Hill et al. (1981) Four types of periodontal treatment compared over two years.
Journal of Periodontology 52, 655.
翻訳 宮下裕志(JDPIC研究会)
要約:歯周病の状態が中等度から重症の平均年齢45歳の90人の対象者について、
さまざまな歯周病治療法に関する効果が研究された。初期状態におけるポケットの深
さと臨床的アッタッチメントレベルが測定され、
初期治療を行った後の測定値および4分の1顎毎にランダムに割り付けられた4つの
異なる歯周治療法を行った後、同部位の1年後2年後の測定値と比較された。
それらの治療法は
1)外科的にポケットを除去あるいは減少させる方法
2)modified Widman 法
3)歯肉縁下キュレタージ
4)スケーリングおよびルートプレーニングのみ である。
患者さんは3か月毎に口腔清掃のためにリコールされ、毎年臨床パラメターが再測定
された。
One-way analysis of variance と Scheffe's法が用いられ、治療間で効果の差がな
いという仮説が推論された。
結果は初期状態のポケットの深さをベースラインとして、
1から3mm、4から6mm、7mm以上のサブグループに分けて分析するか、あるいは、
初期治療後の(再検査時の)ポケットの深さを基準にベースラインとして同様に分析された。
1から3mmのポケットでは初期治療後わずかな減少がみられたのみで、2年間を経過しても
治療方法にかかわらずわずかな変化がみられたのみである。
しかしながら、スケーリングのみも含めて全ての術式において1年後2年後では
明らかなアタッチメントの減少がみられた。
4から6mmの深さのポケットではその減少は主に初期治療後にみられているのであるが、
さらなる修正治療後にも減少しており、ポケット除去あるいはmodified Widman法において
特に顕著である。
しかしながら、手術後のポケットの深さの減少はアタッチメントレベルの維持という意味では
良い影響を与えるものではなく、実際はスケーリングのみが最も良いのである。
7mm以上のポケットでは、初期治療後および治療後1年と2年において、
ポケットの深さの減少が顕著にみられたが、初期に最も大きな減少がみられたのはポ
ケット除去手術である。
しかしながら、アッタッチメントレベルに関しては4つの治療法による明らかな差は
ここでも認められなかった。
キーワード
歯周病治療
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