電撃王2002年度版
2002年1月12日作成
最終更新日 2002年10月27日


【2・3月合併号】

 月刊誌では珍しい合併号ということもさることながら、発刊日をX−boxと同じ22日に変更するという前代未聞の戦略に少なからず驚かされた。特集でもX−boxを大々的に取り上げているので一見するとX−boxに肩入れしているように思われる。しかし、表紙に「意外といいかも、X−box!!」との見出しを見る限り、メディアワークスもなかなか食えない奴だなと、ある意味感心してしまった。表向きはマイクロソフトになびいているいるけど、心の底ではセガのことを崇拝していることを改めて思った。
 それ以上に次号の予告でX−boxの特集を80ページもやるということに驚愕した。今号の総ページ数は約150、ということは半分以上もの紙面を割いて紹介するというのか。まあ、おそらくはマイクロソフトがあれやこれやと根回しをしたのだろう。来月にはX−boxのCMを大量投下するなど数々の戦略に出ると言われている。なんにせよ、これだけ大々的な扱いを勝ち取ったハードがはたしてどのくらい日本で浸透するのかどうか非常に楽しみである。


【4月号】

 先月の予告通りXboxの大特集を紙面全体のほぼ半分に渡って紹介するという暴挙を本当に実行していた。

『セガ魂は未だ健在』

 Xbox専用ソフトのレビューで盛んにJSRF(なんの略かは面倒なのでパス)をお勧めしているとろこなんか見てると、セガスピリッツは永遠に不滅という感じがした。ただ、レビュアーの感想を読めば読むほど今のところは「マニア向けのソフトしかないんだな」ということを痛切に思った。多少誇張して誉めているのはいいとしても、やはり、各ソフトの長所というのがグラフィックにばかり集中して、肝心のゲーム内容で特筆すべきものが無かったように見受けられた。
 これだったら、たとえグラフィックが他より劣っていてもアイデアの優れた「動物番長」や一年中楽しめるギミックを盛り込んだ「動物の森+」の方が一般ユーザーにとっては嬉しいような気がする。

『確かに専用コントローラはでかかった』

 そうそう、Xboxは本体がでかいことで有名だけど、カプコンの「鉄騎(仮)」はそれを上回る馬鹿でかい専用コントローラーだった。大きさにしてXbox3台分というのだが、はっきりいってこんなデカ物日本の狭い住環境ではプレイはおろか、置く場所すらままならないだろう。おそらくは海外、それもアメリカ市場で儲けることを念頭に置いているからだと思われる。
 もちろん、これが最終仕様ではないだろうし、日本向けはもっとコンパクトになる可能性はある。そうすると今回の発表はより多くのユーザーに記憶してもらうためのデモンストレーションということなのだろう。それはいいんだけど、コントローラの大きさばかりが話題になって、肝心のソフトの方は影に隠れてしまったような気がしないでもない。

『ちょっと残念な変更があった売上チャート』

 発売日が22日になったことによってより最新の月間ランキングが掲載されるようになったのは嬉しいが、反面、週間ランキングを含む数々のランキングがバッサリと切り捨てられてしまう残念な変更もあった。個人的には週間ランキングを楽しみにしていただけに、せめてこれだけは復活させてほしい。

『立ち上がりはまずまず』

 雑誌とは関係ないんだけど、Xboxの売上データについてちょっと書こうと思う。
 発売後1週間くらいのヤフーデイリーチャートの推移を見ると、発売日こそ「デッド オア アライブ3(以下DO3)」がトップに立つものの、数日後には「動物番長」やPS2ソフトにあっさり抜かれ、他のソフトはほとんど圏外に消えてしまう。その後は「DO3」がなんとか粘って翌週まで上位をキープした。これと電撃オンラインの初動売上を見る限り、新参入のハード立ち上げはまずまずの滑り出しだと思う。後はハードの普及を引き上げるキラーソフト、もしくはネットゲームにおけるキラーコンテンツを如何に早く揃えられるかが課題となるだろう。


