『はじめに』
『救いのない話であることを改めて実感』
事前にどんな内容かは判っていたものの「モノトーン調の背景にシックな柄の服装を纏ったキャラ」という世界観から連想されることは「平凡な日常から極めて逸脱した救いのない話」であることを改めて実感した。『シナリオについて』
細かな配慮の行き届いた設定によってもたらされる、不自然さを感じさせない会話には何度となく感心した。そうした地道な積み重ねがあるので、犯人側の巧妙な手口によって、為す術もなく打ちのめされるヒロイン達の悲壮感というものも、より一層引き立たっていた。「際立つちゅーたの異常さ」
エデン絡みの異常な犯罪は、マルチアングルによってより強烈なものへと変貌させている。中でも事件の中心的な存在であるちゅーたの鬼畜三昧には、反吐が出るほどだった。彼に限らず、エデンのメンバーは皆絶対的な主従関係を強要し、女を性的欲求を満たす為の都合のいい道具になるよう、調教していく。そうやって奴隷に仕立てられていくヒロインの姿を見ていると、いたたまれなくなってしまう。
【ヒロイン別所感】
『何よりも腹立たしい「ちゅーた」』
『適材適所に使われていたBGM』
『レベルの高い声優の演技力』
『最後に・・・』
草薙香乃
登場するヒロインの中では香乃が結構好きだったかな。ノラリクラリとした捉えどころのない性格は嫌いじゃない。普段は物事を冷静に判断しているけど、変なことで上手く立ち回ることが出来ないもどかしさは、可愛らしいとさえ思った。しかし、それが徒となって事件に巻き込まれてしまったのだから、泣くに泣けない。
水代葵
どちらかというと、あまり好きな方ではないかな。世間知らずのお嬢様はいいとしても、ちょっと物事を自分の都合のいいように解釈しすぎていて、それが鼻持ちならない。だったら、もっと意地悪で計算高い性格の方がよっぽどましだったかも。
とはいえ、そんなに熱くなってまで否定する程嫌っている訳ではない。凌辱系のシナリオであることを鑑みると、ヒロインの魅力なんてない方が後腐れがなくていい。
桧山葉子
葵とは正反対な葉子はというと、性格云々というより、過去から現在までの人生が、あまりにも過酷である。一応救われるシナリオはあるにはあるが、それも、数々の奇跡が起こらないと実現は非常に難しいというのが、彼女の不幸せオーラを助長している。一度損な役回りを受け持つイメージを持たされてしまうと、生涯苦労し続けなければならないのかと思うと、なんとも不憫でならない。
日比野照子
かなりエゲツナイ目に遭ってしまう照子は、可哀相を通り越して、気持ち悪いとさえ思った。いくら、ちゅーたと似たタイプの尻軽系キャラとはいえ、物事には限度がある。というより、照子のような仕打ちこそ、「ちゅーた」が受けるべきだったと思う。
これに比べればユカリのやったことですら「まだマシ」とさえ思えてしまう。それに、あの人には狂気に駆られても仕方のない理由があったが、「ちゅーた」は元々そういう下劣な性格だったというのだから、不快感はさらに増長していった。シナリオの内容で、それも1人のキャラに対してこれ程の嫌悪感を起こさせられたことはない。一応、彼が何らかの組織(ひょっとしたらエデンかも)によって、粛清されるシナリオもあるにはある。しかし、その説明は箇条書き程度のもので、その後の行方はまるで判らなかったので、今一つ溜飲を下げられなかったのが、なんとも口惜しい。
一部のエンディングで流れたりもするプログレロック風の「螺旋回廊テーマ」は、結末のおぞましさを的確に表現していた。また、ショックな場面に遭遇した時に用いられるオーケストラヒットを多用した「精神の揺さぶり」も非常に効果的で、事件の衝撃というものをより端的なものとして実感させられた。
とにかく、個々の演技が卓越していたので、普段の会話は聞き入ってしまうし、陰惨な場面では苦痛に歪む演技が上手過ぎるが故に、聞くのが辛くて仕方がなかった。
タイトル 対応機種
メーカー 発売年度
螺旋回廊 win95/98
ルーフ 1999年
【参考資料】
タイトル 対応機種
発売元 発売年度
螺旋回廊2 win95/98/Me/2000Pro
ルーフ 2001年