有限会社 地球防衛隊

シミュレーションゲーム  メディアリング  ★★★☆☆


  保険企業が所有する巨大ロボットを操り、人命救助やテロリスト退治に邁進するというシミュレーションゲーム。監修・演出・タイトル文字を実相寺 昭雄(「ウルトラマン」「帝都物語」監督)が、メカニック・美術設定を小林 誠(「機動戦士Ζガンダム」のジ・オ等のデザイナー)が手掛け、その為か空想科学シミュレーションゲームという肩書きが付いている。
  後年放送されたアニメ「地球防衛企業ダイガード」と似たテイストの作品で、現在では1500円の廉価版が発売中。

  中堅保険会社の子会社として、親会社がカバーする災害の損害を未然に防ぐ為設立されたのが“特殊救難救助隊”「有限会社 地球防衛隊」である。しかし、今一つ設備や人材に不安の残る状況であり、そんな中で親会社に課せられたノルマ達成のためのテコ入れとして、アイドル班の設立と巨大ロボットの運用が決定され、プレーヤーがそのアイドル班の責任者に任じられたというのが冒頭のストーリー。アイドル班および巨大ロボット「ディダクティ」により防衛隊のPRをし、なおかつコンサート等によって収入も得てしまおうというのである。

  アイドル班とはまた突飛なと思うが、ギャルゲーマーを取り込もうという魂胆なのだろうか(笑)。という訳で、ギャルゲーらしくデートとか恋愛といった要素もある。
  ゲームは、育成とミッションとに分かれている。育成部分でキャラクターを訓練したりして育成し、コンサートで収入を得、ミッションで救助活動を行うのを繰り返していくのが大まかなゲームの流れ。
  初めはアイドル班の女の子は数人しか居ないが、ゲームを進めていくうちに他の部署から引き抜いたり新規採用する事により、最終的には7に増える。しかしながら、集めていく過程の時点で戦績が悪かったりすると、将来性がヤバイ企業と考えられ加わってくれない女の子もいたりするのが面白い。(笑)

  ただ、訓練部分でどうにもキャラクターのパラメーターが上がり難い気が……まぁ現実に考えれば以前から鍛えていた人間にホイホイと追いつくという方が非現実的なんでリアリティを優先したのかもしれませんが、しかし……。どうもラストシーンで主役を張るのは好感度が一番高いキャラらしいのじゃが、そのキャラの戦闘能力が必ずしも高い場合ばかりでは無い訳で。やり方によっては、かなり苦しい戦いを強いられる場合もある模様。


  ミッションのマップはクオータービューでスクウェアに区切られており、フロントミッションとかサクラ大戦とかスパロボαみたいな感じ。操作性などに取り立てて問題は無い。
プレーヤーが操るものにはアイドル班の乗る巨大ロボット「ディダクティ」の他に、実動班の装甲車やトラクターというものがある。本作ではリアリティ重視という事で、巨大ロボットは基本的に高性能のクレーン車の様に運用される事が多く、どちらかというと、ロボットの活躍する場面より通常の実動部隊の方が活躍する場面は多い。

  強力な敵に対しては、煙幕を効果的に使っていきたい。このゲームにおいては何故か煙幕が張られたマスは進入不可能となる為、煙幕により壁を作ったりして敵の行動を制限する事が可能。この為最終決戦においても、煙幕を駆使する事によりザコは実動部隊だけで排除可能である。
  分岐はあるのかは細かく調べていないので不明だが、ミッション中に選択肢のあるステージは存在した。


  小林 誠による本作のメカデザインはなかなか良い感じで、メーサー砲へのオマージュである高圧放電車など私は気に入っている。

  小林誠デザインによる主役ロボット「ディダクティ」は、ガンダム的なトリコロールカラーで、顔もガンダム顔だが、ムービーシーンのアップでは全身にビスが打たれている事が判るなど無骨なイメージ。1號機はいかにも着膨れしたハリボテという感じだが、2號機、3號機となるにつれてよりガンダム的に洗練されたデザインとなっていく。基本的にガンダム的なリアルロボット志向のデザインな訳で、ここら辺がスーパーロボット準拠のタ゜イガードと異なるところ。当初のうちはこの巨大ロボットは殆ど飾りであり、メインの救助には装甲車だのトラクターだのといった普通の乗り物を使用する。しかしディダクティもじょじょに改良が加えられていき、2號機、3號機とより過激な任務に耐えられる機体へとステップアップしていくのが、このゲームにおけるロボットの魅力の一つである。
  設定におては、1號機の外装は強化プラスチック&木材(笑)、2號機の外装は強化プラスチック&アルミ合金、3號機はチタン合金&ケプラーの複合装甲となっている。

  ムービーシーンはあんまり多くないが、その分ミッションのシナリオはバラエティに富んでいる。
  キャラクターの音声は一部出力されるが、声優が聞いたことの無い人ばかりなんで、大丈夫か?というものも。実相時、小林両氏を招聘した事により資金が足りなくなったのか?(汗)
  正直アイドル班というオタク媚び媚びの設定には引くものがあるが、ゲーム自体はなかなか良作。どちらかというと、アイドル班よりも一般部隊のあんちゃん達の方に愛着が湧いてくる様な。ロボットの活躍シーンよりも実動班の活躍シーンの方が多いので、実は制作スタッフ側もこちらの方を注目して欲しいのかも。

  人命救助優先のミツションなど、他のゲームにはない魅力が多い作品である。雪を除雪したりとか良いねぇ。ストーリー自体も最後の盛り上がり具合など、オーソドックスながらなかなか良かったと思う。廉価版の価格ならば十分過ぎる内容と言えよう。

  このゲーム、そしてダイガードと似たコンセプトの作品が続いた時は、このまま防衛企業モノというジャンルが定着するのでは? と思ったが、う〜む、やはり次が続かないか〜。第3の防衛企業モノの登場に期待したいところ。


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