松本慎一

　愛媛県出身。一高を経て、1926(T15)東京帝国大学法学部政治学科卒業。 卒業後、三省堂に入社。日本共産党の非合法活動に従事、'31(S6)コミンテルン極東代表ヌーランの検挙の余波で検挙され、'32日本共産党入党。'34再び検挙され翌年保釈出獄。
　雑誌「国際評論」「世界年鑑」の編集と共に国際政治評論の執筆を行うかたわら、'38京浜共産主義グループを結成、非合法実践のため逮捕され、翌年執行猶予の判決で出獄。
　橘樸(たちばな しらき)の名で『中華民国三十年史』を発表、ネールの『印度統一』の翻訳など評論家として活動した。
　戦後、日本共産党に再入党、全日本印刷出版労働組合書記長、'46産別会議結成では聴濤克巳らと幹事に選ばれた。'47参議院選挙に出馬したが落選。中央労働学園で教鞭をとったが、戦争中に執筆した著書『西洋の追放』で公職追放、共産党員では初の教職不適格者となった。
　一高、東大を通じて尾崎秀実(10-1-13-5)と親友で、尾崎検挙後はその家族を援助、公判対策などで尽力した。著書は他に『新世界の構想と現実』などがある。享年46歳。

＜市民・社会運動人名事典＞
＜講談社日本人名大辞典＞
＜森光俊様より情報提供＞

　

尾崎秀実