EM菌(有用微生物群)について

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EM菌(有用微生物群)について

EM菌のほとんどは嫌気性微生物です。

なんと驚くことにせっけんにEMを加えた商品も出ています。
微生物は高濃度界面活性剤(せっけん等)条件下でまともな生命活動ができません。
というより、細胞膜内外の物質のやり取りができなくなり破壊されます。
はっきりいって、このような商品が存在すること自体が不思議です。

さらにEMでの下水道処理に多大な費用を使い実験が行なわれましたが有用な効果は認められないとの結果が出ています。

もともと土壌改良を目的として開発されたEM菌ですので、土壌へはおそらく目を見張る効果があることと思われます。
しかし、下水処理は、現在バッキ法が多く好気処理を汚水に対して行なうものであり、嫌気処理はあまり重要視されていません。

このことから、嫌気条件下でないと意味がないのではということが疑われます。(土壌の大部分は嫌気的です)

さいわい?マット発酵では多くの場合、換気が足りず嫌気性条件になる部分が出てきます。
このときは有用に働くものと思われますが、熱のため、ほとんどの有用微生物が死んでしまうのも間違いありません。

とすると、EMの効果を最大に発揮させるにはEMに発熱を伴わない微生物活動を行なわせることが必要でしょう。

嫌気性発酵であればほとんど発熱を伴いません。
しかし発酵(代謝)はゆっくりと進みます。
嫌気性条件を整え十分な糖質を投入することによりその効果は見えてくるのではないでしょうか?

たとえば少量なら瓶詰めにして完全密閉としたりマットを1m以上積み上げた場合なら、下のほうは完全嫌気条件になります(この場合、熱がすごいはず)。

しかも嫌気的な生命活動はすこぶるゆっくりのためセルロース分解が行なわれるにしても普通の糖質代謝が行なわれるにしても非常に時間がかかります。

ちなみにEMの瓶入り培地は糖蜜のため、好気性菌が存在する好気条件下におくとあっという間に発熱を伴う発酵が始まります。

結局、必要かどうか、不必要かどうかと問われたらべつだんなくてもやり方次第でEMを入れたときと同じようにマット発酵はできるし、不必要かといわれたら、ほとんどのサイトに載っている発酵法では嫌気的な部分が出来るためいれないより入れたほうがよい程度と言えます。

そこいらが難しいでしょうね~。
でも最大限にEMのもつ力を引き出すのであれば水分多め(ベチャベチャ状態)にして完全密閉で嫌気を保ち、日陰で数ヶ月は保存しないと効果がわかんないですね。

でも、やりたくないな~w。

使用直前に使うのなら話は別と思います。
優れた有用菌が消化器官内に取り込まれその力を発揮してくれるでしょう。

しかし、EM菌が幼虫にとって最適かはわかりません。
幼虫→成虫→幼虫と代々引き継がれている菌があればそれは永い永い間、クワガタ・かぶとむしとともに進化しているでしょう。
もちろんその菌はガタ・カブにとって最も効率よく都合よく進化しているはずです。
2004.08.X

【カブトムシ大型化研究室目次】

  1. カブトムシ大型化研究室トップ
  2. 生命の神秘
    1. 遺伝子、突然変異、進化など
      1. インブリード(近親交配)をしよう
      2. 自然の選択・生物の大型化
      3. 進化
      4. 種の進化・分化
      5. 突然変異体の血の残し方・遺伝子の修復
      6. アウトブリード・クローン技術・突然変異
      7. DNAの塩基配列・細胞と遺伝子・デオキシリボース
      8. 現代の進化概論
    2. 他の生き物との比較など
    3. 分子レベルでの代謝やしくみなど
  3. 育成培地研究
    1. 発酵に関する研究
      1. EM菌(有用微生物群)について
      2. 発酵についての考察
      3. 衣裳ケースを使った発酵マット製造法
      4. マットの劣化
      5. 高温状態でのマット発酵・材の腐朽タイプ
      6. 腐朽菌・マットの微粒子化・小麦粉を使った発酵マット
      7. 発酵の条件
      8. 発酵とは・発酵の終息・異常発酵
      9. 共生生物・窒素不足・栄養としての微生物
      10. 幼虫のたんぱく源・微生物に関する知識
    2. 添加剤に関する研究
      1. より多く食べさせるために
      2. 添加物として使えそうなものの栄養組成
      3. 発酵マットの材料
    3. 菌糸に関する研究
  4. かぶとむし村計画
  5. おまけ
  6. サイトマップ

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