの成長に大切なことを講義していきます。
 
  親が精神的に疲れている時に、子育ての為の講座に参加するようにと、強制的に指示されることは、とても苦痛だと思います。実際、すごい血相をして参加している人を見て、はじめ怖いとすら感じました。しかし、回数を重ねるごとに気持ちも和み、積極的に参加し、また新しく講座に加わった人たちにアドバイスをするようにすらなるそうです。その様子を聞き、本当にこれらの講座が荒れた心を持つ人たちのためになっていると感心しました。スマイルに参加していた男性が講座終了後、私に向かってこういいました。「一回目の離婚の時、この講座があったら、こどもたちを傷つけずにすんだ。今回の講座には感謝している」と。心が病んでいる人たちは自分たちでよい方向に生活を持っていくことはとてもたいへんだと思います。そんな時、人をサポートすることができる、この様なプログラムが日本でも必要とされているのではないでしょうか。先入観でそういう人たちは人の話を聞かないとか、あまりそういう人たちに踏み込まない方がいいとかで片付けてしまうには、あまりにも残酷な気がします。良い講座を提供することは内容がしっかりしていることと同時に講座を受け持つインストラクターの人間性が問われると思います。