【5月号】

 前々からネットゲームは事あるごとに特集していたが、これまでと違うのはPS2によるネットワークゲームの詳細と展望を扱っていることだ。そうしてパラパラとページを捲っていると、ネットの波をイメージしたと思われる謎の模様にそろそろやりませんか、というようなキャッチを意味もなく見開きでやるなんてところは相変わらずだなと苦笑いしてしまった。
 それはともかく、ネットゲームという「電撃王」的には得意のジャンルということもあって多くのページを割いているのはいいんだけど、一通り見て(きちんと読んだ訳ではない)限り「本当に始めてしまうの?」というような印象を受けた。一番の売りでありメインコンテンツとなるであろう「FFXI」は「ファイナルファンタジー」の続編というだけで有る程度売れるのだろうが、それ以外は未だ砂上の楼閣という状態で本当にリリースされるのか甚だ怪しい。こうして眺めていると他のハードメーカーに先んじたいが為にたとえ見切り発車でも急いで作らせたのではと、邪推してしまう。
 それはともかく、家庭用ネットゲームに徳川埋蔵金クラスの金脈が眠っているのかどうかは「FFXI」が発売されてどのような反響が出るかに掛かっているかと思うと今からちょっと楽しみではある。

『今月のランキング』

 先月はシンプル極まりないものだったが、今月は完全にではないが、以前の形に戻っていていて少し安心した。中でも月毎のソフト、ハードの売上グラフが復活したのは非常に嬉しい。なんだかんだいっても市場の動向は気になるのでこれからも続けていってほしい。そして、もう一つ、装いを新たにして戻ってきた週間ランキングなんだけど、一週分だけだったら他の週刊誌、もしくはネットで掲載されているものを見れば済むことなので、現状では必然性が全く感じられない。


【6月号】
『ネットゲーム最高』

 「ファイナルファンタジーXI」を題材にネットゲームがいかに素晴らしいのかをそれこそ目を輝かせんばかりに力説していた。それはそれで凄いなあと思う一方、ここまで諸手を挙げて誉め祖さす記事を見てしまうと逆に不安になってしまう。どのライターも異口同音に賛辞の言葉ばかりというのはどうなんだろう。実際のところ文句のつけようのない内容なんだろうけど、紹介するメーカーは愛すべきセガと競合するライバル会社なだけに、もう少し毒のある意見があった方がより「電撃王」らしかったように思う。

『新コーナー』

 Xboxに続いてワンダースワンか、マイナー機種を応援するところは「電撃王」らしいといえばそれまでか。何を扱おうが別に構わないけど、ワンダースワンの発売予定表を見てしまうと、今後も継続して情報を提供し続けられるのか一抹の不安は残る。

『ランキング』

 先月に指摘した先取りランキングはやっぱりといった感じで早々に取りやめになった。月刊誌という特性を考えれば今の形で続けることがベターではないかと思う。


【7月号】
『取り上げざるを得なかったサッカーゲーム特集』

 はっきりとそう書いてる訳ではないんだけど、おそらく胸の内では「別にやりたくてやった訳ではない」と思っていたに違いない。別にサッカーが嫌いというところまではいかないまでも、全体的に「それほど興味はないよ」という感じは漂っていた。まあ「ウィニングイレブン」シリーズが売れてるし、今年は日本と韓国でワールドカップが開催されるし、仕方がねえから特集組むか、くらいの気持ちだったのだろう。
 とはいえ、他に大きく取り上げる記事がなかった(各ハードが値下げをアナウンスするものの、雑誌の発売直前だった)ことも大きく起因している。実際のところ、サッカーゲームをクローズアップしてなかったら実に寂しい内容だったかもしれない。
 このところは一つのテーマを題材にページを構成する傾向があるだけに、来月以降もこのような特集記事を盛り込むのかどうかちょっと見物である。


【8月号】
『ガンダムについて考える』

 ライターに強力なガンダマーがいることを考えると、今回の特集は電撃王の得意ジャンルの一つといって差し支え無さそうだ。そうして記事を見ているとファーストガンダムの登場はいろんな意味で衝撃的だったようだ。その証拠にファーストガンダムを題材にしたゲームの新作が出れば常に一定以上の売上を達成してきている。こうした現状を鑑みると、いつ特集されてもおかしくない素材ではあったと思う。

