8/26(日)

朝からどんよりとした曇り空。そしてわずかに霧のような雨が降っている。
テントを畳む手がじっとりと濡れる。今日はあまり天気が良くなさそうだ

薬研野営場を出てまずは恐山霊場へ。

薬研から恐山までのワインディングは快適。霧雨がひどくてウエットではないんだけど完全ドライでもないという一番タチの悪い路面だったけどそれなりに流す走りを楽しめた。
恐山の霊場までに三途の川があったりして曇り空なので雰囲気が重い感じがする。

湖は鉛色に鈍く光り、あたりはイオウのにおいが鼻をつく。何とも怪しげだ。
とりあえずお金を払って中に入ってみることにした。

宗教・信仰系の類に弱いオレはここが何をする場所なのかさっぱりわからなかったが、霊場をぐるりとまわって賽銭箱にお金を投げ入れこの旅の無事を祈った。
ご存じ日本三大霊場の一つ、恐山霊場。
恐山を出て尻屋崎へ。
岬らしい岬、尻屋崎。もう一度訪れたい場所だ。 尻屋崎は寒立馬がいる東北最涯地の一つだ。

県道のまばらな住宅地を抜けていくと、あたりに人の気配は少なくなり、アスファルトの道が岬に向かっていく感覚がはっきりと感じられる。
岬が近づいてくるとでっかいコンクリ工場が現れ、さらに先へ進むと尻屋崎へのゲートが現れる。
寒立馬がいるのでゲートを閉めておかないと外に出てしまうかららしい。二輪車用の開閉ボタンを押して中に入る。
路面の所々にフンが落ちている。馬がいる証拠だ。灯台まで走っていくが馬は見あたらなかった。
きれいな芝生が広がる気持ちがいい岬だ。大間よりもこっちの方が断然いい。
霧雨が降っていて寂しい感じがしたけどそれがかえって端っこに来たんだなあということを強く感じさせてくれた。
今度は天気のいいときに来てみたいと思う。ゼヒ行ってもらいたいオススメの岬。

でも馬はどこにいるんだろう?

来た道を少し戻り県道を経て半島の東側を南下し三沢方面へ向かう。
あまりにも降り続ける霧雨が革ジャンに徐々に染みこんできて気持ちが悪い。ついにしっとりと肩に冷たさを感じるほどになってきたので、六ヶ所村のあたりで仕方なくカッパを着込む。
カッパを着た後パッキングをやり直していると近所の子供が近づいてきた。小学校低学年くらいだろう。
バイクのまわりをぐるぐる回って照れくさそうにしているのがかわいい。話しかけるとはじけるような笑顔を返してくれた。

おとーさんもバイクに乗っているらしく、どこから来たの?何キロ出る?重い?何cc?など大量の質問を浴びせられる(笑)。
答えると「すげー!」とか「はえー!」とかリアクションが無邪気で楽しい♪
「ここおしてえんじんかけるんだよね?」
たぶんおやっさんのをいつも見ているのだろう。
「エンジンかけてー!」
かけてやると「かっこいいー」。
「アクセル回していい?」と言われ不安になるが、やらせてやると楽しそうだ。

「んじゃそろそろ行くよ、にーちゃんは。」
「どこ行くの?」
「んー、まだ決まってないなあ・・。」
「そっかぁ〜」
「うん・・、じゃあな」
なんというか・・腹の底のヘドロを掻き出されたような気がして、あたまのなかがクラクラした。
もうちと遊んでいたかったけど時間がないので先を急ぐことにした。

雨は延々とちょぼちょぼと降っている。シールドに張り付く水滴が鬱陶しい

394号から4号へ。4号沿いでガスを入れ奥入瀬へ足を向ける。
久しぶり(4年ぶり)に短い距離とは言え4号を走ったのだけど全く記憶にない・・。
対向車線を走る荷物満載の北海道へ行くであろうネイキッドを見て、思わず「がんばれよ!」と心の中で呟く。

102号で奥入瀬へ。

奥入瀬も微妙にウエットな感じですっきりしない・・。
しかし4年前の感動は時間によって増幅されたものではなかった。
空気がシャキっとしていて、苔むした倒木や澄んだ水に川面の向こうに砂利が見える。やっぱり美しい。四万十のような大河の悠々とした流れも美しくて魅力的だけど、こういうのもいい。
きれいというより美しい奥入瀬の流れ。

奥入瀬から「さてどこまで行こうか」考えた。
松尾鉱山側から八幡平に入って南下し田沢湖、乳頭温泉というルートと、西側から八幡平に入って松尾側に抜け太平洋側へのアプローチをしやすいルートにするか?
今後の天気の回復が見込めないようなので明日以降山岳路は良くないだろうと判断し、西側から八幡平に入るルートを選択することに決めた。
十和田湖を右手に眺めながら走り、103号を鹿角へ。

八幡平アスピーテラインへ。
ここもかなり楽しみにしていたのだけど西側は雨。
終始ウエットでかつ路面状態が悪いので、まともに自分の走りたいラインをトレースできない。霧で景色もへったくれもあったもんじゃなく、遅いバスにつかまるしで最悪・・。
晴れていても路面状態が悪いのであまりオレ的には好きじゃない道だ。たまにはのんびり走るにはいいかもしれないけど。
頂上のレストハウスに着くと、駐車料金をおっちゃんにせびられた。雨になるとテンション50%減のオレにさらに追い打ちをかける。
ちょっと休憩がてらうどんでも食って暖まっていこうかなと思っていたのに、何だかどうでもよくなってそのまま出発。
頂上から岩手側の下りは路面も乾いて景色も曇りにしてはすっきりと見渡せた。
夕暮れに映える山並みが美しかった。

スノーシェルターの多い道をふもとまでおりると松尾八幡平のインターがある。天気予報では明日も雨だということで気分も晴れず、何だかかったるくなって高速で盛岡まで行くことにした。今日はビジホに泊まることにしよう。
高速のSAに停まるとジャンクフードが目に入る。あっつあつのやきとりをハフハフ食いながら地図を眺めているとおばちゃんに話しかけられた。
自分の息子も今ツーリング中らしく思わずオレに声をかけてしまったらしい。気をつけてと声をかけられありがとうと頭を下げた。

さて宿情報は何もないのでEzwebで検索して盛岡駅前のビジホを予約した。駅前なら冷麺ぐらいはあるだろう。
高速をてきとーに流してホテルへ。ホテルに着いてコンビニに行き酒と「あて」を買って部屋に戻るとちょうどWGPの中継をやっていた。ラッキー!
125ccから全部見てしまいかなり遅い時間になってしまった。酔いもだいぶ冷めてしまったので駅前をふらつき遅くまでやってる店で冷麺を食う。この歯応えが何ともいえずウマイ。

駅前をふらついても路上ライブの安っぽい音しか聴こえてこなかったので部屋に帰ってぐっすりと眠る。
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