Author: Downer(1989)

隣接面齲蝕の診断


隣接面齲蝕のレントゲン上における評価:
象牙質に透過像が見られるものが治療対象となる。
さらに、透過像が認められても窩底が露出して硬く、清掃可能で唾液によってその部
位がつねに覆われていると考えられる窩洞は積極的な治療対象とならない。

- 文献タイトル
Validation of methods used in dental caries diagnosis Int.Det.J 1989

- 研究デザイン Review

- 文献の目的
1.齲蝕の罹患率が減少しているという現状で、診断の妥当性の評価について理論的 方向から考察する。
2.特に,齲蝕臨床診断の批准研究の所見を吟味する。
3.齲蝕罹患率の低い集団に対する診断と、現在の見識との関係についてまとめる。

- 研究結果
1.齲蝕は、検出されない初期齲蝕から歯冠の大きな崩壊まで疾病の連続体である。
その重症度は習慣上だいたい正規分布し、DMF indexと似ていると仮定されていた。
1970年初期にDMFは、ほぼ正規分布すると示されていたが、齲蝕の罹患率はどんどん 下がり、現在その分布はJ型の曲線形態をとり、50%がスコア0である。
そこで齲蝕病巣の分布も同様な曲線になると推定している。
診断者は病巣を進行状態によって分類するが、批准研究のsensitivityとspecificity を計算するときには疾病が有るか無いの2つに単純に分類され、その結果は2×2の 行列で表される。

2.4つの研究の結果には象牙質齲蝕の真の発生率にばらつきがあった。
しかし、study1は齲蝕の確認方法がやや粗雑であり、Study4は二次齲蝕を触診によって検査 し他の3つの研究と調査方法が異なっている(Study1,2,3は視診で検査)。
Study3と4は似た方法であり、結果も類似している。

3.訓練され経験の有る検査者が視診法で診断すると、境界線上のサンプルで、
Sensitivity 0.6以上、Specificity 0.8以上で象牙質齲蝕を検知できた。
工業国において、齲蝕が少なく、進行も遅いことを考えると、Sensitivityがある程度犠牲にな るが、Specificityが高いことは好ましいことである。
しかし、一般集団に対し、この結果の無批判な外挿は、その結果に対する誤った判断
(特にFalse-positiveな治療決定)を導きやすい。

3. 今回お渡しした文献から得た答え(解釈)

工業国において、齲蝕の診断(隣接面に限定はしていない)には視診が有効である。
レントゲン診断は補助的にする。
今回レビューされた研究をそのまま臨床に当てはめるのは危険である。
より正確な診断法が確立されるまで、false psitiveが高頻度でおきることをよく考 え臨床を行なう。

キーワード
齲蝕、診断、感度、特異度、陽性適中率、陰性的中率
sensitivity, specificity, positive predictive value, negative predictive value, validity


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