PMF2011〜その1
オープニングコンサートとAプログラム


2011年7月9日 10:45 札幌芸術の森 野外ステージ前

駐車場にはかなりの先客がいてあわてたが、別の催し目当てなのか、
野外ステージのゲート前には数人の寂しい行列。
例年おなじみの出店が並んで準備もほぼ完了していた。

とりあえずは椅子を置いて順番を確保。
ちょっと蒸し暑いがオープニングにふさわしい好天。
途中で買った、ミネラル・ウォーターとノン・アルコール・ビールの出番は早まりそうだ。
スピーカーからはプロコフィエフの音が聴こえる。
そのリハーサルは開場30分前には終わり、
ゲート前に姿を著し、昼食を取る札響メンバーも見られた。
このあたりはいつもと変わらぬ開場前である。
いつもと変わらぬと言えば、写真家K氏の姿も・・・。


2011年7月9日 12:00 札幌芸術の森 野外ステージ

時間通りの開場。
ちょっと早足で芝生席の良席を確保。
カメラの音がうるさいかもしれないが、そこは我慢。
コンビニおにぎりとノン・アルコール・ビールでランチ。
入場前に引き変えた公式プログラムをながめて過ごす。


2011年7月9日 13:00〜 PMFオープニングコンサート

例年と同様に司会者を置いての進行。

冒頭、先日の震災の犠牲者のための演奏を行う。拍手は自制くださいとのアナウンス。
曲はパムピヒラー(作曲者、曲については、データなし)の「ラメント」。
ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、コントラバスという編成で、
悲しみというよりも、透明な美しさを湛えた音楽が演奏された。
演奏後ステージ上はしばし黙とう。

以後予定されたプログラムが震災への思いを込めたほかは型どおりのあいさつをはさんで進行した。

最初は「キャンディード」序曲。
アシスタントの指揮者が開幕にふさわしく威勢のよい音楽を聴かせた。
ただ、威勢が良いだけの一本調子で、終盤などもう少しダイナミクスの幅がほしかった。

続くは札響、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」組曲抜粋。
PMFOに比べると一回り以上編成は小さい。
しかし冒頭の音から音量的に負けることのない響きを出してくる。
その後はダイナミクス、ニュアンスの幅はPMFOを上回る。
この充実度、ホールで聴いてみたかった。

後半はショスタコーヴィチの交響曲第10番。
生では初めて、CDでもそう聴く機会はない。
28歳の指揮者は実に周到な用意をしてきたと思われる。
的確な指揮で、高機能のPMFOをドライブし、堂々たる演奏を繰り広げた。
管楽器のファカルティ達も見事なソロを聴かせた。
オーケストラの華麗な響きを楽しんだと言えば好意的な評価なのだが、
ではショスタコーヴィチの音楽としてこの響きはどうなのか?
ジダーノフ批判後の作品であるが、DSCHの音形を織り込んだ意味深長な作品でもあり、
微妙な問題である。

演奏前には教授陣が紹介された。
ショスタコーヴィチには登場しないが、シュミードルが一番の拍手を取っていた。

終演 16:00


2011年7月9日 16:30 札幌市南区 国道453号線 Massa-'s Car

じい様より電話。
「決勝、0−1で負け」
「あらー!そうですか!でも行けるんですよね。次に?」
「いや、それがダメらしい・・・」

PMF終了後に行われる大会の応援を楽しみにしていた息子の中学サッカーが予定より早く終わってしまった・・・。


2011年7月10日 15:00〜 札幌コンサートホール PMFO Aプログラム

昨日トリで聴いた28歳の指揮者ウルパンスキによるAプログラム。
もともとはフランクの交響曲がお目当てだったが、
指揮者変更と共にショスタコーヴィチの10番に差し替えられた。
席は最近お気に入りのPブロック。3列目センターはオケの死角が少ない良席。
恥ずかしながら今年最初の有料入場のコンサートである。

開演前、久々にブラックモアさんと歓談。
最近はこの時期しか逢うこともなく、七夕さんみたいな状態である。

最初はドビュッシーの「海」。
28歳の俊英はなかなか彩りのある響きを出しくる。
前半の幻想的な音楽など、このお兄さんただものではない。
自分としては当然愛聴するトスカニーニの録音と比べる事になるのだが、
さすがに音楽の隈取りというか、時折要求される鋭かったり、力強かったりという響きへの対応に不足する。
とはいえ、終盤のクライマックスは輝かしい響きで締めくくった。

「ボレロ」は先日の札響の演奏を楽しんだ記憶がまだ新しい。
今回は小太鼓は指揮者にかなり近い前方に2台セッティングされた。
Pブロックから聴くボレロというのは実に面白い。
前半は管楽器が前面でソロを吹き、後方で弦がピチカートを鳴らす。
管楽器のソロは後ろ向きとはいえ、1階席で聴くよりも至近距離で、
奏者の息遣いも聴こえて生々しい。
ただしウルパンスキの音楽は、曲まかせでやや平凡。
先日の札響の指揮者が聴かせた細いフレージングへのこだわりなど感じられず、
テーマの第1音が妙に中押しされるのも気持ちがよろしくない。
また近場で聴いたせいか、アカデミーの叩いたティンパニが左手のストロークが弱く、
アウフタクトの合いの手が終始不揃いに聴こえて、生きてこないのもいただけなかった。

休憩をはさんでショスタコーヴィチの2発目。
昨日を上回る実に見事なオーケストラ絵巻が繰り広げられた。
特筆すべきはファカルティ達のソロ。
昨日の野外でも十分に聴きとれたことだけれど、
背後だが、ホールで間近で聴くとよりその素晴らしさが体感できた。
ティンパニひとつにしても、もはや段違いの響きがする。
指揮についての所感は基本的に変わらない。
ルックスも指揮ぶりもとてもカッコイイ。
昨日後方からだと時折「空振り」に見えた第2楽章以降も実に緻密な指揮だった。
それだけに出てくる音楽が明るく軽い響きに終始したことが演奏後にひっかかってくる。
ショスタコーヴィチの音楽の裏を深読みするなんていうのは本当は馬鹿げたことなのかもしれないが・・・。
「ジダーノフ批判後の作品だもの、気分は『森の歌』でいいじゃん」、ということで今日は納得しておこう。

終演 17:10


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