『きっかけ』
『序盤について』
単なる恋愛ものではない独特の雰囲気を持ったシナリオは思ったよりいい感じだった。ヒロインの個性にしても気持ちを間接的にぶつけてくる感覚が意外と良く、後になって思い返すと大事な台詞というものが多かった。特に南つばめの台詞には「君が望む永遠」の香月モトコと同じくらいの重みを感じた。そんなこんなで気になる台詞が多く、気がつくと先の展開が気になりだしていた。『不器用な優しさに惹かれる』
たるたるシナリオをやってる間はずっともやもやとした感じがこびりついたままだった。その原因が分からないうちは棚上げにしておいたんだけど、終盤になってその理由が判明してからは彼女のことが愛おしく思えてきた。不器用ながらも懸命に気遣おうとしていることが理解できたことでたるたるに対する好感度はじわじわと上昇していった。『とかくいい人は幸せになれないと言われる』
好きだという気持ちを必死で押し殺そうとする様子が痛いほど伝わってきた。立場上好意を寄せてはいけないのに気持ちとは裏腹にどんどん惹かれていく。そんな恋の悩みで苦しむ静流の姿は見ていていたたまれなくなった。さらに、ピアノの才能で妹でもあるたるたるに負けて嫉妬心に駆られるエピソードに至ってはさめざめとした気持ちになってしまった。『本編よりもむしろ……』
さて、話の方はというと飄々とした彼女の性格をそのまま表した展開だった。突然恋する乙女のような性格に変わってしまうことがあるのはご愛敬としても、つばめの魅力というか存在感を十二分に発揮したシナリオだった。『強引さばかりが目につく希望エンド』
唐突に主人公を妄想の世界に浸らせてしまう希望エンドにはかなりの強引さを感じた。そこで描かれていることもこれまでのことを一切否定するご都合主義に満ちあふれる話をダラダラと書き散らしたまま、それらの疑問に何一つ答えることなく終るというとんでもないものだった。『好感の持てるヒロイン』
物怖じせずにはっきりと口に出す一方でわざと相手を怒らせるような態度をとって身を引いてしまう不器用な一面があるところには人間味を感じさせる。また、主人公とジョーダン混じりに軽口を叩き合う中にも相手の気持ちを思いやって言葉を選んでいることが分かる会話の応酬もなかなか良かった。『エンディングについて』
二つのエンドを見比べると(バッドエンドはこの際無視)トゥルーエンドよりノーマルエンドの方が収まりが良かったように思う。男にとってちょっと都合良すぎるのように聞こえなくもないが、「とと」とたるたる双方の気持ちが救われたことを考えれば、ノーマルエンドの方が事実上のトゥルーだったのではないかと思えてならない。『システムについて』
ノベルタイプのアドベンチャーゲームとして必要な機能は一通り揃っている。中でも嬉しかったのは既読の履歴をテキスト形式で読み返せるだけでなく音声も個別に再生してくれることだ。それは有り難いんだけど、ここまでするのであれば誰の声を再生したのか分かるようにしてほしかった。『演出について』
飛び抜けて凄いと思うことはなかったものの、グラフィックは丁寧に塗られていたし、BGMにしても各場面の雰囲気を大きく崩すメロディーはなかった。また、最初のうちは判別しづらかったキャラのデザインも区別出来るようになる頃にはそこはかとない愛着が沸いてきた。『声優について』
登場する5人のヒロインのうち普通に聴いてて違和感がなかったのは静流だけだった。たるたるとつばめは合格ラインギリギリ、巴は今一つ物足りない、そして希(望、希望含めて)と鷹乃はもっと頑張らないと厳しいといった感じだった。『結論』
過剰に期待しなければそれなりに楽しめると思う。基本的にはギャルゲーのお約束を踏襲しているのでそれを踏まえた上で、あとはキャラのデザインが気に入れば、やってみる価値はあると思う。タイトル | 発売元 | 発売年度 |
メモリーズオフ セカンド | キッド | 2001年 |
タイトル | 対応機種 | 発売元 | 発売年度 |
君が望む永遠 | win95、98、2000、me | アージュ | 2001年 |