「そう」
 「もう長いこと頭(ヘッド)と上半身だけのおひめさまだ」

 
 「それじゃ立つこともできないじゃない!」
 「『塔』のご主人様は変わり者でね」
 「じわじわと完成を待ち つくっている間が楽しい
  欠けている風情が またいいと仰って」

 ―――「わたくしには 足りないものがある」
 
 「でも それが何なのか 分からない」

 「欠けているものを 満たされたいと切望する
  しかしそれが何なのか 分からない 少女」
 「分からないからこそ 美しい幻想が たかぶる と」

 (塔のごしゅじんさまって)「…… へんじん?」

 「まさしく まさしく」(オソロシヤ〜)