東京出身。1953(S28)東京大学文学部英文科卒業。大学院に進み、'58 博士課程満期退学。中央大学講師や東京大学教養学部講師を経て、母校の東京大学助教授、'77 教授。専門は英文科や比較文学。
サミュエル・ベケット、ルイス・キャロル、シェイクスピアなどを研究対象とし、ノンセンスなどの、文学における言葉遊びに光を当てるとともに、キャロルの少女愛好についてもその全体像を紹介した。筒井康隆などを論じた「メタフィクション覚え書き」から「メタフィクション」という用語が一般化するきっかけとなった。
東京大学を停年退官し名誉教授。その後は昭和女子大学大学院教授。日本英文学会会長、日本シェイクスピア協会会長、国際シェイクスピア学会副会長を歴任し、'93 英国よりCBE勲章を受章した。享年70歳。
日本演劇の研究も行い『橋がかり』が没後(2003)出版された。また晩年はシェイクスピアの研究を行っており、『ウィンザーの陽気な女房たち』、『間違いの喜劇』をそれぞれ狂言「法螺侍」、「間違いの狂言」に翻案し、英国など海外でも上演された。没翌年(2003)に出版された『間違いの狂言』の「ややこしや、ややこしや」という台詞は、主演した野村萬斎がテレビ番組「にほんごであそぼ」で用いたことから、子供も口にする流行語となった。また同じ年(2003)、ジェイムズ・ノウルソン著『ベケット伝』の共訳も出版され、訳者あとがきには高橋自身が生前執筆した訳者代表としてのあとがきと、共訳者らが高橋の死後に執筆した追悼文が掲載されている。
*墓石正面は「橋井家 / 高橋家 之墓」。右側に墓誌があり、橋井家と高橋家が刻む。高橋は「髙橋」と刻む。橋井新吉(1919.1.14歿)から刻みが始まる。新吉の妻はツル(1976.4.22歿)。商工省官僚を務めた真(海軍中将の川島令次郎の三男)はツルの養子となった。橋井真の戒名は普照院殿念誉真諦浄光大居士。真の妻は宣(1942.2.17歿)。真の娘の迪(みち:1932.9.19-2016.10.28)が英文学者の高橋康也に嫁ぎ、墓所は橋井家と高橋家の合同墓所となっている。
*高橋康也と迪はキリスト教の洗礼を受け洗礼名は、康也はアウグスチヌス、迪はマルガリータ・マリア。なお、高橋迪は津田塾大学英文科を卒業し、夫の高橋康也と共訳をするなど翻訳家として活動した。また息子の高橋宣也はイギリス文学研究家で慶應義塾大学文学部教授。娘の美穂子も上智大学卒業後に翻訳家として活動し、英文学者で東京大学教授の河合祥一郎と結婚。河合祥一郎は義父の高橋康也没後にシェイクスピア研究を受け継いでいる。