Afgha.com より
獅子よ安らかに眠れ。愛しの大地アフガニスタンに。 追悼 アハマッド・シャー・マスード司令官 |
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アフガニスタンの英雄アハマッド・シャー・マスード。ソ連軍との戦いで「パンジシールの獅子」と恐れられた希代の名将は、反タリバン連合救国イスラム統一戦線(北部同盟)最高司令官として、パキスタンの傀儡政権であるタリバンと激しい戦いを繰り広げた。その軍事的才能だけでなく、人柄の良さからも彼は多くの人々に敬愛された。アフガニスタン人による自由で平和な祖国の建設、それが彼の願いであった。 しかし、2001年9月9日、ジャーナリストを装った自爆テロにより彼は倒れる。アメリカ同時テロ事件の2日前のことであった。彼の暗殺の背後にビンラディンの影があり、米テロ事件と密接な関係にある事は疑いない。 混沌とするアフガン情勢、今こそ彼の力が必要とされただけに、その死は大きい。だが、彼の志は彼の地の人々に受け継がれ、決して途絶えることはないだろう。 タリバン政権が崩壊しアルカイダも大打撃を受け、20年の長きにわたり戦いの絶えなかったアフガンにも、ようやく平和が訪れたかに見える。新たな平和への第一歩となるべきアフガン暫定政権発足式典、壇上にはマスード司令官の大きな遺影が掲げられた。彼は死してアフガニスタン統一の象徴となったのだろう。 彼の生き様は、英雄とは決して歴史上の幻想では無い事を我々に教えてくれた。マスードが暗殺されてから2年が過ぎたが、アフガニスタンが平和で自由な国になる事を祈りつつ、今後の情勢を見守っていきたい。 |
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参考文献
マスードの戦い | 文庫本 | 長倉洋海 著 640円 河出文庫 |
アフガン戦争において、マスードと行動を共に過ごした時のルポ。 |
フォト・ジャーナリストの目 | 新書 | 長倉洋海 著 700円 岩波新書 |
エル・サルバドル、フィリピン、パレスチナ、そしてアフガニスタンの話。 内容的に「マスードの戦い」の続きに当たる。 |
マスード 愛しの大地アフガン | 写真集 | 長倉洋海 著 2800円 河出書房新社 |
アフガン戦争渦中から、首都カブール入城による戦争終結までの記録。 |
獅子の大地 | 写真集 | 長倉洋海 著 3500円 平凡社 |
カブール入城によるアフガン戦争終結から、ムジャヒディン同士の内戦、タリバンの勃興、 カブール撤退により再びパンジシールへ、そして北部同盟結成によるタリバンとの戦いを記録。 |
アフガニスタン 敗れざる魂 ―マスードが命を賭けた国― |
単行本 | 長倉洋海 著 1500円 新潮社 |
これまでの総まとめ的な内容と、マスード死後の2001年秋にアフガニスタンを取材時のレポート、東京での復興会議の周辺模様など。 |
獅子よ瞑れ―アフガン1980‐2002 | 写真集 | 長倉洋海 著 4700円 河出書房新社 |
長倉氏のマスード関連の最新の著作。これまでの写真集の総まとめ+αという感じの内容。4700円するだけあって、かなり装丁が凝っている。今までの長倉氏の著作で登場したイスラム戦士(詩人戦士のカリル氏とか)の写真も収録。 |
アフガニスタンの悲劇 現地潜入した日本人ジャーナリストの涙の真実 |
単行本 | 佐藤和孝 著 1200円 角川書店 |
著者は、一連のテロ事件時に唯一アフガニスタンに居合わせた邦人ジャーナリスト。 著者が現地に居て北部同盟上層部とのパイプもあった為、マスード司令官暗殺からその後の状況について一番詳しい。 |
タリバン ―イスラム原理主義の戦士たち― |
単行本 | アハメド・ラシッド 著 2800円 講談社 |
アフガニスタン研究の為の定番書籍。マスード関連の話も内包しています。まずはこの本でアフガン問題の全体像を把握しましょう。 |
アフガニスタン史 | 単行本 | 前田耕作・山根聡 著 2000円 河出書房新社 |
アフガニスタンの古代から現代までの通史で、歴史的経緯がよく理解できる。マスードを好意的に扱っている印象。 |