アウトブリード派に嫌われるインブリードでもいいことはあります。
その生体の持つ劣性遺伝子が見えてくるからです。
普段は、優勢遺伝子しか見えていない生体もインブリードをして劣勢遺伝子がホモになる場合もあります。
そのときに、劣性遺伝子として隠れていた特長が見えてきたり、また、ヘテロでもっていたものが優勢遺伝子のホモ遺伝子となりまた違った特徴を垣間見たりすることが出来るようになります。
つまり、野生ではAaが圧倒的に多い場合でもAAやaaがインブリードでは見えてきます。
AAとAaで表現型が違う場合もあるのです。
しかし、インブリードは生体にとってマイナスの効果のほうが多いのは確かです。
普段、見えていない致死遺伝子が発現したり、必要な何かが足りなくなったりと、生体を弱くするほうに働くことが多いのです。
しかし、もともともっているのに発現していない突然変異遺伝子を見るのには適しています。
飼っている個体に突然変異が起こる可能性より以前(数世代前)に起きた突然変異遺伝子を個体がもっている確立のほうが遥かに高いとは思いませんか?
野生では、同じ突然変異遺伝子をもつものは極めて少なく、その変異遺伝子が劣勢遺伝子である場合、普通に生活しています。
その劣勢の変異遺伝子を大きな確立で見ることが出来るのがインブリードです。
どうでしょう?
やりたくなったでしょう?
しかも、数世代のインブリードによって得た特徴の血統に違う特徴をもつ別のインブリード血統と掛け合わせることによって両方の特徴を兼ね備えた個体も作出が可能です。
虫関係の研究室ではこうしていろいろな特徴を兼ね備えたものを作るようです。
インブリードと逆の意味でよく使われるアウトブリード。
これは、インブリードでつくられたホモ遺伝子をヘテロ遺伝子にする効果があります。
AA、aaのホモ遺伝子では致死に至らないまでも虚弱な発現をする遺伝子がありAaのヘテロ遺伝子なら何事もない場合もあります。
ひとつのインブリード血統と別のインブリード血統を掛け合わせることも立派なアウトブリードです。
そして、どちらもかさねた血の交配のマイナス効果を消し去ることが出来るのです。
インブリードでその生体のもつ秘めた遺伝子の可能性がみえてきます。
そして生命の進化の一片を垣間見ることが出来るかもしれません。
しかし注意しないといけないことは、インブリードで出た発現を更なるインブリードで増長させるといった効果はありません。
つまり、インブリードをつづけたからといって、どんどん長くなったり、ますます太くなったりということはないのです。
ただ、それは発現を選択しているに過ぎないのです。
そしてインブリードを続ければそのうちに間違いなく血が途絶えます。
2004.07.20
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