朱 [-Aka-]
2003年6月13日作成
最終更新日 2003年7月10日

第一章 アラミス  第二章 チュチュ  第三章 ファウ
朱 [-Aka-]/第四章 ルタ  ○○○、エピローグ  一通り終えて

『はじめに』

 過去のねこねこソフトは「ねこねこファンディスク」以外はいずれもプレミアがついてしまっていて簡単に手を出せる値段ではない。そのことを踏まえ、今回は予め予約することで確実に手に入れようと決めた。あと、噂のねこ缶というものも実際この目で確かめてみたかったということも購入の動機になっていたと思う。
 それと、今回から修正差分ファイルを当てたかどうかを予め書いておこうと思っている。ちなみに今回はすでにねこねこソフトのホームページでアップされている修正ファイルを当てた状態(バージョン1.11)で始めている。



一章 アラミス

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 ヒロインであるアラミスの声が出ない時はなにか不具合でもあったのかと思ったが、調べてみると初回プレイでは彼女だけ出ない仕様になっているとのことで、ひとまず安心した。
 それはともかく、1章を終えてみての感想は「本能的に切なくなるシナリオ」だった。世界観は同社の「銀色」(完全版含む)にファンタジー色を強めた感じで、シナリオにしても前半における淡々とした描写の繰り返しもそれを彷彿させる。そうした変わらぬ日々の中で少しずつ語られていくキャラの心情、そこから徐々に過去の出来事が重なっていくことで「どうしてだから判らないのに、なんだか切なくなってしまう」気持ちにさせられた。
 それにしても、どうしてそんな感情になってしまうのだろうか。そもそも、眷属とは守護者とはなんなのか、現段階では判らない要素だらけである。にも拘らずなんだか続きが気になってしまうのは、シナリオの背景に何かしらの意図を感じたからだと思う。



二章 チュチュ

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 これといった大きな見せ場のないまま、なんとなく終わってしまった。こんなことなら1章と同じパターンでいいから「思い通りにならない恋の行く末」というものを際立たせてほしかった。ヒロインチュチュの設定というのもシナリオ同様になんだか中途半端な感じがした。多少はポンコツなところもあって主人公を困らせることはあるけど、それは多少でしかなく、常に見守ってないと心配でしょうがないというほどではない。なんにせよ、どっちつかずの設定にしてしまうと面白さというものは半減してしまうことを認識させてもらった。
 ただ、二人の関係を危うくする要素を隠す主人公の複雑な胸中には割と考えさせられることがあっただけに、そういう気持ちと回想シーンをもっと早い段階からうまい具合にちらつかせていたら、二章でもある種の感動を得られていたかも知れない。



三章 ファウ

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 序盤に関しては二章よりマシという程度だったものの、大切な何かを伝えようとするあの人が登場してからは、いろいろと考えさせられることがあった。人生で何度か訪れるであろう選択肢、中には選ばなければその機会は二度と訪れないような場合もあるだろう。そういう状況下でヒロインファウが思い悩むところはそれなりに共感した。ただ、それ以上に惹きつける魅力というものが見つからなかったのは残念でならない。それと、ファウとウェズの日常で綴られる序盤は単調ではないのだけど、どうせなら旅の様子と同様に余計な会話は端折り、彼女の魅力は要所でさり気なく描く程度にしていたら違った印象を受けていたかもしれない。



朱 [-Aka-]/第4章 ルタ

(100724day/1day)
 二つの章で共通していることは、人の幸せの定義を哲学っぽく考えてみようということだった。これまでに培ってきた記憶や常識を信じてそのまま前進していけばいいのか、それとも全てのことを忘れてゼロからやり直せばいいのか、どちらがより幸せなのだろうかと問いかけられているような感じだった。旅の道中で様々な悲劇を目の当たりにさせるのもその為かもしれない。「幸せとはなんだろう。世の中を良くするにはどうすればいいのだろう」そうした生きていく上で大事なことを何気ないエピソードを交えて静かに訴えかけてきているように思った。
 シナリオに関しては、朱も悪くはないが、それ以上に四章が読み物として趣向を凝らしていることが充分伺える素晴らしい内容だった。ヒロインラッテの魅力は過不足なく引き出せていたし、大事な場面に絞ってテンポ良く展開していくシナリオにも満足している。



