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パリ28日目 (2006.10.17)

きょうは事務のマダムと話をしてこなければならないため、昨日は遅くまで『こういわれたら、こういう』みたいなフランス語問答のフローチャートみたいなものを作っていて、おかげで今日は寝坊してしまう。
あわてて学校に行くが、なんとかぎりぎり間に合う。
ちなみに、今日のフルートの方のレッスンは金曜日に振り替えになったようだ。たぶん。
(「たぶん」なのがコワいが・・・)

今日の室内楽も、いきなり初見でいろんな曲を合わせる。きょうは現代曲や変拍子のものが多く、1曲ひどい演奏をしてしまったが(←先生が「あなたはソルフェージュ力がもう少し必要ですね」とコメント)、けっこう楽しかった。
1曲イベールのやったことがある曲がでてきて、それを聴いていたアジア系の学生がフランス語でなにやらほめてくれたので、
「ぼくはこの曲、知ってるんです。この曲、好きなんですよ。」(フランス語)と答えると、
「あ、日本の人ですか?」(日本語)
「そうです。」(日本語)
「発音で日本人だとわかりましたよ。」(日本語)
・・・う~む、そうだったのか。
(この音楽院には日本人の学生が多いと聞いていたが、日本人に会ったのは、まだこれで2人目だ。)

その後、もう一人フランス人の学生が部屋に入ってきて、なにか一曲アンサンブルを始めるが、先生に途中で何度もダメ出しをされ始める。そして、先生と2人で、なにやら(静かに、しかし激しく)ディスカッションを始める。
フランス人同士の手の込んだ会話なので内容はあまり理解できなかったが、どうやら、
先生:「あなたは私のクラスに入るにはソルフェージュ力が十分でありません。もうひとつ下のクラスへ行ってください。」
学生:「でも、わたしは、もうひとつ下のクラスはすでに単位を取得しています。それに、この曲は難しすぎます。」
というような内容の会話をしているようだ。
けっきょく学生が、「いいでしょう。では、私はそのことを聞きにいってきます。」と言って、バタン!とドアを開けてどこかに直訴に行ったようだが、どうやらダメだったようだような雰囲気だ。

えっ、ひょっとして初見でいろいろ吹かされていたのは試験だったの!?
のほほんと音楽を楽しんでたけど、なんだか厳しい世界だなぁ・・・

しかし、ここでも個人と個人の1対1の関係で事が決まっていて、それは学校が認定した単位よりも強いってことだろうか?

そういえば、フルートの初回のレッスンのときも、いきなり全員何か吹くように言われて、そのあと「生徒が多すぎるので、今晩その件で電話します。」と先生がおっしゃっていたが、ひょっとしたらあれも試験だったのだろうか???

ところで、室内楽の先生、昼ごはんも食べずに朝から夕方おそくまで、ずーっとぶっ続けでレッスンしているようだ。途中でパンをかじったりしながら熱のこもったレッスンを続けている。(いい先生だ!)
ながーい室内楽のレッスンの後、バイオリンの女の子(たぶんイタリア人)が、ピアノの男の子に楽譜を渡して「これ一緒にやってみない?」みたいなノリで、ブラームスのソナタを始める。ピアノの男の子は初見のようだ。
ぼくは一回ほかの学生といったん外に出たが、なんだかいい感じの演奏をしているので、もういちど戻っていって「聴いててもいい?」というと「いいよ。」とのこと。
常に激しくディスカッションしながらやっている。(でも、お互い楽しそうにやってる。)

Vn.「あ、そこ、おそすぎ!」
Pf.「え? こんなかんじ?」
Vn.「そうそう、ベリーグット! ・・・ああ、それ音がちがうじゃん。Eだよ!」
Pf.「ああ、これね。わかったわかった。」
Vn.「そこはそうじゃなくてね、そこはもっと魂こめて!」(ドン!ドン!と足踏み)
Pf.「わかってるけど、ここ、難しいんだ。」
Vn.「だめだめ、そこちょっと練習してて。私ちょっと電話するけど気にしないで。」
・・・みたいな感じ。

