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 患者さん主体の診療

歯内歯周専門室宮下歯科では、まず患者さんが何を望まれているかをお聞きし、 個人に最もあった方法を一緒に考えて診療を進めてゆくこととしています。 診査、診断、そして治療の拠り所となるものは客観的な信頼できる文献を中心とした 情報を基に科学的なアプローチを行うよう心掛けています。 しかしながら、ある1つの診断がなされた場合でも、通常その治療方法はいくつものオプションがあり、 最終的な治療術式の選択は術者の能力のみならず、患者さんの年齢、教育レベル、 生活習慣、経済状況、価値観により変わってくることがあります。 このような意味からも治療を行う前に十分計画を立ててから治療に取り組むことが重要だと考えます。 ここでいう患者さん主体の診療とはSacketらが提唱したエビデンスベーストメディスン(EBM)の姿勢を言います。もっとも新しいEBMの教科書には

Evidence-based medicine (EBM) requires the integration of the best

research evidence with our clinical expertise and our patients unique

values and circumstances.

 

  a.. By best research evidence we mean valid and clinically relevant

research, often from the basic sciences of medicine, but especially from

patient-centered clinical research into the accuracy of diagnostic tests

(including the clinical examination), the power of prognostic markers, and

the efficacy and safety of therapeutic, rehabilitative, and preventive

regimens. New evidence from clinical research both invalidates previously

accepted diagnostic tests and treatments and replaces them with new ones

that are more accurate, more efficacious, and safer.

 

  b.. By clinical expertise we mean the ability to use our clinical skills

and past experience to rapidly identify each patients unique health

state and diagnosis, their individual risks and benefits of potential

interventions, and their personal circumstances and expectations.

 

  c.. By patient values we mean the unique preferences, concerns and

expectations each patient brings to a clinical encounter and which must be

integrated into clinical decisions if they are to serve the patient.

 

  d.. By patient circumstances we mean their individual clinical state and

the clinical setting.

と書かれてあります。

患者さんの考えるわがままな治療計画を推し進めるわけではありません。今ある信頼できる情報のなかでは、どういうことを中心に口腔内を健康に保てるかを各患者さん毎に考え、示唆し、理解されるのであれば、それを選択してゆくという姿勢です。

したがって、他の人と同じ疾患の程度であっても、あなたには異なる治療方法が選択できる権利があるということです。その状態をしっかりと把握して、あなたが何を行わないといけないかを理解され、それを選択したのであれば、その方法のリスクも知っておかなければなりません。

ほとんどの医療行為は「良いこと」だけではなく、「悪いこと」も発生してしまうのですから。それを知ったうえで、治療を受けた方が良いのではないでしょうか。そういう臨床姿勢なのです。ほとんどの医療施設では、このような姿勢が欠けています。なぜならば、大勢の患者さんが列をなして「単なる治療」を待っているからです。臨床は時間との戦いになっているのです。「保険制度」では、1つの医療行為を5分で行っても1時間かけても同じ報酬が得られます。それでは医者は何分でその医療行為を行おうとするでしょう。早く終わればそれだけ多くの収入が得られるという保険制度があるかぎり、患者さんにとって良い仕事ができるのでしょうか。患者さんにとって良い制度なのでしょうか。少なくとも、患者さんの数を多く診ることが大切なわけではないのです。多く見て(診てないことが多い)、多く失敗するのであれば最初から、間違いなく必要な時間を確保した上で、仕事をするのが基本ではないでしょうか。手抜き工事はいやですから。

それではどのようにすれば患者さんのために良いと考えられる臨床を作れるでしょうか。口で言うのは簡単ですし、ホームページに書くのも自由です。時間が必要なのです。患者さんの考えを聞く時間がない限りはどんな治療行為も、その患者さんのためには良いとは言えないでしょう。家を建てるとした場合に、どんな希望があるかを自分から言わないで建てることは普通できません。あるいは、それを良く聞いて、実際に取り入れてくれなければ、良かったとは思えないかもしれません。

学校給食と違って、レストランに行かれて、黙って出されるものを食べようとはしないでしょう。自分のことなのですから、自分で考えて、決めるのではないですか。他の職業で考えれば、ありえないようなことですが、医療現場にはそういう自己決定という権利があまりにも無いように思います。

良いネタをおいておく鮨屋と、そうではない腐りかけのネタをおいておく立ち食いの寿司屋とにお客さんが同じ料金を支払うというシステムが医療の「保険制度」なのです。これは患者さんにとっては不幸なシステムのように思いますし、鮨屋にとっても不公平なシステムではないかと思います。

 

 

 

Comprehensive Dental Treatment Team

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