ゲッターロボ大決戦!

シミュレーションRPG   バンダイビジュアル

★★★☆☆


   アニメおよび漫画の歴代ゲッターロボがクロスオーバーして活躍するシミュレーションRPG+合体シミュレーター。ゲッターロボのみが登場するスーパーロボット大戦という趣。バンダイ本社ではなく系列会社のバンダイビジュアルからの発売である。同じくバンダイビジュアルから発売されたOVA「真(チェンジ!) ゲッターロボ」展開中に発売され、このOVAからはブラックゲッター(デザインは多少異なる)が登場する。
  ゲームを起動すると最初に再生されるオープニングムービーはOVA並みのクオリティのアニメであり、威勢の良い主題歌と共に否が応にも雰囲気を盛り上げてくれる。タイトル画面のまま放っておくともう一つのOPが再生されるのだが、こちらは3DCGで描かれておりこれまたなかなかクオリティが高い。

  メインマップはヘクス(六角形)ではなくスパロボ同様のスクウェア(四角形)方式。味方と敵がターン毎に行動しあい、勝利条件を満たせばステージクリアー、インターミッションを挟んで次のステージに進むという、SLGとしてはオーソドックスな方式を採用している。ゲームバランスは全体的に少しキツめで、第3次以前のスーパーロボット大戦のレベルに近く、最近のスーパーロボット大戦から入った方は結構難儀するかもしれない。
  マップ画面のグラフィックは結構緻密で、プレステとしては納得のレベル。戦闘時は3Dポリゴンの画面に切り替わるのだが、背景こそ単純であるもののメカのポリゴンはシンプルながらジャギが少なく色々と動いてくれ、結構力が入っていると感じる。またマップ画面から戦闘画面への切り替え時の読み込みも驚くほど速く、ストレスを感じさせないのが凄い。
  ストーリーは各ゲッターシリーズを融合させ、ほぼ初代→G→號→真と続く展開となっている。歴代のゲッターシリーズの登場人物の他に、このゲーム独自のプレーヤーキャラ(好きな名前を入力可)が存在し、プレーヤーの分身として戦いに参加する。男性キャラと女性キャラが選択可能なので、女性のプレーヤーでも安心だ。

  登場メカ、登場キャラは、このゲーム発売時点での歴代ゲッターシリーズからのオールスターキャスト(要するにOVA「真ゲッターロボ」末期と「真ゲッター対ネオゲッター」以外)。スーパーロボット大戦の常連であるゲッターロボ、ゲッターロボG、真ゲッターロボ、テキサスマックだけでなく、スパロボでは何故か毎度黙殺の憂き目にあっているゲッターロボ號も登場。さらに漫画版「ゲッターロボ號」に登場した各国のスーパーロボット軍団に大型移動艦テキサス、漫画版「真ゲッターロボ」でその片鱗を見せたゲッターエンペラー、そしてこのゲームのオリジナルメカとして最強のゲッター真ゲッタードラゴン(OVAのものとは別)、女性ゲッターチームの操るゲッターロボ斬といった多彩なロボットが登場する。他のロボット達がEN(エネルギー)というパラメーターを持っているのに対し、ゲッターシリーズは代わりにGE(ゲッター線)というパラメーターが設定されており、ゲッター線で稼働するという原作設定の再現が図られている。
  パイロットに関してもゲッターチームは他のロボットと異なり乗機の乗り換えが可能になっており、これによりプレーヤーキャラをゲッターに乗せる事もできる。また、このゲームではパイロットは一人一種類づつ特殊能力を所有している。特殊能力は「HP回復」「2回移動」「移動補助」などで、乗り換えによりこの特殊能力を考えた布陣をとる事ができる。ゲーターロボは基本的に3つの形態に変形する事が可能なのだが、それにこのパイロットの特殊能力が合わさって個性を発揮するようになっているのだ。プレーヤーキャラもこの特殊能力を1つ選ぶ事となる。私は1つのマップで1回だけ復活が可能になる「復活」能力をつけたが、どれが最適なのかは不明。ただ「反撃」「逆境」といった受動的な能力や「偵察」といった余りにも補助的な能力は使う機会が少ないのではないかと思う。
  ユニットの武器性能にはわざわざ「海補正」というパラメーターがあり、水中にいる敵に対する補正率が設定されている。当然「海補正」の高い武器を備えているのはゲッター3の系統であり、その為このゲームでは海や川が多いマップではゲッター3系を使う事が多い。この補正率の差は大きく、ゲッター3系と他では水中への攻撃力が段違いである。また、ゲッター3系はスパロボ同様ゲッターの各形態の中で装甲が最も高い為、危機的状況に陥った時ゲッター3に変形して耐え忍ぶという戦術も有効である。
  スパロボでお馴染みの、ゲッター2で地中を移動して奇襲をかけるという戦術は本作でも有効であり、多くのマップで大きな効果を発揮する。ただ、地中に潜ったままではGEが回復しないというデメリットがある為、スパロボと異なりそうそういつも多用するという訳にはいかない。