日本の「恐れ入りますけれど、そこのテンポをもう少し上げていただけると助かるんですが・・・」みたいな感じとぜんぜん違う。

しばらく見てて「ありがとう。楽しかったよ。」といって帰ろうとすると「君、名前は?」と聞かれて、お互い自己紹介して、握手をして「バイバイ」と言って帰ってきた。

ちなみに、フランスは「あなた」よばわりと「君」よばわりが厳密に区別されているが、学生同士は初対面でもいきなり「君」ではじまって「バイバイ(あばよ!)」みたいな感じなようだ。年齢とか国籍とか性別とか、そんなのどうでもよいようだ。
(先週、初対面の女の子に、いきなり「Salut!(あばよ!)」と言われたときは、ちょっとどぎまぎしながら「Salut!」と返事した。)

ちなみに、事務での登録の件は、きょうは別のマダムが受付で、1分で無事終了。
やれやれ。



きょうはデジカメのメモリーカードをパソコンにいれたまま忘れてきてしまう。で、きょうは写真がとれなかった。(ちなみに室内楽の部屋も古くて美しいので、撮ってきたかった。)
上の写真は、家に帰ってきてから撮った小さなラベンダーの花束。(先日買ったもの)
つまらない光景だが、日本に帰ったら、きっと、この光景を懐かしく思い出すんじゃないだろうか・・・ という気もする。
ちなみに、左下に少し写っているのは暖炉のようなもの。(暖炉にしては奥行きが狭すぎる気もするが、でも、暖炉の形。どっちにしても今は使っちゃいけないんだろうけど。) 

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パリ27日目 (2006.10.16)

毎晩夢を見るが、いつも日本にいる夢だ。
(たいていフランスへの渡航に際して、なにかトラブルっている。)
寝ているときの潜在意識ぼくは、まだ日本にとどまっていていて、まだフランスには来ていないようだ。
・・・するとまた、電話の呼び鈴がなる。受話器を取ると「ボンジュール、ムッシューブンゲン.」
室内楽の先生からだ!
あわてて電話機を落としたり、グラスを落としたり、バタバタやってしまう。
『あした室内楽の登録のことで事務に行ってください』とのことのようだ。
ああ、また事務のマダムにとろいフランス語で話をせねばならない・・・

きょう、いつものパン屋さんが休みなので(ここ、休みが多い)、違うパン屋さんへ行く。


家から歩いて1~2分くらいのところに、3つくらいパン屋さんかある。
ここに入るのは初めて。


きゃーっ! (※注)
おいしそうなタルト類が2ユーロ前後(\200~400円程度)で売っている。


バケットのついでに、イチゴのタルトを一つ買ってしまった。(^^ゞ
(ちなみに、こんな包装で渡される。)


きゃーっ!
写真ではうまく色を再現できなかったが、実物はものすごくきれい。
明るい色のガーネットみたいだ。もちろん味も香りも『きゃーっ!』。
2ユーロちょっとだったが、なんだかすごく贅沢した気分。


※注: ぶんげんはいろいろと女の子チックなものに弱いが、でも、
  おかまチックな人物ではありません。いちおう念のため。

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パリ26日目 (2006.10.15)

宿題のエチュード、『まあ、1週間あれば余裕で仕上がるだろう』と思っていたが、かなりてこずる。いまだに形にならず、あせり始める。

きのう、ヴォージュ広場~フラン・ブルジョア通りを通って無印良品まで歩いたが、その無印良品の近くに「国立古文書館」という地味な外観の建物があった。(ロココ様式の部屋が保存されているらしい)
『こんな地味っぽいところなら観光客も少なかろう』と思って、きょう行くつもりだったのだが、『レッスンも近くなってきたし、そんな悠長なことをしている場合ではない』と思って、部屋にこもってエチュードを練習していたけど・・・ ん~、これじゃあ日本にいるとのぜんぜん変わらないなぁ・・・、と、けっきょ出かけてしまった。

