『きっかけ』
『不思議な感じ(序盤から中盤について)』
暗く塞ぎ込む春野明生に明るく話しかける夏森永久の無邪気さ、そして明生とその仲間達(永久、佐倉穂、吉野美花)のことを目の敵にする蓮見まりあ及び、○○による執拗なまでの憎しみ、これらの感情はどうして引き起こされたのかを考えるととても不思議な感じがする。『共通シナリオについて』
「悪の必要性」
作中、絶対に許せないと思う嫌な連中が登場するが、奴等と闘いを挑むことで4人(明生、永久、穂、美花)の友情が深まることを考えると、悪の存在も必要なのかもしれない。「○○の歪んだ精神」
狂気じみた○○の演技を目の当たりにすると、高慢ちきなまりあでさえまともに思えてしまう。それくらい○○の精神は多分に歪んでいた。演技といえば、物語のクライマックスで○○が手紙を読むしゃべり方もある意味凄みがあった。確かに、○○の気色悪いしゃべり方には腸の煮えくり返る思いをするかもしれない。しかし、読んでいる人間が抱える苦悩を考えながら聞いているといろいろと考えさせられる。それに、少し間を置いて読み手が代わってから受ける感動というものもより効果的なものになるような気もしている。「結末について」
主立った問題は粗方片づいたかと思いきや、何やら含みを持たせる意味深な結末だった。しかし、考えてみれば残された問題について何一つ解決してないし、そのことで永久はいろいろと思い悩んだに違いない。彼女は一体どんな気持ちであの結論に辿り着いたのだろうか。まりあが明生達を憎む理由も含めて、非常に気になるところだ。『佐倉穂』
『佐倉穂波』
穂も充分可愛らしさかったのだけど、彼女の母穂波さんはそれを上回る素敵な女性だった。どう見ても穂のような子供がいるとは思えない若々しい容貌もさることながら、裏表のない性格で明生達を躾けている姿は理想の母親そのものと言える。自分の母親がこんなにも若くて綺麗で、その上誠実な性格だったら、きっと甘えたり我が儘言ったり期待に応えようと頑張ったりしたに違いない。そう思わせてしまうほど、穂波さんの母親っぷりは完全無欠だった。『吉野美花』
永久トゥルーエンド
『立場によって形を変えてしまう正義』
話の中心になっている永久に関する謎が明かされていくつれて、昔の習わしに縛られた人間のエゴが垣間見えた時は嫌悪感を抱いたものの、この町の歴史を考えると必ずしも明生達の主張だけが正しいとは限らないのでは、と思うようになった。アニメ『機動戦艦ナデシコ』であるお方は「人の数だけ正義があった……」と言っていたが、この作品でもそのことがまんま当てはまる。どちらが正しいとか間違いではなく、置かれた立場によって正義というものは、いくらでも形を変えてしまうことに改めて痛感させられた。『謎が判明してスッキリした』
「何故まりあは明生達のことを目の敵にするのか」という謎もようやく判明してスッキリした。同時に、本当は彼女も根っからの悪じゃないんだということもよく判った。多少お嬢様的な我が儘はあるにはあるけど、基本的にはまともな神経の持ち主だし、それでいて効果的な冗談も言えたりする見所のあるサブヒロインだった。『夏森永久』
永久エンドで彼女について語れなかったのは、思ってた以上に掴み所のない性格だったからだ。仕様のない奴と思ってしまうほどのお人好しかと思うと、実は現実というものをしっかりと見据えるしたたかさを兼ね備えているところに自分は納得していなかったようだ。しかし、それこそが永久の個性であり長所であるんだと考えられるようになってからは、彼女に対しても不思議な魅力というものを感じるようになった。『演出関連について』
素晴らしいシナリオの影に隠れがちではあるが、独特の蛍光色で塗り分けられたCGに程々に心地いいシンセで奏でられたBGMは不思議な世界観というものを上手く体現していたと思う。『環境設定について』
テキストタイプのアドベンチャーゲームでおよそ必要とされるものはきちんと用意しているのは流石である。あとはメッセージウィンドウや文字を自在にカスタマイズ出来るようになれば完璧ではないだろうか。『声優について』
これは○○の演技に尽きる。キチガイじみたおどろおどろしいしゃべ方や狂ったように叫ぶ時の力の入れようは他の追随を許さない。きっと手紙を読み上げるシーンではノリノリだったのではないだろうか。そう思ってしまうほど、○○の演技は迫真に迫っていた。それ以外でも、メインである穂、美花、永久の3人組も安定していたのだが、意外なところでは小さい頃の明生の声優もなかなかどうして達者な演技を披露していた。『まとめ』
とにかく「てのひらを、」編で活躍する明夫、穂、美花、永久の友情パワーに尽きる。始めはバラバラだった4人が次第に心を通わすようになり、やがては協力して悪に立ち向かうという昔ながらの勧善懲悪な展開が好きならば是非お勧めしたい。「たいように」編という蛇足にしてはボリュームのあるシナリオがあることを差っぴいても、やってみてほしい作品である。タイトル | メーカー | 対応機種 | 発売年度 |
てのひらを、 たいように | Clear | win98、2000 Me、XP |
2003年 |
タイトル | 発売元 | VOL.7発売年度 |
機動戦艦ナデシコ VOL.7 |
キングレコード | 1999年 |