――――― 露わになった白い胸に手を伸ばし。 ふにっと柔らかく形を変えて指先に吸い付くようなその感触に、自然と口元が緩みそうになって慌てて唇を引き締める。 あんまり間抜けな表情を晒したくない、なけなしのプライドだ。 両手で外側から押し上げるようにして少し大胆に触れていくと、頭上で小さく押し殺したような息が漏れるのがわかった。 「…………ん、ン……っ……」 上体を倒して淡いピンク色の、つんと立ち上がった突起に唇を寄せる ――――― ちゅっと微かな水音がして、彼女の細い肩が揺れたようだった。 初めて触れた時は正直なんと言っていいか表現していいかわからないその感触に感動にも似た感情を覚えたものだが、幾分慣れて躊躇いが減ったとは言えその気持ちに変わりは無いのだと思う。 何度も唇で食むようにして、時折歯を立ててその感触を楽しんでいたら、くいと髪が引っ張られて。 ルークは其処に吸い付いたまま顔を上げた。 「………ん、ぁに?」 「っ、バカ! そのまま喋らない、で、よっ」 真っ赤になった彼女の、叱り付ける様な声が耳に心地良い、と思ってしまうのはおかしいだろうか。 ぺろりとざらつく先端を舐め上げるとそれだけで小さく息を飲む音がする。 反対側の胸を掌で包み込み、親指でくりくりと硬く尖った突起を弄くりながら彼女の言葉の続きを待っていたら、頬を染めた彼女は呆れたような息を吐いた。 「 ――――― ッ、もぅっ………」 その息さえも甘くて、全部奪い取りたくなって上体を伸ばしてキスを強請る。 唇が重なってすぐ閉じられていた其処を割り開いて奥へと侵入すれば、一瞬驚いたようにひくついた舌が、けれどすぐにルークのそれに押し付けられてきた。 舌が絡み合い、ちゅくちゅくと口腔で粘着質の音がする。 痺れて感覚が麻痺するぐらい何度も何度も繰り返して唇を離すと、つぅっと銀色の糸が二人を繋いで、その光景にぞくりとする。 「…… ――――― んで、こんなに甘いんだろ。お前、なんか甘いもん食ってた?」 「…………そんなわけ、ないでしょう……」 声も甘い。いつもの少し大人びた硬質な印象を漂わせるそれとは違い、無防備で優しい ――――― きっと彼女の本来の声はこちらの方なのだと思う。 彼女は優しくて、けれど同じぐらい責任感が強くて真面目で、普段は模範的な軍人であろうと気を張っているフシがある。 それは彼女が敬愛する兄と仕官学校時代に訓練教官でもあったと言うその恋人の影響らしいが、詳しいことは聞いたことがない。 (ヴァン師匠のことは知ってるけど ――――― ……) そう思って、それからこんなことをしているのがバレたら殺されかねないんじゃないだろうかと思って、ルークはぎしりと動きを止めた。 厳格で真面目で部下の信頼も厚い将校であると同時にルークの剣の師匠でもあるその男が、唯一の肉親である妹を溺愛しているというのはルークでも知っているぐらい有名な話だ。 「…………ルーク……?」 訝しむ様な声に我に返って視線を下ろすと、目元を仄かに染めた彼女と目が合った。 「………ごめん、ちょっと考え事してた」 「…………」 素直にそう言ったら、ぎろりと睨み上げられて、慌てて頭を振る。 「い、言っとくけど別に他のやつの事を考えてたとかそーゆーんじゃねーからな!?」 ――――― 生真面目で融通の利かない恋人にベッドから追い出された回数は実は一度や二度ではない。 「………こう言うこと、してんの知られたら師匠に殺されそうだなと思って」 綺麗に窪んだ鎖骨にぺろりと舌を這わせる ――――― 目を見開いた彼女が、考え込むように視線を揺らすのがわかった。 「………………」 今度は彼女が考え込む番だった。 真剣な面持ちで俯いて、口元に手の甲を押し当てる。 「 ――――― ティア?」 「そこまで考えたこと……なかったわ ――――― そう、かも知れないわね」 訝し気に問うルークに、彼女は細く呟いた。 叱られるだろうか、呆れられるだろうか。それとも嘆かれる? そうは思ったものの、もうこの関係は変えられない。 もし変えられたとしても、今更何も無かったことには出来ないのだから。 「…………ごめん」 大きな掌が頬を包み込んで、どこか項垂れた様に ――――― 犬だったら間違いなく耳が垂れている ――――― そう言ったルークに、ティアは苦笑にも似た笑みを浮かべた。 「………バカね、どうして謝るの?」 頬を包み込む手に自身のそれを重ねて、彼の掌に唇を添わせる。 「だって、俺 ――――― ……」 「…………後悔、してるの?」 「バッカ、んなわけねーだろ!!」 途端怒ったように声を荒げたルークに、ティアはくすりと小さく笑って彼の項に腕を回して彼を引き寄せた。 触れるだけのキスを交わして離れると、間近で透明度の高い綺麗な翠の瞳が瞬くのがわかる。 「 ――――― なら、いいわ。怒られる時は一緒に怒られましょう」 「…………うん」 ちゅ、と瞼にキスが落ちてきた。 擽ったくて小さく笑うティアの髪を、指先で梳きながら問いかける。 「………続き、していい?」 「…………そういうことは聞かないでって、何度言わせれば気が済むの?」 「うん、ごめん ――――― ……」 呆れたような色を含んだ、けれど優しい声に許しを得たように。 ルークは再び彼女の柔らかな肢体へと没頭していった。 ― END ―
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リクエスト用に作成したつもりだったのですが、裏にはなったのですが強気ルークにはまったくなりませんでした……(苦笑)。 うちのルークは基本的にヘタレ攻めです。びばヘタレ。 と言う訳で普通に裏にぶち込んで見ました。 ルークとアッシュが双子のマイソロの世界では師匠とティアは多分きっと普通の兄妹だと思ってマス。 ルーク 「 い、妹さんを俺にください! 」 ヴァン 「 断る……! 」 本当はタイトルはイタリア語表記で単独の「e」には`が付くのですが、対応外のブラウザ等ではエラーが起こるので断念しました……orz |