メモリーズオフ セカンド
2001年10月28日作成
最終更新日 2001年12月9日


『きっかけ』

 格別に評判が良かったわけではないんだけど、なんだか気になる内容だったのので、思わず購入してしまった。

『序盤について』

 単なる恋愛ものではない独特の雰囲気を持ったシナリオは思ったよりいい感じだった。ヒロインの個性にしても気持ちを間接的にぶつけてくる感覚が意外と良く、後になって思い返すと大事な台詞というものが多かった。特に南つばめの台詞には「君が望む永遠」の香月モトコと同じくらいの重みを感じた。そんなこんなで気になる台詞が多く、気がつくと先の展開が気になりだしていた。


【キャラ別感想】

白河ほたる(以下たるたる)

 たるたるに好かれるような選択をしたはずなのに2人の距離は広がっていくというどうにももどかしい展開が続いた。それが終盤になってようやく本当の気持ち(?)に主人公が気づくことで急速に2人の距離は縮まり、ついにはめでたく恋人同士になってエンディングを迎えた。

『不器用な優しさに惹かれる』

 たるたるシナリオをやってる間はずっともやもやとした感じがこびりついたままだった。その原因が分からないうちは棚上げにしておいたんだけど、終盤になってその理由が判明してからは彼女のことが愛おしく思えてきた。不器用ながらも懸命に気遣おうとしていることが理解できたことでたるたるに対する好感度はじわじわと上昇していった。
 終盤になって急に主人公の心境が変化するところはちょっと強引で納得いかないけど、その分たるたるの可愛らしさが帳消しにしてくれたような気がする。


白河静流(以下静流)

 たるたると同様に途中までは静流と結ばれるとは到底思えない展開だった。そのため彼女との仲が深まるまでの過程はどう見ても強引という感じだった。だけど、ひたすら想いを隠そうとしていることが分かってからはそんなことはどうでもいいと思えるようになった。

『とかくいい人は幸せになれないと言われる』

 好きだという気持ちを必死で押し殺そうとする様子が痛いほど伝わってきた。立場上好意を寄せてはいけないのに気持ちとは裏腹にどんどん惹かれていく。そんな恋の悩みで苦しむ静流の姿は見ていていたたまれなくなった。さらに、ピアノの才能で妹でもあるたるたるに負けて嫉妬心に駆られるエピソードに至ってはさめざめとした気持ちになってしまった。
 いい人という人種はとかく幸せになれないと言われている。他人のことばかり気を使ってばかりで自分からわがままを言おうとしないから、いつも損な役回りになってしまう。終盤での静流の態度なんかその典型的なものではないだろうか。特にバッドエンドでは自分よりも相手の幸せを優先した結果、逃げるように去っていってしまうという最悪な結末を迎えてしまう。あまりに惨すぎる気がするけど、静流の特徴を最大限引き出したシナリオだったと思う。


南つばめ(以下つばめ)

 風のような存在といえばいいだろうか。どこかつかみ所のない言動で煙に巻いてしまうミステリアスな女性という感じだった。また、つばめは先生ということもあって授業などで語られる台詞にはこれからを生きていく上でいろいろと考えさせられることが多かった。

『本編よりもむしろ……』

 さて、話の方はというと飄々とした彼女の性格をそのまま表した展開だった。突然恋する乙女のような性格に変わってしまうことがあるのはご愛敬としても、つばめの魅力というか存在感を十二分に発揮したシナリオだった。
 ただ、個人的には親友である中森翔太(以下翔太)失踪事件が強く印象に残っている。特にバッドエンドで語られる翔太の心境を見ていたら、むしろこちらの方がメインではないかと思えるくらい内容が充実していた。
 事の詳細はつばめと翔太にとって(いろんな意味で)最後となる手紙によって説明されるんだけど、これがまたじわじわと悲しくなるような文面だった。手紙はつばめと翔太、それぞれ別個に用意されているんだけど、自分的には翔太の手紙に心をより強く揺り動かされた。
 つばめに対する一途な想いがあまりに強すぎた為にそれが叶わないと分かった瞬間、全ての希望が瓦解してしまったのだろう。最後に唯一残された希望も捨ててしまうんだけど、果たしてそうすることがいいのかどうかは今でも分からない。けれど、そこまで思い詰めていたらそういう選択もやむを得ないかな、という気持ちもある。
 こうして運命の悪戯で引き裂かれた2人は寂しくこの世を去ってしまうんだけど、その説明を間接的な表現でぼかすことで悲しみを軽減してくれたことがせめてもの救いではないかと思う。


相摩希(以下希)