 これより以降、伏字にした部分は必ずしも正確な文字数とは限らないことを予め断っておきたい。それでも、判る人にはピンときてしまうだろう。

○○○

(101049day)
 三章の後半にあの人が登場してきた時点で“もしや”と思っていたが、この章のサブタイで推測は確信に変わった。確かに、普通では考えられない人生をあの人は歩んできていて、それはこれからも不変のはずである。だからこそ、そのどこか達観したような物言いというものに、いろいろと感慨深いものを感じてしまった。
 そして、クライマックスでラッテの身に起こった出来事には遣る瀬無い気持ちで一杯になってしまった。これまで正しいと信じてやってきたことが全否定されてしまう事実を突きつけられ、呆然としまうラッテの気持ちは如何程のものであったろう。さらに追い討ちを掛けるように、ルタの願いでもあった最後の希望だったはずのことですら、実は間違っていたと思い知らされてしまおうものなら、ラッテでなくても絶望の淵に突き落とされてしまうに違いない。せっかく明るい未来の為に長年に渡って苦労してきたというのに、いとも簡単に跡形もなく崩れ去り、残ったのは激しい後悔だけという辛く悲しい現実に、ただただ涙を流すしかなかった。

エピローグ

(?day)
 結局のところ、○○○の後日談プラス昔話が語られるだけで、多くの謎が解明されるということはなかったし、気になるラッテのその後も、いつの間にかあの人と共になんだか和んでいたという、ほとんどおまけとしか思えないようなエピソードに拍子抜けしてしまった。



【一通り終えて】
『シナリオについて』

 一つの物語として真面目に見ようとすると、どうしても無理があるというか、何一つ結論に至ってない半端なストーリーということになってしまう。しかし、そうした事象をあくまでも象徴的なものとして捉えると、いろいろと考えさせられるシナリオではないかと思った。自分も正解のない問いかけにああでもないこうでもないと熟慮することがあるだけに、そのことで落ち込んだり悩んだりするラッテの気持ちが伝わってくるところには大いに感動した。
 そういう点では一章も同じようなことを伝えようとしていたようだ。ただ、朱、第四章、○○○と違って、それが何なのかというのがちょっと抽象的過ぎたせいで、理解しづらくなってしまったのが惜しまれる。それと、二章全部及び一章における旅の様子と三章の序盤におけるファウの日常は無駄な会話ばかりで退屈させらたのも事実で、特に旅の描写は同じ表現を延々と繰り返すものだから何度も寝てしまうそうになった。旅の道中における苦労を描きたいのであれば、もう少しユーザーを飽きさせない工夫を凝らすべきだし、旅そのものを実感させたいだけなら朱や三、四章、○○○のように要点を抑える程度で十分である。次回作があるならば、最も伝えたい部分というものを重視してもらって、平凡な日常では読みやすさを優先して軽めにするというような配慮を徹底させたシナリオになっていることを切に願う。

『システムについて』

 メニュー画面は最低限必要な各種設定のみがいじれるという至ってシンプルな設計は相変わらずで、これは別に悪くない。ただ、映画を意識したメッセージの2行表示で文字が相変わらず小さなフォントのみというのは戴けない。いくら難しい漢字の使用頻度が減ろうとも、細かすぎて読みにくいことには変わりがない。

『演出について』

 時折挿入される日差しや一部で瞬きするアニメーションが多少目新しいところか。CGにしろBGMにしろ全般的に好感の持てる丁寧な仕上がりになっている。あと、ねこねこソフト恒例とされるおまけシナリオはというと、正真正銘ただのおまけという程度の薄っぺらな内容だった。

『声優について』

 声は女性のみでしかも1週目はアラミスの声がないものの、演技力はみんな一定以上のレベルで安定していた。そのアラミスにしても2週目からはきちんと聞けるのだけど、初回プレイで彼女の声を外すことの演出意図は残念ながら見当たらなかった。自分なりに考えてみたが、他の女性陣に比べると彼女の技量はちょっとばかり劣っているように感じたので、それが原因だろうかくらいしか思いつかなかった。

『結論』

 深く考えさせられた四章と、ラッテに降りかかる残酷な現実に涙した○○○が見られただけでも個人的には十分満足している。後は、一〜三章のシナリオ及び、キャラ設定をもっと煮詰めていれば、ひょっとしたら記憶に残る名作になり得ていたかもしれない。

 (追記)その後、しばらくしてお店に寄ってみたところ、初回版が新品、中古共に値崩れして大量に陳列されていた(2003年7月8日現在)。過剰に出荷したことと、周りの評価があまり芳しくないことが商品をだぶつかせてしまったのだろう。ただ、個人的には同社の「銀色〜完全版〜」よりは気に入っているので、機会があればやってみてほしいなとは思っている。



【今回プレイしたゲーム】
タイトルメーカー 対応機種発売年度
朱 [-Aka-]ねこねこソフト WIN98/Me/2000/XP2003年


【参考資料】
『ゲーム』
タイトルメーカー 対応機種発売年度
銀色〜完全版〜ねこねこソフト win95、98、Me2001年