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No.96: イブ&クリスマス (2006.12.24)

今日は、ノートルダムで、夜の11時からは合唱、そして、0時からはクリスマス・ミサということだったので、ちょっと余裕を見て10時40分くらいにノートルダムに行く。
そしたら、ノートルダムの前の広場が、信じられないくらいの人の長蛇の列。
(たとえが悪いが、ディズニーランドのジェットコースター並み。)
それでも、人が多い割には40~50分くらいで中に入れる。

一番後ろで合唱を聴いたのだが、素晴らしかった。
技術的にうまいだけじゃなくて、本当にすばらしい。
(いまから思えば、あのマドレーヌ教会のレクイエム、かなりひどかったんだな・・・)

パイプオルガンは、パイプオルガン(楽器)そのものもすごいし、オルガン奏者がまたすごい。合唱と一緒に弾いているときはノーマルな伴奏をやっているが、間奏や後奏になると、すごい不協和音を使った現代的響きの即興演奏をする。

クリスマスの合唱に続いて、0時からクリスマス・ミサが始まる。
後のほうの人が見えるように、モニターも設置されていたのだが、このモニターの完成度がおそろしく高く、このミサ、ひょっとしたらテレビ生中継もしているのかもしれない。
よくローマ法王のクリスマスメッセージなどがテレビでやっているが、ああいうような雰囲気。合唱やパイプオルガンを挟みながら進行して行く。

ミサの最後には、「荒野の果てに」を合唱して終わったのだが、合唱が終わった後もしばらくパイプオルガンが即興演奏をしたのだが、それがまた現代的なすごい響きにどんどんアレンジされていく。こんなオルガン聴いたことない。
もう、ほんとうにすごい。
その演奏が終わると、教会に残って聴いていた人たちから一斉に拍手があがっていた。



きりかぶクリスマスケーキ、でかいのばっかだなぁ・・・


あ、きりかぶクリスマスケーキ、切り売り(?)もあった。
おもしろいことに、右に刺さっている金色のは、のこぎり。
うまかった。あっさりした清楚な味だった。(カシスかな?)


ノートルダム、10時40分。 しまった、もっと早く来ればよかった。


合唱。青い服を着ているのが合唱団。最後列で立ち見。


パイプオルガン、どこから聞こえてくるのかわからず、
あとで探してみると、一番後ろ(頭の上)にあった。


ノートルダムにたくさん集まってきていた人たちには、白人も、黒人も、アジア系の人も、いろいろいる。
そんないろんな人たちには、たぶん毎年通っている真面目な地元の人もいれば、恋人や友達と来ている人もいれば、観光で写真を撮りに来ている人まで、いろいろいる。
そんななかに、ぼくもふつうに混じっていっしょにいる。ふつうに居場所がある。
ふと、「自由・平等・友愛」という言葉が頭に浮かぶ。
来てよかったな。ちょっといいクリスマスを迎えたな。と思いつつ、2時ごろに家に帰る。

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No.95: もうすぐクリスマス (2006.12.23)

あしたは日曜日。クリスマス・イブ。
あさってのクリスマスからは、街全体がクリスマス・バカンス。
ということで、これから先、食べ物が調達できるのかどうかわからないので、ちょっと練習した後に、これから先一週間分の食料を調達しに行く。

MONOPRIXに付くと、あしたの日曜日は臨時営業するという案内板が出ている。
いろいろ保存がききそうな食料を大量に買って、よっこらよっこら家に持って帰る。
あとは、明日、パンを調達したら一安心かな。


左の奥から3つはレトルト。とはいっても要冷蔵で、日本のレトルトのように長期保存はできない。その右はヨーグルト8ヶ入。その前の金色のはバター。左前は、ハム2つと、ハムみたいな味のハンバーグみたいなもの2ヶ入。その右は卵4ヶ入。(ちなみに、これ以外にも、パスタ数食分のストックがある。


こちらはその他。左の奥はメープルシロップ。苦味があって、木の香がした。右の奥は、「Blinis」というホットケーキみたいな外観のもの。けっきょくおいしいトッピングの仕方を見つけられず、もう開き直って、たっぷりのバターで温めて、メープルシロップをかけて、ホットケーキとして食うことにする。(←たぶん正しくない食い方。)
左前はジャム4個セット。初めて食べるメーカー。右はチョコレートムースみたいなデザート。おいしいかな?(今晩食べてみる予定)
 