  スーパーロボット大戦と異なり、本作ではゲッターが圧倒的パワーをもって、敵メカザウルスをちぎっては投げちぎっては投げするという局面は少ない。何も考えずに敵陣に突進すれば、あっさり返り討ちにあいゲームオーバーになるというのがオチである。何故難易度が高いかというと、これはひとえに本作では自軍のゲッターロボと、敵ユニットのメカザウルス、百鬼獣などとの性能差が少ないという事に起因する。こちらのゲッターのHPと敵のザコユニットのHPにそこまでの差はなく、更に攻撃力、防御力もほぼ同程度だったりするのだ。従って敵を攻撃した場合、こちらも敵と同程度のダメージを反撃でくらってしまい(回避する事もあるが)、敵をまともに3体も相手にすると実質的にこちらのゲッターロボは戦闘不能に陥ってしまう。TVシリーズでは1話毎にそれなりに苦労していた敵が集団で出てくる訳だから設定的に正しいと思うが、その為本作のプレイには割と緻密な戦術が求められ、圧倒的な戦力で敵を粉砕するという爽快感とは基本的に無縁な仕様となっている。スーパーロボット大戦的な、強いゲッターを期待していると肩透かしをくってしまうので、そういうものを期待している方はスーパーロボット大戦の方をプレイした方が良いだろう。本作では、ゲッターロボはヒーローであると共に、一つの機械である事が強調されているのである。

   敵とまともに正面からやりあっていては勝ち目が無い訳だが、ではどうすれば良いのか。その疑問への回答は、マップ兵器を駆使する事にある。本作ではゲッタービームなどはマップ兵器として扱われており、一度に複数の敵に大ダメージを与えられるばかりか、敵からの反撃も無いのだ。まず敵を上手くマップ兵器の有効射程に誘い込み(その間は敵の攻撃はひたすら防御した方が良い)、マップ兵器でダメージを与えて敵のHPを減らすのである。こう書くとならばひたすらマップ兵器で攻撃しておれば良いではないかという気がするが、ゲッタービームなどは強力である反面、GE(ゲッターエネルギー)を極端に消費するというデメリットがある。初期段階ではゲッタービームを連射する事は不可能な設定になっているのだ。

