【多磨霊園の無縁墓地】
正式名称は無縁合祠墓所という。5区の一角、大廻り線と東西線の交差するかたわら、大廻り線に面して七基の大きな墳墓が無縁墓地である。
1874(M7)に開設された古い市墓地であった亀戸、橋場の両墓地を、整理廃止したときに出た無縁仏を多磨霊園に移したものと、青山墓地の無縁仏を多磨霊園の17区に、一ヶ所1.5平方メートルあたりの小さな墓地をつくり、これを並列に埋葬してあったものを、改めてここに埋葬したものである。
また、東京市養育院が建設したものは、同院で死亡した引き取り手のない遺骨を埋葬したものであり、現在でも秋の彼岸に、その年に亡くなった者の遺骨の墓前祭を行なって埋葬している。
*青山霊園の無縁墓地は「青山墓地無縁」と「多磨既設合葬地」の二ヶ所ある。
「多磨既設合葬地」は昭和14年以前は17区に存在していたことより、「青山墓地無縁」よりも以前の無縁仏であることが推測できる。
一方「青山墓地無縁」が建設された昭和10年頃は、青山墓地の区画整理が行なわれた時期に該当し、青山墓地縮小のために多くの墓所が多磨霊園に改葬されているため、「多磨既設合葬地」以後、青山霊園から出た無縁仏である。
*上記の「多磨霊園合祠墓所一覧」は村越知世氏が執筆した『多磨霊園』を引用させていただきました。なお、平成13年に再改訂したものの引用のため、場所によっては現在の体数が増えている箇所もあること、ご承知おきください。