Svardstrom & Wennstrom (2000)
Periodontal treatment decisions for molars: An analysis of influencing factors and long-term outcome.
J Periodontol. 71. 579-585.
翻訳 宮下裕志(JDPIC研究会)
背景:この後ろ向き研究の目的は
1)歯周病に罹患した大臼歯の治療選択に影響する因子を分析すること、および
2)その判断による長期の予後を評価する事である。
分析に含まれた治療方法のオプションには、
非外科的あるいは/外科的な、スケーリング/ルートプレーニングで
分岐部の整形を伴うかあるいは伴わないもの
根分割あるいは分割抜根による歯牙の保存
と抜歯とされた。
方法:歯周病治療の依頼があった
合計222人の患者(平均年齢45歳;14ー70歳)における
1313の第一大臼歯、第二大臼歯からのデータを用いて
根分岐部病変のある歯牙における治療方法の決定分析がなされた。
患者は口腔清掃状態、歯肉の状態、プロービング時の深さ、根分岐部病変の程度、
積極的歯周病治療前と後の歯槽骨の高さのレントゲンによる評価
に関する検査がなされた。
評価されたさまざまな変数毎に度数分布、平均値と標準偏差が計算された。
さまざまな変数が治療方法の決定にどの程度影響するかをみるために、多重回帰モデルが形成された。
治療後8年から12年後の大臼歯の臨床およびレントゲンにおける状態を検査するために
160(72%)の患者が、追跡調査に同意し研究に参加した。
結果:28%の大臼歯が抜歯され、4%は分割あるいは分割抜根された。
抜歯と判断されるために有意に影響を与えると考えられる因子は、
歯牙の動揺、歯牙の位置、対合歯の欠損、根分岐部病変の程度、また
残存している支持骨の量であった。
分析された因子の内、 根分割および分割抜根に関するものでは、
臼歯部の位置および根分岐部病変の程度が
治療決定に最も強く影響を与えている。8年から12年の追跡調査によれば、
歯根分割を行わなかった96%の大臼歯はいまだ機能的に存在していることがわかった。
これに相当する数値は根分割あるいは分割抜根を行った大臼歯では、89%であった。
10年の追跡期間における歯槽骨の喪失はさまざまな種類の大臼歯において0.1から0.6mm
であるが、最も高い値は上顎第二大臼歯である。
キーワード
分岐部病変
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