   こういう事を踏まえた上で、ゲームクリアへの必勝戦術を解説しよう。それは「逃げながら戦う」というものである。

. まず敵の先鋒と接触し、複数の敵を巻き込みゲッタービームを放つ。

. ゲッタービームをなんとか生き残った敵はトマホークなどの通常攻撃で撃破(HPが減ればトマホーク等でも一撃で破壊可能になる)した後、ひとまず後方に後退。

. 修理ユニットでHPを回復させたりしつつ、GEの回復を待つ。

. ゲッタービームを撃てるようになったら、再び敵に向かって進軍し、1からの手順を繰り返す。

   えらく消極的な戦術と思われるだろうが、これが味方に一機も損害を出さないための基本的戦術である。この戦術の欠点は、GEの回復にやたら時間がかかる点である。GEはENと違い補給コマンドでの回復が不可能な為、自然に回復するのを待つしかないのだ。基本的に本作ではターン制限が無い為じっくりと進軍していても問題無いのであるが、幾つかターン制限のあるステージもありそこでは注意が必要である。まぁ本作の場合、機体が撃破されたからといって後で修理費用を請求されたりするという事はなく(そもそも資金などというものもないし)、単にマップから消失して次のステージまで使えなくなるだけなので、別に無損害クリアに拘る必要は無いのだが。ただ、中には勝利条件が厳しいステージがあり、無謀な突撃だけでは本当にクリアできなくなってしまう局面があるのも事実である。
   ちなみにこのGEの縛りから無縁のゲッターロボが1機だけある。それがゲッターロボ號だ。ゲッターロボ號は原作でも唯一ゲッター線を動力源としていないゲッターであるが、それはこのゲームにおいても唯一GEではなくENで動くゲッターとして再現されている。ENはレディコマンドの持つ補給コマンドで容易に回復可能であり、その為ゲッターロボ號のみは迅速にマップ兵器を連発する事が可能なのだ。ゲッター號の主力武器となるマップ兵器マグフォースサンダーは他機のゲッタービームに比べて威力は劣るものの、連射性が高いというメリットは何物にも変えがたい。はっきり言って、このゲーム最強のゲッターはゲッターロボ號であると言って過言ではない。ゲッター號無しでは中盤戦において大苦戦は必至である。
  さらにもう一つ勝利を確実にする戦術を解説しよう。ゲームが進むにつれ初代ゲッターロボはパイロット人数の関係から出番がなくなってくるのだが、それに伴いゲッターのパイロットが1人余るという状態が現出する。その時、ベアー号に「補修」の特殊能力を持つ大道 凱を乗せるのである。補修ユニットは終始一機でも多く欲しい戦況なのだが、これによりそこそこの移動力を持った(空飛んでるからね)補修ユニットが完成する。さらに通常、補修コマンドを使用した場合一定の割合でENを消費してしまいENが尽きたら補修不能になってしまうのだが、ベアー号はゲットマシンの為ENではなくGEを消費して補修する事となる。GEはほっておけば自然に回復していく為ベアー号への補給は不要であり、何度でも無限に補修可能な補修ユニットが完成するのだ。また、ゲットマシンの中でわざわざベアー号を乗機とするのにも理由がある。ベアー号は他の2機より防御力が高い事に加え、武装である大型ミサイルの海補正が高い。海補正が低いユニットが多くイマイチ海中の敵に打撃を与えられない場合でも、この補修用ベアー号が出張っていって攻撃すると思いの他ダメージを与える事が出来たりするのである。

  もう一つの目玉である「合体シミュレーター」は3Dのフライトシュミュレーター的なもので、これをクリアーしていかないとプレイヤーが搭乗出来るゲッターの機種が制限されてしまう。たが幸いな事に、こちらはそれほど難易度が高くない。進むにつれて難易度は上がっていくが、アクションゲームが下手な方でも充分クリア可能なレベルだと思う。この合体シミュレーターはなかなか面白く、これをインターミッションに組み込んだ演出は非常に良いと感じる。

  ストーリーは原作の良いところを合わせて構成されており、学校を制圧している隼人や、ドラゴンタートル対テキサスなどゲッターファンならニヤリとする演出が続出。難易度がキツめなだけに、ステージクリア時の感慨もひとしおな事が多い。ただ、ラスト付近のゲッターエンペラー登場あたりから少し説明不足で駆け足な展開になってしまい、感情移入を妨げてしまっているのがいささか残念である。私のプレイでは、最期まで説明書に記載されている「スーパーゲッター號」が出てこなかった為、ステージ選択による分岐は一部あると思われる。(先に橘研究所を助けに行く必要があるのか?)

  現在廉価版が発売されており、比較的容易に入手可能。ゲッターファンなら購入して損はないかと。


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