水 |
全ての細胞において、その細胞内および細胞外の液体環境は濃度の薄い無機イオン水溶液からできている。
そして全ての生物の生体物質は、水を溶媒とするのに適した性質をもっている。
生体を構成する物質ではもっとも多く、あらゆる生命で必須の物質である。 |
たんぱく質 |
ほとんどすべてのたんぱく質は同じ20種のアミノ酸を組み合わせてできている。
その機能はすべての生体物質中でもっとも種類が多くさまざまである。
酸素・金属イオン・代謝物等を選択的に体内を移動させる作用をもつものもある。
生体膜に埋め込まれているたんぱく質は、分子の細胞内・外からの移動を含め、細胞機能調節に関わる特異的物質の受容体として働く。
さまざまな細胞機能調節に関与しているある種のホルモンもたんぱく質である。
感染に対抗して生体を防御する免疫系の物質もたんぱく質である。
生体の血液損失を防ぐ血液凝固に関わる物質もたんぱく質である。
たんぱく質は生体の運動に深くかかわり、あるいは細胞骨格構造や組織の細胞外間質の基本的な構造形成にも役立っている。
それらたんぱく質は、分子量約5000から数百万に及ぶ巨大分子である。
たんぱく質は、それぞれα-アミノ酸↓を反復単位とする高分子である。
NH2
|
R-C-COOH
|
H
20種のアミノ酸がたんぱく質中に共通して含まれており、それらの違いはR基の構造によっている。
この基は親水性または疎水性、酸性、塩基性あるいは中性である。
同一のたんぱく質のなかに疎水性や酸性、塩基性の複数の要素をもつことにより、特殊な働きをすることができるたんぱく質も多い。 |
糖質 |
糖質(炭水化物)は細胞のほとんどあらゆる面でその役割を演じている。
その分解過程によってエネルギーを生産し、生命を維持する。
植物の光合成の最初の生成物として、糖質は他の全ての有機化合物の代謝上の前駆体である。
また糖質はたんぱく質と共有結合し、糖タンパク質と呼ばれる。
糖質はまた脂質とも結合し、糖脂質と呼ぶ。
糖脂質は生体膜の構成物となる。
オリゴ糖を成分にもつ糖脂質と糖タンパク質をあわせて、糖複合体という。
多くの糖複合体は構造的な役割をもち、それには動物の細胞外基質を構成するプロテオグリカンや、植物のセルロースや、細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンなどがある。
糖複合体は細胞表面を覆い、その糖質残基は成長、接着、形質変換、受精などのさまざまな細胞現象に関与している。
単糖(CH2O)n |
脂質 |
脂質には水にわずかしか溶けないという特性をもち多種類の化合物が含まれる。
炭化水素のイオン性という構造上の特性により両親媒性物質と呼ばれる化合物に分類される。
そのため、ある脂質は極めて弱い両新媒性物質で、水に対する親和性がわずかであり、このような脂質は組織中に大部分水のない状態で貯蔵され、他の組織へ移動・輸送され、そこで酸化をうけ生体の代謝反応に必要なエネルギーの主要資源となる。
他方、極性が高い脂質であればあるほど、強い両親媒性物質で、細胞や組織の区分に必要な種々の生体膜の主要な構成分を形成する。 |
酵素 |
酵素は生化学反応の速度を非触媒反応に比べて106から1012倍も促進する触媒である。
全ての酵素はその触媒反応とは無関係に一定の構造的、機能的特徴をもつ。 酵素はすべてたんぱく質であり、活性部位と呼ばれる作用部位を持ち、そこで反応物が生成物へと変換される。
酵素は、からだの中の化学反応を低い温度で効率よく進行させる触媒たんぱく質である。
酵素は大事な物質どころか生命の原点のようなものであり、このどこかに欠損が生じれば疾病に通じることが多い。
先天性代謝異常は大部分酵素の異常に由来している。
通常、DNAからRNAに翻訳され(情報が伝達される)、RNAからさまざまな酵素が作られる。
その酵素が生体内のほとんどすべての物質を作り出している。 |