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かとう げんち

加藤玄智

かとう げんち

1873(明治6.6.17)〜 1965.5.8(昭和40)

大正・昭和期の宗教学者

埋葬場所: 11区 1種 3側

 東京出身。東京浅草の浄土真宗高田派称念寺の僧の加藤玄聽の長男として生まれる。雅号は波水。1896(M29)家督を相続。
 1899.7.11(M32)東京帝国大学文科大学哲学科卒業し、大学院に進む。1900.1.27 仏教清徒同志会に加わり、機関誌『新佛教』の創刊に携わる。'06.2 陸軍士官学校英語学教授嘱託、同.7.10 母校の東京帝国大学文科大学講師嘱託となり宗教学を講じる。'07.6.12 陸軍教授(士官学校付)に任命される(高等官6等)。'09 論文「知識と信仰」により文学博士。論文の審査を担当したのは日本人初の哲学教授の井上哲治郎。'12 御殿場東山に学労窟研究所建設、また明治聖徳記念学会を創立し、常務理事・研究所長に就任。
 '18.10(T7)陸軍文官として上海、香港、マニラ、シンガポールへ海外視察。'21.4.5 東京帝国大学助教授になり神道講座を担当。'24.5 国学院大学講師を兼務。'28(S3)万国東洋学会で「本邦生祀の研究」を発表。'29.4 国学院大学附属神道部教授(〜'38.3)。同.11 高松宮宣仁親王に進講(宗教学、神道)。'30 万国東洋学会で「卜部兼倶の神道哲学」を発表。'31.7.18 国学院大学教授に就任。'33.3(S8)陸軍士官学校と東京帝国大学を依願退職。正四位。'41 ロンドンの日本学会の名誉会員となる。'44 春 御殿場に移住。同年、明治聖徳記念学会名誉研究所長(後の学労窟研究所長)。
 主な著書に『宗教新論』(1900)、『宗教学』『宗教之将来』(1901)、『宗教学精要』『我が建国思想の本義』『宗教学』『神人乃木将軍』(1912)、『本邦生祀の研究』(1931)、『神道の宗教発達史研究』(1935)、『神道精義』(1938)などがある。また自伝的回顧『修養第一』(1917)、『つむじ曲の寝言』(1933)を刊行。
 宗教学者としては、オランダの宗教学者の C.P.Tiele (コルネーリス・ペトリュス・ティーレ)の影響を受けて、倫理性の発達という観点から宗教の進化を説くものであり、明治末年頃から開始した神道研究にもこれを応用し、天皇崇拝や神国思想の理論づけに貢献した。
 '45 敗戦とともに公職追放を受けた。'47.1.25 隠居届提出、加藤誠平(同墓)に家督を相続した。晩年は御殿場の東山学労窟研究所において後進の指導に当たった。
 '60.11.3 神道の宗教学的研究を以て宗教文化の究明に尽くせる功績著明なるにより紫綬褒章。'65.4.29 勲3等瑞宝章。受章一週間後に逝去。享年91歳。葬儀は御殿場市の大雲院(曹洞宗)の住職によって執り行われた。

<コンサイス日本人名事典>
<宗教学文献事典>
<『新佛教』関係人物データ集>
<人事興信録>


*墓石は和型「加藤家之墓」、裏面「昭和九年十二月建之」。右面が墓誌となっている。長男で31歳の若さで亡くなった加藤誠智(1903.2-1934.6.10)から刻みが始まる。加藤玄智の戒名は圓寂無所得庵藤玄大徳。「文学博士」とも刻む。家督を相続した二男の加藤誠平と妻の美子(H2.11.7・享年70才)は俗名のみ。

*加藤玄智の最初の妻はセツ(M10.5-S14.9.26)。島根県松江出身で門脇義雄の長女。1902.2.21(M35)結婚。東京女子高等師範学校教諭、十文字女子高等学校教諭を務めた。長男の誠智(M36.2.8生)、二男の誠平(M39.2.7生)が誕生。誠智は脊髄カリエスで、'34.6.2 病死。享年31歳。駒込吉祥寺にて葬儀が執り行われた。戒名は「法界院誠心智明居士」。'35 追悼本『鶏の新研究』が弟の加藤誠平の編集で刊行。誠智は ひさ(T14.9生)の庶子がいる(生母は平田せき)が、中原信民の母 ふを の養子となった。'39.9.26 玄智の妻のセツが亡くなる。駒込吉祥寺で葬儀が執り行われた。戒名は「圓妙院秀芳清節大姉」。翌年、加藤玄智がセツ夫人の追悼集『詩歌連理集』を刊行。'40.6.18 加藤玄智は新潟県出身の菅村キクと再婚。戦後、公職追放されたこともあり、'47.1.25 玄智は隠居届提出、同時に二男の加藤誠平が家督相続。加藤誠平は林学者、造園家、登山家として活躍した。誠平の前妻との子は清昭と直子がいる。加藤清昭は農学博士、国連 FAO 農業局バイオテクノロジー担当官、常盤大学国際学部教授、市民の大豆食品研究会世話人などを務めた。後妻との子は薫と滋がいる。加藤薫は神奈川大学経営学部教授で中南米・カリブ圏・ラティーノ美術史研究者。静岡県御殿場市に在住し、戸籍、玄智の少量の遺品などを管理しており、玄智の著作権相続者でもある。


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