以前記述した、進化については私が生物について学んだ頃、つまり非常に?古い知識の記述です。最近は、もっと進歩し、大きく考え方が変化しています。 ということで、最近の進化についての考え方をわたしなりにまとめてみたいと思います。 生物は、進化していきます。絶え間なく。地球に海ができた頃にはすでにそこに生物が誕生し、40億年とも言われる生物の歴史の中で絶え間なく、生物がもつ、遺伝子は変異していきます。 一瞬、一瞬の間には、見えてこない変化ですが、生命の歴史から言うと万年単位で見ると、その変化は大きなものとなります。遺伝子プールという概念があります。長い間の、遺伝子の様々な変異を内包しつつ、それを包み隠し、何かあったとき、つまり大絶滅などの大きな変異があったときにそれを様々な形で発現し、生き残りの道を探る生命の神秘です。 生存空間?(ニッチ)が、ほぼ占められている状況では、現状をさほど変更することなく、ひとたび絶滅などによってニッチが空くと、そこに入り込むように、適応の可能性を探る実験をします。 その実験とは、いわゆるミュータント(突然変異体)を発現させ、持っている遺伝情報の中から、ありとあらゆる可能性を探すのです。その中で生き残ったものがいわゆる適応したものとして、そのニッチを埋めていき、その特殊であろう遺伝子を子孫に残します。 遺伝子プールは、一体だけの可能性としてでなく、グループとしてより沢山の可能性を持っているほうが、後の可能性としてもちろん有利に働くことでしょう。 その遺伝子プールを減らすことは、すなわち絶滅につながります。いわゆる平均化がそれです。可能性の目を摘み取ることになります。 たとえば、雑交もそれに当てはまるものになるでしょうし、インブリードも遺伝子の固定として使われるように、その可能性を極端に減らすことになります。 遺伝子プールは、生育する空間同士、交わりがなければ自然とわずかずつ増えていきます。すべての生育空間がお互いに閉ざされていないのであれば、平均化となっていきます。空間の交わりがないこととは、たとえば、海で隔てられていたり、大きな河があったり、そんな地理的条件の揃った場所です。虫で言えば、たとえば、瀬戸内海に浮かぶ、わずか岸から対岸が見えるほど近い島でも、亜種として存在するトンボもいるほどですから、ちょっとしたことで単独グループとして隔離されることが想像できます。 そのために、現在でも大繁栄を誇っている虫たちですが、自然の減少により、住処を追われ、減少している虫たちも多いと思います。自然を大切にし、生き物の可能性を奪わないよう、心がけるのもわたしたちの仕事のひとつではないでしょうか。 2008/06/22 |
【カブトムシ大型化研究室目次】 姉妹サイト
|
Copyright 9tails All Rights Reserved.