無限のリヴァイアス

1999年放映


   1999年秋〜2000年春までTV東京系で放送された、サンライズ製作のSFアニメ。
  ある日突然太陽から「ゲトゥルドの海」なる高圧高エネルギーが、公転軌道上に放出されそのまま太陽系全域に停滞。人類はそのゲトゥルドの海の豊富なエネルギーを利用して宇宙開発を進める事ができたが、やがては地球自体がゲトゥルドの海に飲み込まれてしまう運命という未来が舞台。

  エヴァンゲリオン以降SFアニメは多数製作されたが、この「無限のリヴァイアス」はその中でも傑作の部類に入ると考える。何より、しっかり完結しているのが良い。もちろん、ストーリーや設定の雰囲気など、非常にエヴァンゲリオンの影響を強く受けている作品ではある。
  ゲトゥルドの海や、通常の宇宙船では進入不可能なその海に潜行できる可潜艦リヴァイアスや、謎のロボット兵器ヴァイタル・ガーターなど、SF的見所が多い。そういったSF設定に関しての解説はあまり劇中ではなされず、殆どをアニメ誌の解説に頼っており、その手のマニア向けアニメの悪癖は改善されぬままであったのはいささか残念な点だ。だが、物語においてメカニックは重要な位置を占めつつも、あくまでメインは主人公相葉昂治や弟の祐希達のおりなす人間ドラマである。
  放送当初は同じサンライズ製作の「銀河漂流バイファム」同様、少年達が力を合わせて苦難を乗り切る「15少年漂流記」をモチーフとしているのではないかと言われていたが、実際は少年達が互いに殺しあう「蝿の王」をモチーフとしているのが物語が進むに連れて判明する。もっとも、「蝿の王」ほど残酷な展開ではないのであるが。しかしながら「15少年漂流記」ほど楽な話という訳でもない。
  リヴァイアスの物語では、閉鎖空間に置かれた集団における権力争いや、心理描写などドロドロした部分までも描写しており、それがこの作品の非常に魅力的な部分である。このドロドロとした心理描写は、Ζガンダムなどに散見される一般人には理解不能の電波的心理描写ではなく、あくまで学校生活を体験してきた人間ならば、殆どが共感出来る内容なのが素晴らしい。ストーリーの展開も秀逸で、最後の方になっても結末がイマイチ予想出来ず、リアルタイムで観ていてワクワクさせられた。それでいて、最後には全ての風呂敷を畳み切ったのだから感服する他無い。もっとも、大事件の割には死人が少ないとか、あの状態で半年も航行していたんだから妊娠ラッシュがおきるんじゃないかとか(笑)、多少突っ込みどころはある訳だが。

  この作品で特に気に入っているのは、物語事件の解決において決定的な役割を果たしたのが主人公ではなく、主人公とは全く繋がりの無い、ストーリーラインにおいては全くの脇役であった、良心に目覚めた一人の官僚であった事であろう。主人公は最終局面において暴君と化した親友の説得などを行っているが、それは別に事件の決定的解決に繋がる行為ではないのである。これは劇中のリヴァイアスをめぐる政治的状況と艦内のゴタゴタが分離されていた結果であり、むやみやたらと主人公をヒーロー化させないという点で好感触である。この手の作品だと主人公のヒーロー性が強すぎ、何でもかんでも主人公が解決してしまうという展開が多いが、本作ではあくまで平凡な一般人の主人公という描写を貫き、スーパーヒーロー的展開を回避したのは見事という他ない。終始主人公はリヴァイアスで逃避行を続けつつも、事件の元凶である政府関係を叩くために地球殴り込み作戦を立案したりはせず、ずっと大局的には受身の態勢であった。戦略的には別にこれといった事をしていない為、件の官僚が良心に目覚めて上司を告発しなかったらリヴァイアスの子供一同は命が無かった可能性が高い。これはリヴァイアスに先んじて放送された、「ウルトラマンダイナ」の最終回に共通するメッセージ性である。ダイナの最終回では、主人公であるダイナは仲間達と共にラスボスを倒しつつも、そのラスボスの消滅に飲み込まれて死亡生死不明になってしまうのであるが、これと同じ「いつもいつもそうそう上手くいく訳ないだろ!」というメッセージが感じられる。これはマンネリ化していたアニメ・特撮のストーリー展開に警鐘を鳴らす行為であったと言えるではないだろうか。


  本作の様な最後まで先の読めない展開を続ける、新たなアニメの登場を願って止まない。


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