いざ行ってみると、今日はここの博物館の何かのフェスティバルとかで、無料で開館している。何かのボディーチェックを受けて中に入ると、何やら長蛇の列。


きのう閉まっていた扉、開いている。外で「今日は無料」のチラシを配っている。


入ってみると長蛇の列。ここ最後尾。あてが外れる。


時代衣装を着て人たちがうろうろ。見てて楽しい。
見物しながら並ぶことにする。


なんだかサマになっていたお二人。


館内に入ると、マリー・アントワネット展のほか、いろいろなイベントが開催されている。
マリー・アントワネットの手紙や関連書籍がたくさん展示されてる。
美しい筆記体の手書きの文書がたくさん。(残念ながら読めないが。)

とりあえず、ロココ様式の部屋を探すと・・・ああ、ありました!
時代衣装を着たマダムたちがお茶を飲んでいたり、さらにはなんとっ!
となりの部屋でバロックダンスの公演が始まる!
しかも、チェンバロ&トラベルソ・リコーダー・バクバイプの演奏で!


あー、あったあった!


うわー、ほんものだ!


うわー、ぜんぶ手彫りだ!(たぶん)


マダムたちがすましてお茶をしている。まるでオペラの一場面のようだ。


となりのへやで、バロックダンスが始まる! \(^▽^)/


バグパイプでミュゼットをおどっている。
バグパイプって、こんなに繊細で美しい音がするのね。びっくり!


う~ん、ぼくも着てみたい・・・
ちなみに、チェンバロのお姉さん、フランス人形みたいに美しい。


そのダンスと演奏の軽やかで華やかで楽しいこと! 気難しさや堅苦しさは微塵もない。
ほんとうに楽しそうに軽やかに踊っている。演奏している。
お客さんも大いに楽しんでいて、大喝采!
そうそう、やっぱりダンスはこうでなくちゃ! 音楽はこうでなくちゃ!

けっきょく、そのバロックダンスを(同じ内容のものを)2公演も見て、なんともハッピーな気持ちで帰宅したのだった。

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パリ25日目 (2006.10.14)

外を見て見るとたくさんの観光客。
ああ、今日は土曜日だ。スーパーに食料の買出しにいかねば。
今日は早めに練習を切り上げて、いつものスーパーの近辺を見物に行く。
「ヴォージュ広場」→「フラン・ブルジョア通り」→「スーパー」というルート。



正方形のヴォージュ広場の周りを、レンガ造りの建物がぐるりと囲んでいる。


北側が「王妃の館」のようだ。右側はホテルになっているようだ。


南側は「王の館」のようだ。シンメトリーな構造になっている。

* * *


館のアーケードの下には、小銭を稼いでいる楽団がいたり・・・


ホームレスの家らしきものがあったり・・・


「ISSEI MIYAKE」などのブランドショップが並んでいたりする。

* * *


中のヴォージュ広場では、ちいさな子供が砂遊びしてたり・・・


悪ガキどもがサッカーしてたり・・・


カップルがあちこちでチューチューしてたりする。

ヴォージュ広場で、カップルに写真を撮ってくれと頼まれる。
ぼくは、昨日、パリ住人の一員であることを自認してしまったので、もうあせらない。
「OK!」と引き受ける。
「このうしろの噴水も入れて欲しいんだけど。」
「ウイ、ウイ。まかせといて。」
でも、フランス語の『ハイ、チーズ』がわからないので、ま、なんでもいいか、と、
「アン、ドゥー、トロワ!」 パシャ!
(たぶん、けっこういい感じで撮れたと思う。)

写真を撮ってバイバイしたあと、後ろを振り返ってみると、二人がデジカメのプレビュー画面を見ていたが、彼氏がこっちに向かって親指を立てて『ベリー・グッド』の合図を送ってきた。



フラン・ブルジョア通りで見かけた、ちょっといかしたディスプレイ。
(うしろは、裸体にジュエリーをまとっている半透明の写真。)


パリの無印良品発見!
品揃えは日本とぜんぜん違うが、コンセプトみたいなものは共通していた。

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