Love Letter
2002年2月11日作成
最終更新日 2001年3月3日


『きっかけ』

 とあるBBSで「螺旋回廊1」を思わせるおぞましい狂気の世界が見られるという噂を小耳に挟み、もしやと思って衝動買いしてしまった。


『序盤について』

 一枚の手紙によって引き起こされる狂気の世界。ゲームが始まって数日と経ってないんだけど、すでにやばげな空気をプンプン匂わせつつある。一体誰が何の目的でこのような狂ったことをしたのだろう。
 最初こそごくありふれたキャラ紹介でたいしたことないんだけど、事件が深刻化するにつれて恐怖が伝わるにつれて、怖いもの見たさとしての興味が少しずつ沸いてきた。

『主人公シナリオについて』

 なんといっても人体実験で執行される魔女狩り裁判真っ青の拷問の数々には参らされた。あまりにも惨たらしい残酷さにクリックする手が止まりしばらく放心状態になることがしばしばあった。どれもこれも絶対に体験したくないものばかりだが、中でも究極の耐久実験やメリーゴーランドなんかは二度と見たくはないと思うほどのおぞましい光景だった。
 それにしにても、人はどうしてここまで残忍になれるものなのだろうか。現段階では理由が分からないので何ともいえないけど、たとえその訳があったとしても、人の身体をまるでおもちゃのごとく扱う犯人の気が知れない。
 では、肝心の事件の方はというと、なかなか真相が掴めずに「どういうことなんだ」ということだらけだった。登場する人物にしても謎めいた怪しい雰囲気を醸し出すことで事件の不気味さをより強固なものにしている。もちろん、主な舞台でもある病院にしても曰く付きの地下室といういかにも胡散臭い場所の存在がさらなる不気味さを演出している。
 おそらく次のシナリオから真相が明らかにされていくのだろうけど、見たいような見たくないような、そんな複雑な心境にはなった。

『瑞穂シナリオについて』

 まだ完全に真相が掴めた訳ではないんだけど、主人公視点では分からかった事実が判明することで人物同士の因果関係が見えてくる面白さはそれなりに感じた。
 しかし、バッドエンドを見る限り、本当にあの人が真犯人なのかという疑問が浮かんだ。なんだか物理的に不可能っぽい気もしたのだけど、もし、違うのなら納得のいく説明を是非ともしてもらいたい。
 あと、視点が変わることで迫り来る死の恐怖に怯える女性達の心境が見られるものだとばかり思っていただけに、それがないことに拍子抜けしてしまった。

『それ以外のシナリオについて』

 なんか、今一つ釈然としないまま終わってしまった感は拭えない。一応真犯人や事件を起こす原因も当事者によって明らかにされるんだけど、今一つ説得力に欠ける嫌いがあったように思えてならない。
 確かに情状酌量の余地があることは認める。だからといって主人公シナリオに見られる残忍で残虐な拷問(本人に自覚があるかどうかはこの際おいといて)を平気でする理由にはならないと思う。それに「やよいが元の綺麗な身体に戻ればみんな幸せになる」という理屈を犯人が述べるのだが、自分には理解不能だった。すでに死んだ人間の身体を皮膚移植で生前と変わらぬ状態にしたからといってなんになるというのだ。生き返らせられるというのであればまだ話は分かるけど、表面的な部分を取り繕ったところで、単なる死体愛好家だと気味悪がられるのが関の山であろう。
 にしても、皮肉な運命によって積み重なった勘違いが原因で多くの女性が血祭りに上げられたのかと思うと悔やんでも悔やみきれない。結局犯人による一方的な思いこみによって憎悪が膨れ上がった結果、周囲の視野は狭まり、正常な思考が出来なくなったということになる。なんとなく分からないでもないんだけど、それでもやはり、人知を越えた苦痛を虐げられる女性達を考慮すると、勘違いで済ましてほしくなかった。
 こちらとして期待していた犯行理由は拷問された女性達によって想像を絶する痛みなり裏切りを長年に渡って受け続けるくらいの壮絶な人生を送らせらたことへの復讐だった。そう勝手に思い込んでいただけに、蓋を開けてみると、そこまで酷いことをするのはどうかと首を傾げてしまう理由だったことにガッカリした。


【一通り終えて】
『シナリオについて』

 結局、真相がどうのというよりも人体実験と称する拷問のインパクトがあまりにも強すぎたせいで、それ以外の部分はものの見事に霞んでしまった。あれだけ強烈な印象を前半のうちに植え付けられてしまった上に、拷問以前以降のシナリオにユーザーを引きつける魅力がないとなれば、何をいわんやである。
 どうせシナリオで説得力をだせないのであれば、いっそのこと拷問シーンだけにしぼってそれこそ誰もが恐れ戦くような地獄絵巻を描いた方が、って考えただけでも寒気がしてきた。なんにせよ、何事も欲張らない方がいいということを証明した一つの例にはなったと思う。

「視点切り替えについて」

 多少リンクしている部分はあるものの、シナリオに反映されていることはほとんどなかった。これだったらわざわざ視点を変える必要はなかったと思う。個人的には主人公がビデオで陵辱、拷問されているのを見るしかなかった時、現場の女性はどんな心境で苦痛を受けていたのかが知りたかった。しかし、そういうものは一切なく、ただ別の視点から別の可能性を示すシナリオを垂れ流すという期待はずれな内容だった。
 視点切り替えといえば、瑞穂と同じくらいシナリオに絡んでくる佐久間綾の視点も見たかった。シナリオによっては犯人に焚き付けられた(と思われる)綾が親友である瑞穂を誘拐監禁することもあるのだが、そのことが詳細に語られることがなかっただけに、その辺りも含めて是非とも見せてほしかった。

『システムについて』

 読み返しやスキップに既読判定がないなど、かなり不親切な部分があるものの、動作環境はそれなりに安定していたと思う。もっとも作品の内容を考えると読み返しに関してはむしろ無くて正解だったかもしれない。あんなにも無情な台詞の数々をわざわざ繰り返し見直す人なんていないと思うからだ。
 あと、音声設定で声と効果音が一緒なのも痛かった。声優のレベルが押し並べて高いのならいざ知らず、お世辞にも上手ではないので、結構困ってしまった。こんなことなら最初から声なんて無ければよかった。

『声優について』

 ましだったのは瑞穂と綾くらいで、あとは軒並み上手いとは言いがたい演技だった。特にまなみの甘ったるい声はこの世のものとは思えないほどの酷さに閉口させられた。

『結論』

 余程残酷なシーンに見慣れていなければ前半で訪れる身の毛のよだつ展開は見るに耐えないと思う。とはいえ、見せ場(といっていいのだろうか)はそれだけで、被害者の心理描写は弱いし、シナリオにしても大雑把な印象を受けた。もっと細かい部分に気を配らないととてもじゃないが、「螺旋回廊1(未プレイ)」はおろか「螺旋回廊2」にすら追いつけないと思う。


【今回プレイしたゲーム】
タイトル対応機種 発売元発売年度
Love Letterwin95、98、2000、Me 美遊2002年