『今更気になること』

 2002年も半分以上過ぎてふと去年の年間ランキングを今年はやらなかったことを思い出した。記憶が間違ってなければ、ここ数年は年間ランキングを隔年で掲載している。何か意図するものがあるのか、それとも偶然なのかは知りようもないのだけど、出来ることならどんなに遅くなってもいいから載せてくれると有り難い。他の雑誌だとファミ通が700号記念で過去の年間ランキングを全て掲載するなんて粋な計らいをしていたが、こういう形でもいいからいつの日か実現してくれたらいいのになと思う。


【9月号】
『スーパーマリオサンシャイン特集』

 表紙にはデカデカとこのゲーム文字が踊っているし、まがりなりにも巻頭特集ということでかなりのページも割いている。しかし、そこは曲者「電撃王」であるから特集の直前にセガの情報を入れたり、単体の攻略では「FFXI」の方がページ数が多かったりと、随所にらしさが見られた。
 ひねくれているという意味では「FFXI」をコラム等で大プッシュしている点も見逃せない。かつて特大の大ヒットで世間を騒がせた「FFZ、[」や「ドラクエZ」では散々貶し、ソフトの売上のみで判断するのは早計とはいえ、PS以降のシリーズ売上の10分の1にも満たない厳しい出足となった「FFXI」のことはそれこそ気持ち悪いほど褒めそやす。ともすれば、マイナーなものに関しては賞賛し、メジャーになった途端に貶しだすという天の邪鬼ということになるのだが、敢えて時代の流行には振り向かずに我が道を進もうとする「電撃王」の姿勢は天晴れである。


【10月号】
『美少女キャラゲー&FFXI特集』

 ゲーム自体の人気がなだらかに下降しつつある現状を考えるとこうしたマニアックな特集を組むのも致し方がないところか。しかし、ネットゲームの将来性は未知数ながらあるし、美少女ゲーにしてもここ数年で一大勢力となったシナリオ重視の作品を筆頭にPC版の移植やアニメ等の原作を元にゲーム化した作品が一定の市場を獲得しているのは事実だ。
 いずれにせよ、爆発的な成長は望めないかもしれないが、今後も地道にファンを増やしていけば、ひょっとしたらひょっとするなんてことがあるかもしれない。

「進化するCG」

 グラビア扱いするだけあって「DEAD OR ALIVE エクストリーム ビーチバレー」のCGは相当なレベルにまで到達していた。これで表情が豊かになったらそれこそ実在するアイドルなんかいらなくなるのではないかと思ってしまう。これだけのクォリティーをもってすれば、日本はともかく、海外ではまたもやスマッシュヒットしてしまいそうだ。


【11月号】
『PS2「すんげー」10本』

 メディアワークス関連の雑誌が協力してなんとか盛り立てようとしていることは判るのだが、肝心のソフトの方はというと微妙な感じがするし、中には「すげー」という程ではないようなものもあった。
 それでも年々売上が減少していく現状を見るとこういう企画で業界を盛り立てていこうという気持ちは判る。ただ、次号の予告も同じ企画が続くことを考えると一つのテーマで深く掘り下げていけるようなネタが尽きてしまったのかもしれない。この状態が来年も続くようだと、今のスタイルのままでは月刊誌として発売していくことは難しいような気がする。


【12月号】
『とりあえず最終号』

 『電撃王』名義の雑誌としては今回で最終号となった。といっても、これでお終いというのではなく、次号からは『デンゲキゲームズ』として生まれ変わるらしい。予告を見るとCD−ROMの付属やマニア狙い打ちの読者全員サービスといった販売促進企画が目立つものの、基本的なコンセプトはどうやらそのまま継続されるようだ。
 その中で気になるのは、その月に発売される家庭用からパソコンまで全てのタイトルを紹介すると謳っているところだ。全てのタイトルとは一体どこまでのことを指すのだろう。かつては美少女ゲームという区分けで18禁のソフトも紹介していたが、それも含まれているのだろうか。いずれにせよ、個人的に考えているイメージからかけ離れない限りは、今後も購入を続けていくつもりである。