レポート 投稿 マスコミ
レポート1.家庭教育に思いをのせて
(めだか:児童福祉、養育家庭の専門誌 no.20 平成15年11月)

 近年、日本でも家族問題や青少年犯罪がクローズアップされてきました。アメリカでは、これらの問題はもっと深刻です。それゆえに、これらの問題に対処できるプログラムが州,民間の間で多数作られ、実施されています。心理学者、精神科医、カウンセラー、家庭教育者、大学の教授など色々な分野での専門家たちが協力しています。

 私はアメリカで勉強する機会に恵まれ、幼児教育、子ども発達学、家庭環境を大学で専攻し、大学院では家庭教育プログラムの作成、家族のための公共施設のあり方を専攻しました。学校の講義、実習はもちろん、現場のプログラムの見学や参加も多数行なうことができました。この経験を活かし、家庭教育プログラムを推進することによって日本の家族の和、生活の向上に役立てたいと思っています。

 子どもたちは心身ともに安らげる環境で育つべきである。衣食住はおびやらされることなく精神的にも安心して暮らせる環境が大切である。子どもたちをとりかこむ環境も良いものでなくてはならない。直接的(家族、学校等)または間接的(企業、サークル、または市,県,国の方針等)でも子どもたちに関わるものは常に良い方向へ進んでいくことが望ましい。

 こどもたちのための良い環境作りを追ってみれば、数限りない方法、手段が考えられ、協力が必要とされてきます。ここでは、直接子どもたちにかかわりのある人たちの為に作られる家庭教育プログラムの必要性を述べることにします。
家庭教育プログラムとは、個人が自分自身を助けることができるようになるために手助けをするプログラムです。迷いごと、悩みがあるとき、はけ口があれば、一時的でも気が楽になるという経験があると思います。そのはけ口の仕方が否定的なものであったとしてもです。ですが、これでは問題解決にはなってはいません。また同じことの繰り返し、ということになります。

 家庭教育プログラムとは、問題解決の仕方が肯定的です。実際に今後同じ迷いや、悩みにぶつかったりしたときのその問題に対して対処のしかたを身に付けるとか、悪くなる状況になる前に対処ができるようになること。またはおなじことを繰り返さないことを目的としています。現在深刻化している幼児虐待、DVなどを防げる可能性は大ということです。人はちょっとしたきっかけ、サポートで軌道修復できるし、まして、大いに飛躍することもできます。

 今日の社会では、大勢の人たちが毎日急がしく過ごし、また個人主義化がどんどん進んでいるように思えます。この環境のなかでは、人は簡単に孤立し、孤独感を感じると思います。家庭内でも同じです。夫婦で話し合うことができないとか、親と子で意思の疎通ができないとか。悩みがあるけど、一人で悩むしかない。話せる人がいないとか、人に言いたくないとか、悪い状況がますます悪化することになります。家庭教育プログラムを通して新たに気持ちのわかる人たちに出会うこともでき(似た興味、悩みがあるから)、気も和らぐと思います。

 個人、家族は社会に属しているものだから、孤立することはその個人,家族、また社会にもよくありません。おおきく見れば、人との調和、地域との調和は、社会をすみよい場所にします。反対に、孤立は、対立の多い社会を生むことになります。
最後に、いまここで大切なことは、自身の心身の健康と人との調和だと思います。それには、家庭教育プログラムの特性“悪くなる前に対処” がこれからの日本の家族に必要になってくると思います。また教育と言う観点から知識向上ができ、生涯を通して学べることは良いことだと思います。