PMF2010の記憶〜その1
アンサンブル・マラソン・コンサート


2010年7月10日 PMFブラス・アンサンブル演奏会
2010年7月11日 PMF大通公園コンサート

PMF2010の開幕は7月8日。
自分の開幕は、10日の大通公園コンサートと決めていたが、選挙の日程の関係か1日延期。
肩透しをくらったせいかテンションが上がらぬまま、2日間の無料コンサートはパス。
プログラムは魅力的なのに足が向かないのは歳のせいか・・・。


2010年7月12日 PMFアンサンブル・マラソン・コンサート

10日に急遽開催が知らされたコンサート。
ミニ・トークでの室内楽が姿を消して残念だっただけに、
その穴を埋める?この企画、少し無理をして出かけることにした。

朝から雨、芸森到着は9時35分。
アート・ホールの開館9時45分までしばし雨を避けて待つ。
アリーナ前はアカデミーたちであふれている。
コンサートを聴きに来たと思われる人の姿はほとんど見当たらないし、
受け入れる体制もできていないようで一人で入るには不安だ。

受付が設けられたのは開演5分ほど前。
アカデミーたちも準備に回ったのか少なくなってきたので入場。
プログラムを受け取ってアリーナに入ると一般人は数えるほど、
あとは降り番のアカデミーたち。

10時開演。メール・ニュースには「本番さながらのリハーサル」とあったが、
夕方まで25のグループがラフなスタイルで登場する以外は本番通りの内容となった。

以下メンバーのうち特記なきはPMFアカデミー・メンバー

〜午前の部〜
ベートーヴェン:弦楽五重奏曲〜1,2,4楽章
第1ヴィオラ/池田 菊衛

ブラームス:ピアノ三重奏曲〜1,4楽章
ピアノ/縄手史子
チェロ/クライヴ・グリーンスミス

メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲〜2,3,4楽章
第1ヴィオラ/マーティン・ビーヴァー

ブラームス:弦楽六重奏曲 第2番〜1,3,4楽章
第1ヴィオラ/磯村 和英
チェロ/クライヴ・グリーンスミス

ヘンデル:ヴァイオリンとヴィオラのためのパッサカリア

ベートーヴェン:ピアノと木管のための弦楽五重奏曲〜2,3楽章
ピアノ/縄手史子

プーランク:ピアノ、オーボエとファゴットのための三重奏曲
ピアノ/赤堀絵理子

ビゼー:4つのコントラバスのための「カルメン・ファンタジー」

バルトーク:ヴァイオリン三重奏曲

テレマン:4つのヴァイオリンのための協奏曲

この夜コンサートを控えた東京クワルテットのメンバーが登場。
さすがに室内楽のエキスパート?!どの曲も大変純度の高い演奏。
ヘンデルの女性アカデミー2人、カルメンでの4本のコントラバスの豊かな表情は見事。
最後のテレマンは予想していた曲とは違ったが、美女達がなんとも快活な音楽を聴かせた。
赤堀さんのお姿、演奏に触れてなんとも幸せ・・・。

午前の部の終演は30分遅れて13時ちょうど。
アリーナ前はアカデミーやファカルティ―たちが食事中だ。
駐車場に戻り車内であわただしく昼食をとりアリーナに戻ったのは13時25分。
午後の部は時間通りにスタート。
1時間の休憩は半分に短縮である。
ほとんどの聴き手はまだ食事か?戻っていない。 
次があればおにぎりかサンドイッチ持参のこと!

〜午後の部〜
ジョリベ:フルートとパーカションのための協奏的組曲
フルート:カール・ハインツ・シュルツ
指揮:オリヴィエ・ペレヌー?

ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ

武満:揺れる鏡の夜明け

イベール:2つの間奏曲

ベートーヴェン:弦楽三重奏曲〜1,2,6楽章
ヴィオラ/セバスティアン・ヘルベルグ

ラヴェル:マ・メール・ロワ

モーツァルト:クラリネット五重奏曲〜1楽章
クラリネット/ペーター・シュミードル
ヴァイオリン/ヴェルナー・ヒンク 

ヒンデミット:5つの管楽器のための小室内音楽
ファゴット/リヒャルト・ガラー

モーツァルト:オーボエ四重奏曲
オーボエ/セリーヌ・モネ

ビゼー:4つのコントラバスのための「カルメン・ファンタジー」

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 ニ長調 K. 575「プロイセン王 第1番」
チェロ:フリッツ・ドレツァル

モーツァルト:ホルン五重奏曲
ホルン:ロベルト・ラングバイン

メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲〜1,2,3楽章
ヴァイオリン/ラインハルト・クラウス

シューベルト:八重奏曲〜第1,3楽章
コントラバス/ミヒャエル・ブラーデラー 

冒頭高い精度の合奏だったジョリベの聴き手が少なかったのは残念。
シュミードル&ヒンク登場のモーツァルトがリピートなしの第1楽章だけで終わったのもなんともせつない。
ラヴェルはグラマー系美女とスリムなメガネ美女によるハープ2台。
たいへん豊かな響きで視覚的にも音楽的にも今日一番のお楽しみ。
ファカルティでの注目はオーボエのモネ。冷徹なまでの完璧技巧で吹きまくったが最後の最後ではずしてしまった。
しかしこれは女傑として記憶してよいかも・・・。
またまたの「カルメン」は各個人のテクは上そうだが、音楽に勢いを欠いた。
「プロイセン王」はチェロが活躍するが、ドレツァルで聴けたのは感涙物である。
ホルン五重奏のラングバインは前年までのウィーンの若造の消極的な音楽に比べるとなんともなんとも活発。
終盤ふたつの八重奏は中音域の響きに透明感を欠いたが勢いのある若々しい演奏で、
メンデルスゾーンのメヌエットで楽しく締めくくられた。

配られたプログラムはここで終わりだったが、
まだステージでは椅子の並び替えをやっている。
アリーナの出入り口に張り出されたプログラムを見るとなんと「25番 PMFブラス・アンサンブル」とある。
近くにいた方に声をかけて、あわてて席に戻る。

J. S. バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番
J. シュトラウス:雷鳴と稲妻 作品324
トランペット/タマシュ・ヴァレンツァイ
トロンボーン:ニコラス・ノード
昨日一昨日と聴き逃したブラス・アンサンブル。
温もりに欠けるが、若く輝かしい響き。

ここでコンサートは本当に終わり。
終演18:00

前後半休憩はさんで7時間半、熱の入った演奏に圧倒されっぱなしの時間。
アカデミーのレベル、教授陣の熱意は例年と変わっていない。
あるいはレベルアップしているかもしれない。
これらの個々の力が相乗効果を呼んだ時、
どれほど素晴らしい音楽が聴けるのかと思うとわくわくする。

とはいえ、今聴いた音楽への思いを振り返る間もなく続く演奏に、
長時間続く硬い椅子の座り心地にはお尻が文句を言い出す。
ステージ・サイドは入れ替わり立ち替わりだから、 
「長時間お疲れ様」は自分に言おうか・・・。

「入場者数限定(約300人)で、無料一般公開」といっていたが、
降り番のアカデミーとファカルティ―たちを除けば、最大で30人程度の入りだった。
せっかくの試みだから、次回があるのならもっと人を集める準備をしてもよいのではないか?
朝の開場の時間的なこと、あるいは受け入れ態勢の準備、
プログラムのミスの訂正、休憩時間の案内などPMFサイドから聴き手へのメッセージは一切なく、
いくら公開リハーサルとはいえ少し気配りというか愛想の良さがあって欲しかった。

思えばアカデミーたちの姿にこれほど近い距離で接することができる機会と言うのは意外と珍しいのではないか・・・。

帰り道も雨・・・。


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