『きっかけ』
『第一印象』
序盤でいきなり女子生徒が襲われるシーンがあるものの、基本的にはどうってことのない学園生活という感じだと思った。そうしたら得体の知れない気味の悪さで背筋がゾクゾクするような曲が掛かって総毛立った。それまでは比較的穏やかな曲調が続いていただけに、いきなり襲ってきたことに面食らってしまった。この時校長がモニター越しに事件について説明してるんだけど、そこに浮かび上がる謎のメッセージも意味深だった。文面の意味もさることながら、こんなことを誰がなんの目的で行ったのか、それが分からないので、余計気になってしまう。「恐るべき噂話」
益々深刻な事態になっても尚事件を隠そうとする校長のことや被害者の女子生徒の素行の悪さであることないことを話すところなんかは、本当に事件があったら言いそうなことばかりだった。『前半(エンド1〜5)について』
ヒロインやその他女子生徒が襲われた時の迫真の描写や事件が発生してからの緊迫した様子に比べると恋愛要素はおまけという感じがした。どのヒロインも魅力に乏しいし、互いが惹かれあって結ばれるまでの過程もおざなりだなあと思った。事件を解くヒントにしても多少は出てくるものの、これといって進展するようなことはなかった。『シナリオの仕組み』
とはいえシナリオを順番通りに進めていくに従って少しずつ事件のヒントを提示させていく手法は間違ってないと思う。初めは事件についてほとんど何も知らされず(エンド1〜5)、それから徐々に真相の核心に触れていき(エンド6〜9)、最後に全ての謎が解き明かされる(トゥルーエンド)という展開は非常に好みではある。『驚愕のトゥルーエンド』
真実を知ったとしても必ずしも幸せになるとは限らないということをまざまざと見せつける結末だった。主人公にしてみれば「こんなことなら真実なんて知らなければ良かった」と内心後悔していることだろう。それだけでも充分驚愕に値するのだが、スタッフロール後の長いエピローグで語られる事の真相にはこれまで以上の凄まじい破壊力を感じた。「欠けた月、満ちた月」
月はこのゲームのサブタイトルや各エンディングの名称で使われている。ゲームをやっているうちに月とは人の心とか気持ちを表していることが分かるようになる。おそらく、エンディングを迎えた時点で主人公、もしくは彼と関わりのある人間の心がどのくらい満たされているのかということを月の満ち欠けで表現したのだろう。「ふと思ったこと」
トゥルーエンドに於いて明らかになる真犯人の異常な部分はどこか「雫」と似ているなと思った。「雫」とはちょっと違う電波(ひょっとして後催眠暗示?)で人の心を操ろうとしていたところや真犯人にとって掛け替えのない人への歪んだな愛情表現なんかも相通じるところがある。『システムについて』
いたってシンプルならもノベルタイプのゲームに必要なものは大方揃っている。しかし、読み返しの量やセーブできる数は少な過ぎるし、スキップに既読未読の判定がないのはかなり戴けない。『終わりに』
全体的に見ると荒削りな部分が目立つんだけど、随所にハッとさせられるようなことがあったのも事実だ。特に事件の全貌が明らかになっていくトゥルーエンド後のエピローグで描かれる衝撃の展開は必見で、この部分を体験する為だけでも試しみる価値は十二分にあると思う。タイトル | 対応機種 | 発売元 | 発売年度 |
Blow 〜満ちた月、欠けた月〜 |
win95、98 | ロック クライマー | 不明 |
タイトル | 対応機種 | 発売元 | 発売年度 |
ポートレイト | win95、98、2000 | テスラ | 2000年 |
雫 | win95 | リーフ | 不明 |