『はじめに』
『体験版と比べて』
内容に関しては料理対決直前までが収録された体験版とほぼ一緒だった。当然ながら体験版では選べなかった選択肢が選べるようになったのはいいのだけど、あの大仰なナレーションによる力の入った次回の予告がなくなってしまったのはちょっと寂しい。あとは、冥夜の声優が体験版と違う人になっていたのはいいとしても、演技の方は以前よりはましになったという程度だったのもちょっと残念といったところか。
『共通シナリオ(ラクロス大会直前まで)について』
『ズルイ大人にはなりたくない』
『ラ〜ウンド・トゥ〜!』
『他人を拒絶する理由がある程度描かれていた』
『虚勢を張る千鶴の頑なさは、見ていて切ない』
『共通シナリオと冥夜エンドについて』
『【超王道学園アドベンチャー】について考える』
『システムについて』
『最後に・・・』
【エクストラ】で気になったこと
純夏、冥夜共通シナリオ
印象に残っているのは、武の子供時代の本当の記憶が戻る際、武が悲痛の叫びで大人達に反抗していたことにちょっと涙ぐんでしまった。なりたくてなった訳ではないにしても、子供の立場からすれば大人のやり方には理不尽なものを感じてしまうだろう。たとえ血の繋がりがなかろうとも、冥夜の親なのだから、そこら辺もう少し柔軟に対応してほしかった。我が子に対する愛情がホンの一欠けらでもあれば「純粋な気持ちを踏みにじるようなこと」は出来る道理がない。大人の都合で振り回されて、ただ叫ぶ他に術のない子供の気持ちを慮ると、なんとも遣る瀬無くて仕方がない。
まりもバッドエンド
彩峰エンド
千鶴エンド
学校に限らず、何か事件が起こってもなかなか解決しないのは、当事者が本当のことを話したがらないかったり、学校側の対応に不適際があったからだと思う。その点、武、千鶴、彩峰、茜は、自分に正直な気持ちを赤裸々に告白したし、教師側はあくまでも冷静に物事を判断しようとしていたことが、無事に問題を解決させたのだと思う。
それにしても、弱音を悟らせまいと虚勢を張る千鶴の頑なさは、見ていて非常に切ない気持ちにさせられた。親からまともな愛情を受けられなければ「誰も頼ることが出来ない」と思い込んでしまうのは、至極当然である。
千鶴が救われたのは、精神的に大きく成長を遂げた親友の茜が気に掛けてくれたことと、たまたま武が諦めることなく側に居てあげたからである。もし、2人がいなかったと仮定して、ラクロスの件で千鶴がほっとかれてしまったと想像すると、物凄く恐ろしくて仕方がない。それと、千鶴にある儚さというか危うさが、自分と重なることがあったことも、心に強く響かせる原因になっていたと思う。
【アンリミテッド】で気になったこと
冥夜エンド
それがどれ程のものだったかというと、シナリオが完結していないとか、どのヒロインを選んでもシナリオに大差がないとか、学園もののラブコメが主体だったはずではないのか、といった懸念を払拭するだけのパワーが【アンリミテッド】にはあった。理屈がどうこうではなく、あくまでも自分好みの展開(主義主張、信念を主体とした話)だったことが、純粋にシナリオを楽しめた最大の理由ではないかと思う。
あとは、冥夜エンドであることを前提にしているからか、彼女を選んでシナリオを進めることで、災害救助や最後の移民船団に纏わるエピソードで深まる愛情は、素直に受け入れられた。逆に言えば、災害救助や移民船団のエピソードは冥夜だけでなく、残りのヒロインの分も用意していれば、他のヒロインを選んでもある程度は納得していたかもしれない。
おまけでいうと、オープニングやイベントでのアニメーションが【エクストラ】よりも妙に凝っていて、ともすれば【アンリミテッド】の方が本編なのか、と思ってしまうくらいの出来栄えだった。
わざわざ頭に「超」をつけたのだから、その時点で普通の「学園」にありがちな話を期待してはいけなかったかもしれない。ただ、体験版、そして、【エクストラ】で見られた「王道の学園ものから派生するシナリオ」を堪能していただけに、【アンリミテッド】で展開されるSF設定に違和感がなかったかと言われると、否定しきれない。流石にキャラの設定こそある程度継承されているものの、それまでにこれといった伏線が張られることなく、唐突に趣の全く異なったストーリーが始まるというのは、如何なものかと思いたくもなる。
しかし、内容そのものを考えてみると、SF主体の世界観に抵抗がありはしたが、やってるうちに「心の葛藤やどうしても譲れないもの」を丹念に描くシナリオには、なんやかんやいって感心させられた。【エクストラ】で体験したことをフラッシュバックさせる手法を要所で織り交ぜることで、【アンリミテッド】とのギャップを表現していたことも、面白さの要因になっている。
それになんといっても、ロボットによる訓練で武が、これまでの鬱憤を吹き飛ばす活躍が見られるようになって、俄然面白みが増したことも見逃せない。最初のうちこそ、ロボットが登場するSFという認識から、訳の判らない専門用語だらけで、話自体付いていけないものと勝手に思い込んでいた。そうしたら、訓練におけるゲーム的要素(レバガチャ、先行入力など)を織り交ぜた操縦の説明をし始めたのである。いずれも、格闘ゲーム好きならば必ずやツボにくるはずで、それがシナリオに活かされているのだから、マニアならば堪えられないものがあるはずだ。
以上の理由から、【超王道学園アドベンチャー】とは「学園ものの範疇に収まらない壮大な物語」なのだと解釈させてもらった。それだけの内容が詰め込まれていたし、話そのものも合格水準以上だったことを考えると「こういうのも大いにアリではないか」というのが正直な感想である。
タイトル
【メーカー】対応機種 発売年度
マブラブ
【アージュ】win98/Me/2000/XP
2003年