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No.94: バレエ「コッペリア」 (2006.12.22)

きょう、昨日、音楽博物館で出会ったリコーダー奏者から、メールの返事が来ている!
まだちゃんと訳していないのだが、おそらくクリスマス・バカンスが終わった後に、予定が合えば会いましょう、という内容だと思う。
さあ、この日記書いた後に、がんばってお返事を書こう。
今年は男ひとりのクリスマスだが、なんだかいいクリスマスだなあ・・・。

きょうは、いよいよ、バレエ「コッペリア」の公演日!
チケットを買ってからの期待があまりにも大きいため、こんなに期待しすぎたらがっかりするかもしれないと思って、一生懸命落ち着いて出かける。

会場に入ると、席は前から実質2列目。オケピットの中も見え、左前方に指揮者も見え、しかも舞台まで適度な距離があるため、舞台全体が全部視界に収まる席。
かなりついているかも!



バスティーユのオペラ座。着きました。
右上の窓一面に子供の絵が見える。(写真では見にくいですけど。)


コートを預けるところ。
全体的に、和っぽい意匠のデザイン・モチーフがたくさん。


ああ、外から見えていた子供の絵、これなのね。
のびのびしたいい絵だね~。


ああ、日本でビデオで見た会場の本物だ!


開演。コッペリアの音楽自体は、音楽作品としてみれば平凡な作風なのかもしれないが、オケの生き生きとした演奏で、命を吹き込まれたような音楽で上演が始まる。
幕が上がらないまま上演が始まるが、この幕、半透明の幕だったようで、この幕から透けて見える状態で登場人物(コッペリウス)の心理描写をした後に幕が上がる。

舞台は、古い町並みを描いた古典的なかんじの絵が、ざっくり組み立てられたもの。
平面的な重い色調の絵のパネルが、現代的な軽い造形センスで組み立てられている。
(たとえるなら、『飛び出す絵本』みたいなかんじ。) そのため、全体の色調はとてもクラシックな印象でまとまっているにもかかわらず、どことなく新鮮な舞台。

幕が開いてからの照明は、ぱっと見た目は古典的なノーマルな印象。すべてのシーンを切り取っても、古典的な絵画のような美しさの陰影とハイライトを作っている。
(しかし、よく見ていると、自然に大切な部分に観客の視線が行くように、気づかないうちに非常に細かい調整をしているようだ。)
照明については、第二幕で一部、あっと驚くような使い方をされる。逆光の強い光線とスモークの中で、シルエットのダンサーがデュオを踊る。その背景で飛び出す絵本がばらばらになって、舞台係がわらわらと出てきて片付ける。・・・でも、そんな現代的な演出が挿入されても、全体を通してみたときの古典的な均衡の美しさは崩れない。

演出(話の筋書き)も微妙にあちこち変えられている。特に、人形作りのコッペリウスが現代的な病んだような独特の人格を与えられていて特徴的だったのだが、それでも、その演出が全体的な古典的な均衡の美しさを崩してしまうような浮き方はしていない。

衣装、そして、踊りそのものも、クラシカルな正統派のものだった。
でも、ダンサーひとりひとりの動きから感じられる心理描写には、どことなく現代的なセンスが感じられる。

・・・ああ、これらバランス感覚は、まるでこのパリの町並みそっくりだ。
全体として、古い町並みの景観をたもったまま、それに溶け込むような形で現代が取り込まれている。エッフェル塔のような、パレ・ロワイヤルの中庭の現代彫刻のような、ルーブルのピラミッドのような・・・

ちょっと大げさに聞こえるかもしれないが、それは、クラシック音楽の向かうべき方向、そのものを見た気がした。
古典的な均衡の美しさを保ったまま、でも、古臭くなく、新鮮な息吹きを感じるような音楽。ぼくもそういう音楽やりたい!



