メイン » » » 栗本一夫
くりもと かずお

栗本一夫

くりもと かずお

1912.5.27(明治45)〜 1992.11.27(平成4)

昭和期の弁護士、最高裁判事

埋葬場所: 4区 2種 新26側

 岐阜県出身。1935(S10)東京帝国大学法学部卒業。'67福島地裁所長、'68東京高裁判事、'72横浜地裁所長、'73名古屋高裁長官、'76最高裁判事を歴任し、'82退官。享年80歳。長男は経済人類学研究者、法社会学研究者、評論家の栗本慎一郎。
 栗本が関わった裁判で有名なものは、'80「四畳半襖の下張事件」(よじょうはんふすまのしたばりじけん)の裁判長を務めたことである。 この事件は、'72作家の野坂昭如が編集長をつとめる月刊誌「面白半分」に、性的描写のある永井荷風の戯作「四畳半襖の下張」を掲載したことが、刑法175条のわいせつ文書販売の罪が問われた刑事事件である。 野坂と同誌の佐藤嘉尚社長が起訴、著名な作家たちが証人申請して争われ、わいせつの概念が問題となった。 結果、一審、二審とも有罪で野坂に10万円、佐藤に15万円の罰金となったが、被告人側が上告し、最高裁で争われた。 '80栗本が裁判長をつとめ、11月28日第二小法廷判決で、わいせつ文書に当たるとして上告棄却の判決を出した。 '57に最高裁で争われたチャタレー事件(英国作家ローレンスの「チャタレイ夫人の恋人」を日本語に訳した伊藤整と、版元の小山書店社長の小山久二郎に対して刑法第175条のわいせつ物頒布罪が問われた事件)を踏襲する形での判決とされる。

<物故者事典など>
<森光俊様より情報提供>


*チャタレー事件の判決を下した裁判長は下村三郎(16-1-8)である。


関連リンク:



| メイン | 著名人リスト・か | 区別リスト |
このページに掲載されている文章および画像、その他全ての無許可転載を禁止します。