 解離性同一性障害という単語が出てきた時点では精神系の話になるものだとばかり思っていた。実際は双子による心の葛藤っぽいことが描かれていたんだけど、舌足らずな説明だったせいで今一つ楽しめなかった。
 いろんなことを伝えようとはしていたが、欲張りすぎが徒となって心に響くものは何一つなかった。3種類あるエンディングにしても、あれこれとうわべの事実をなぞらえるのではなく、相摩姉妹に去来する複雑な心境を手紙にするなどして語ってほしかった。

『強引さばかりが目につく希望エンド』

 唐突に主人公を妄想の世界に浸らせてしまう希望エンドにはかなりの強引さを感じた。そこで描かれていることもこれまでのことを一切否定するご都合主義に満ちあふれる話をダラダラと書き散らしたまま、それらの疑問に何一つ答えることなく終るというとんでもないものだった。
 別にファンタジーにしてしまうことが悪いわけではないが、これまでそういう雰囲気を微塵も感じさせなかったにも関わらず、急に夢オチにすり替えて今までの出来事を覆してしまうのは如何なものかと思う。ただでさえ多くの要素を詰め込みすぎて要領を得ないのに、そこへさらなる爆弾を投下したことで物語は完全に崩壊してしまったといっても過言ではない。


飛世巴(以下「とと」)

 「とと」と友達としてつき合うようになるまでの過程はちょっと無理があるかなと思った。けれど、一旦親しい間柄になってからは彼女の魅力が垣間見られるシナリオに心地のいい気分でゲームを進められた。

『好感の持てるヒロイン』

 物怖じせずにはっきりと口に出す一方でわざと相手を怒らせるような態度をとって身を引いてしまう不器用な一面があるところには人間味を感じさせる。また、主人公とジョーダン混じりに軽口を叩き合う中にも相手の気持ちを思いやって言葉を選んでいることが分かる会話の応酬もなかなか良かった。
 総じて「とと」にはこれといって突出した長所というものは無いんだけど、このゲームに登場するヒロインの中では最もバランスの取れた好感の持てるキャラではないかと思う。

『エンディングについて』

 二つのエンドを見比べると(バッドエンドはこの際無視)トゥルーエンドよりノーマルエンドの方が収まりが良かったように思う。男にとってちょっと都合良すぎるのように聞こえなくもないが、「とと」とたるたる双方の気持ちが救われたことを考えれば、ノーマルエンドの方が事実上のトゥルーだったのではないかと思えてならない。
 そこへいくとトゥルーエンドは「とと」の幸せのために多大な犠牲をたるたるが全て被ってしまうというあまりに不憫な話だった。確かに何もかも失ったと思いこんだたるたるが2人を恨んで自暴自棄になってしまう気持ちは分かる。とはいっても心優しい彼女の性格を考えるとあそこまで常軌を逸して激昂するところなんて正直見たくなかった。


寿々奈鷹乃(以下鷹乃)

 希の時ほど話が散乱していた訳ではないけど、鷹乃シナリオもちょっと説明不足な感じが見受けられた。原因はヒロインとしての魅力や鷹乃の胸の内というものが今一歩描き切れてないことにある。せめて鷹乃が男嫌いになってしまった原因をもう少し深く追求していたら彼女に対する印象も良くなっていたかもしれない。


【一通り終えて】

『システムについて』

 ノベルタイプのアドベンチャーゲームとして必要な機能は一通り揃っている。中でも嬉しかったのは既読の履歴をテキスト形式で読み返せるだけでなく音声も個別に再生してくれることだ。それは有り難いんだけど、ここまでするのであれば誰の声を再生したのか分かるようにしてほしかった。

『演出について』

 飛び抜けて凄いと思うことはなかったものの、グラフィックは丁寧に塗られていたし、BGMにしても各場面の雰囲気を大きく崩すメロディーはなかった。また、最初のうちは判別しづらかったキャラのデザインも区別出来るようになる頃にはそこはかとない愛着が沸いてきた。

『声優について』

 登場する5人のヒロインのうち普通に聴いてて違和感がなかったのは静流だけだった。たるたるとつばめは合格ラインギリギリ、巴は今一つ物足りない、そして希(望、希望含めて)と鷹乃はもっと頑張らないと厳しいといった感じだった。

『結論』

 過剰に期待しなければそれなりに楽しめると思う。基本的にはギャルゲーのお約束を踏襲しているのでそれを踏まえた上で、あとはキャラのデザインが気に入れば、やってみる価値はあると思う。


【今回プレイしたゲーム】
タイトル発売元 発売年度
メモリーズオフ セカンドキッド 2001年


【参考資料】
『ゲーム』
タイトル対応機種 発売元発売年度
君が望む永遠win95、98、2000、me アージュ2001年