開演前の会場。
前方にある人形の設計図のような幕、後で半透明であることがわかる。


カーテンコール。上演中に写真を撮るようなはしたないことは、もち
ろんしていないけど、カーテンコールになると、会場のあちこちから
一斉にフラッシュが光りだしたので、ぼくもドサクサで撮ってしまう。


いろいろ細かいことをたくさん書いたが、じつは、これらは、今日いちばん心を動かされたものではない。
本当に心を打たれたのは、ダンサーの命から湧き上がってくるような動きそのものだった。
もうこれは、筆舌に尽くしがたいという感じで、なんというか、人間の(あるいはダンサーとしての現役生命の)それほどは長くはない命そのものが、いま、目の前で燃えているような、そんな瞬間を見てしまった、というような、(うまく書けないけれど) なにか、とても深いところで心を打たれたのだった。

そんなかんじで、今日は、ぼくにとって特別な一日。

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No.93: Cite de la Musique (2006.12.21)

今日は朝早くから、パリの北東の端っこの方にある音楽博物館(Cite de la Musique内)に出かける。
ネットで調べたところ、今日、朝の10時から、リコーダーの実演があるようだ。
ちょっと様子を見て、レッスンしてもらえないかどうか、頼んでみよう・・・という魂胆。
まあ、常識的に考えて、いきなり現れた変なヤツを見てくれる可能性は低そうな気はするが、聞いてみるだけ聞いてみよう。
外に出ると、ううー、今日も寒いなぁー。2~3℃くらいか?

Cite de la Musiqueの建物に、10時少し前に着くと、中に人はいるのに、カギが閉まっていて入れない。あっちこっちのドアをガチャガチャ引っ張っていると、警備員が「ムッシュー、なんの御用ですか?」と聞くので、ネットでプリントした紙を見せて「これを聞きに来たんです。」と伝えると、とりあえず受付まで通してくれる。
受付のマダムが端末で調べて、「あなたはM氏(リコーダー奏者)の知り合いですか?」と聞かれたので「ノン」と答えると、「10時からは子供たちしか聞けません。一般の方は12時以降でないとは入れません。」と言って、外に出されてしまう。
・・・しまった、「ウイ」と答えておけばよかったか?



8時45分頃。シテ島から。
夕焼けじゃなくて朝焼け。つまり、さっきまで暗かった。


着きました。Cite de la Musique

しょうがないので、Cite de la Musiqueの建物をぶらぶら歩きつづける。(寒くてじっとしていられない。)みていると、20人くらいの小学生のグループが、何組か、先生に連れられて建物内に入っていく。
建物の周りをぐるぐる回っていると、何度も警備員と目が合うので、建物の裏の方に行くとかなり大きい公園になっていたので、そっちを2時間半ほど歩きまわる。

12時になったので、さっそく演奏している階に駆けつけてみると、こじんまりした一角に子供たちが座って、(やんちゃなやつもいるが)みんなけっこう興味深そうに聴いている。
けっこう、チビちゃんたちの反応、いい。
長久手町文化の家で「楽器の動物園」という子供向けのおもしろい企画があったのだが(ぼくも参加したのだけど)、なんだか常設版の「楽器の動物園」みたいな感じか?
いろんな楽器の「博物館演奏家」というのがたくさんいて、入れ代り立ち代り、こういうのをほとんど毎日やってるようだ。
うーん、これは、すごいねー。

子供たちが途切れたときに、リコーダー奏者に、下手なフランス語で、「先生を探しているんですが、見ていただけないでしょうか?」と聞いてみたら、あっさり断られてしまったんだけど、「日本でこういうことをやっていたんです」といっていろいろ見せたら、一生懸命見てくれて、「これはいいですね」とか言ってくれて、最後にはメールアドレスと電話番号を教えてくれる。
それで、「また連絡ください」とのこと。

帰ってから、たぶん冷え切ったせいで腹の具合が悪くなったので、ちょっと仮眠して温まった後、下手なフランス語でがんばってメールを書いて出した。どうなるだろうか?



大きな公園。ぱっとみたところ、赤くて面白い建物がたくさんある。
それぞれカフェになっていたり、店や事務室になっていたりする。
近くによってのぞいてみると、ほとんどが閉まっていて、おそらく
ちゃんと機能していないのではないかと思う。中の店はダサい
普通の店で、凝ったデザインとえらくミスマッチ。企画失敗か?


なんかえらい建物が出てきた。とにかく寒いので、どこかから
中に入れないかと思ったが、扉、全部閉まっている。
閉まってたら建てる意味ないじゃん!


音楽博物館。リコーダーの先生にあった帰り。
ここは歴史的フルートコーナー。


歴史的リコーダーと、トラヴェルソのコーナー。

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