Yates et al. (1998) A split-mouth placebo-controlled study to determine the effect of amorphous calcium phosphate in the treatment of dentine hypersensitivity. J Clin Periodontol. 25. 687-692.


翻訳 宮下裕志(JDPIC研究会)

要約: 象牙質知覚過敏に対しては開口した象牙細管を直接的にあるいは間接的に閉塞させるという ことによる多くの治療法が定式化されている。
塩化カルシウム(calcium chloride)溶液とリン酸カリウム(potassium phosphate)を混合することにより 無定形のリン酸カルシウム(amorphous calcium phosphate)を沈澱させることができる。 こうした方法を露出した象牙質に塗布することで、象牙細管を閉塞させ、知覚を減少させることができうると考えられる。 この研究の目的はプラセボ比較を行い象牙質知覚過敏症における無定形のリン酸カルシウムの治療効果を評価すること、 そしてさらには臨床治験においてしばしば遭遇することではあるが、 明らかに自然に改善してゆくという現象についての情報を提供することである。
上下顎の左右1歯づつに象牙質知覚過敏がみられる38人の患者が、 このスプリットマウスで、ランダム化された、二重盲検の研究対象として選ばれた。 ベースライン時においては接触時および冷却、冷水、蒸発による刺激による 知覚反応が0から10のVAS (visual analogue scale) でスコア化された。 2番目の臨床医により試験用溶液とコントロール溶液(水)が塗布された。 24時間後に、対象者は再びスコアが記録された。7日目と14日目にもまた再びスコアが記録された後 また塗布が行われた。さらなる追跡は21、28、56そして84日目に行われた。 来院毎にテスト歯におけるプラークスコアも記録された。

テストとコントロール群は、似た程度であり、有為な治療差は認められなかったのではあるが、 全体的には知覚は顕著に減少した。プラークスコアも研究期間を通して減少した。 無定形のリン酸カルシウムによる治療効果がなかったか、その効果はコントロール歯群におけるプラセボ効果により マスクされてしまったかのどちらかと結論づけることができるであろう。

キーワード
知覚過敏治療


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