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レポート4 家庭教育プログラム:子育て編2
(めだか:児童福祉、養育家庭の専門誌 no.23 平成16年2月)

 今回はChild Abuse Prevention Services(CAPS)が行なっている数あるプログラムのなかで「子育て養成講座」(Nurturing Parenting program)を紹介します。CAPSは日本でもCAPとして紹介され、子供たちへの暴力防止の活動をしているボランテイアグループがあります。

 「子育て養成講座」は0歳から5歳までの子供を持つ家族対象に作られています。多くは夫婦単位で参加し週1回3時間の計13回の無料講座を受講します。大人が受講中、子供たちは別の部屋でチャイルドインストラクターと遊びながら過ごします。始めの45分は講座を担当するスタッフ全員と参加家族一緒の夕食を過ごします。夕食はプログラムの一部として用意されています。和気あいあいと夕食のときは過ぎます。夕食後、全員で子供ソングを歌います。その後大人と子供は部屋を別になり、1時間45分の講座が始まります。教材はfamily log(家庭日誌)、ビデオ、テキスト(100頁ほど)(Nurturing Program for Parents and their Children Birth to Five Years)を使用しています。参加者にはテキストが無料で配布されます。家庭日誌は個々で家庭での出来事を毎日書きとめて置き、講座のとき家庭で起きた出来事を話します。話をしたくない場合は強制ではないので、家庭日誌を書くことができていればよしとされています。そしてインストラクターからのレクチャー、デスカッション、ビデオ観賞があります。講座内容はテキストの中から選ばれます。参加者のほとんどは予習として、毎回テキストを読んできています。たとえば、「子育てをライフスタイルとして」、「子供の成長の過程」、「情緒のはぐくみ方」、「親自身の精神安定には」、「家庭のモラル」、「どうして親は子をたたくのか」など、20数個のトピックが用意されています。そして最後にもう一度スタッフ、大人、子供が一緒になり、さよならソングを歌って終了になります。
 
  参加者は友達家族に誘われて参加する人たちや、プログラムが気に入り参加するひとたちと色々でした。講座では子育てに関する質問や意見交換が活発に行なわれています。私が見学に行ったときは「どうして親は子を叩くのか」が主なトピックになっていました。アメリカでは基本的には子を叩くことはこどもの情緒発達に悪いとされていますから、インストラクターからのレクチャーは子を叩くことは良くないことが前提に話されています。デスカッションが始まり、しつけの為に叩くことは良いことか悪いことかと賛否両論の意見がだされました。この時は、アメリカ人夫婦、中国人夫婦、東ヨーロッパの夫婦と多彩な顔ぶれで、子を叩くことが良いか悪いかはかれらの生まれ育った環境(文化)の違いから来るものでした。インストラクターと、参加者は互いの意見によく耳を傾け、相手のことを理解しようとする姿勢がとても印象的でした。一人一人が納得した子育てをする為には、個々がトピックに関して、知識を得ることと、自分が納得することが大切なので、この時は、インストラクターが子を叩くことは悪いと結論づけず、次回に持ち越したことは素晴らしいと思いました。またこのトピックに関したもっと詳しい資料を提供することも参加者に伝えました。

 前回と今回と2種類の子育て講座を紹介しましたが、各々アプローチの仕方は違いますが、確実に参加者の為になっています。自分にあったプログラムに参加できたら学ぶことも楽しいと思います。
 次回は、家庭不和のなか、子育てをする親たちの為のプログラムを紹介したいと思います。