人類が宇宙に移民を開始してから200年、地球圏をゆるがしたザンスカール戦争(Vガンダム)から50年の年月が経過していた。
  地球連邦政府は相変わらず存続しており、地球の居住権を持つものは一部の特権階級という点は変わっておらず、地球と宇宙市民の差別は続いていた。さらに悪い事に、かつては快適な環境と言われたスペースコロニーも、スラム化し荒廃したコロニーが増加していた。

  相変わらず宇宙市民の生活を省みず、地球の汚染を進める連邦政府に対し、再び反地球連邦の機運が上昇。その機運は次第に、かつてのジオン系の組織を母体にUC.0155年に活動を開始した反地球連邦組織「メタトロン」に結集されていく。スペースノイド寄りの連邦軍人も加入し、メタトロンはかつてのエゥーゴ(Ζガンダム)の様な組織として勢力を拡大していった。
  その頃、宇宙世紀0090年代(逆襲のシャア)から“人狩り部隊”として地球上の不法居住者摘発に活躍していた連邦軍内の秘密警察マハ(MHA=マン・ハンティング部局)が、強力な指導者ビジャン・ダーゴル大佐の下、ある種の選民思想に基づく私兵集団として台頭してきた。かつてのティターンズ(Ζガンダム)のように……。
UC.0197年に連邦政府はマハの組織と権限の拡大を承認。マハは地球上の不法居住者摘発および反連邦組織への弾圧を強化。これに対しメタトロンも戦力を増強し、メタトロン対マハという図式が浮かび上がってきたのである。

  UC.0203年、マハはメタトロンの大弾圧を開始。マハの最初の標的となったのは、メタトロンの本拠地であるサイド2のスペースコロニー・ヘラス。マハはマンマシーンと呼ばれる、かつてのモビルスーツの発展型である人型機動兵器を使い、ヘラスに奇襲攻撃を掛けた。マハの圧倒的戦力の前にメタトロンは沈黙。しかし、メタトロンも完全に息の根を止められた訳ではなく、メンバーの多くは摘発を逃れ、ヘラスから脱出していった……。

  赤い彗星と呼ばれたモビルスーツのパイロット、シャア・アズナブル。一年戦争・グリプス戦役の英雄であり、また第2次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)においてはスペースノイドの独立を掲げて連邦政府に反旗を翻した、スペースコロニー独立運動の英雄であった男。メタトロンの母体となったネオ・ジオンの残党は、ザンスカール戦争(Vガンダム)直前のUC.0152年、「シャア存続計画」を発動していた。保存していたシャアの記憶をセルチップ化し、それをシャアの血を引く赤子の脳に移植し、シャアの記憶を持つ人間“メモリークローン”を生み出そうとしていたのである。UC.0184年、メタトロンは専門部局となったシャア・コンテニュー・オペレーションの手により、シャアのメモリークローンを秘密裏に地球の南太平洋の自然保護地区に移送、アフランシ・シャアと命名した。


  UC.0203年の大弾圧により、メタトロンはアフランシ・シャアを迎え入れる事を決定。マドラス船長率いる宇宙船スパシアス号のクルーを地球に派遣した。しかし、ダーゴル大佐もシャア存続計画の機密文書を入手。ウル・ウリアン少尉をアフランシ拘束のため派遣した。シャア・アズナブルを現代に蘇らせようとするメタトロンと、それを阻止しようとするマハにより、アフランシの運命は激しく動いていく。UC.0203年、赤い彗星再び。



メタトロン機関

  かつてシャアが率いたネオ・ジオンの残党組織(原作では「ズィー・ジオン」と呼称)を母体とし、様々な反連邦組織が結集してザンスカール戦争(Vガンダム)の直後のUC.0155年に活動を開始した組織。親スペースノイドの連邦軍人などが加入し、組織は拡大。マハの先鋭化に対抗して軍備を拡張し、マンマシーンだけでなく戦艦も建造。ヘラス陥落直後のUC.0203年3月31日に、総旗艦である戦艦マザー・メタトロンが進宙している。
かつてグリプス戦争・ハマーン戦争で活躍したエゥーゴ(Ζガンダム)に似た組織であり、下はボランティア団体的なものから上は宇宙艦隊まで様々な形態を持つ。目的はこれまたエゥーゴと同様、スペースコロニーの独立と地球の環境の回復である。ネオ・ジオンの残党が母体ではあるが、かつてシャアが行った様な隕石落としなどの地球環境を破壊する作戦は、地球環境回復という大義に反するため行わない。
UC.0203年時最大の反連邦組織であるが、大部分の構成員は給料をもらうのが目的であり、失業者対策の秘密組織としう側面も強い。しかし、その様に多量の失業者を輩出するコロニーの現状を憂い、何とかしようという志を持つメンバーも多いのも事実である。

  メタトロンの切り札がシャア存続計画である。スペースコロニー独立運動の英雄であるシャア・アズナブルを復活させ、メタトロンのリーダーとして迎え入れ、反連邦政府のシンボルとしようというのだ。

  UC.0203年の実質的な指導者は、元連邦軍人である「アザリア・パリッシュ提督」。総旗艦は新鋭の巡洋型戦艦マザー・メタトロンである。
  アフランシ・シャアをリーダーとして迎え入れた後は、総帥アフランシ・シャアの下に、パリッシュ提督率いるマザー・メタトロン以下の宇宙艦隊、各コロニーのメタトロン組織、ユーロ・メタトロンなどの地球のメタトロン組織、そしてシャア・コンテニュー・オペレーションが入るという構成になる。
伝説的活動家として「ジャック・ブルーム」という人物が知られているが、ここ10年来は消息不明となっている。

  マンマシーンは、総帥専用機「ギイア・ギアα」、指揮官等が使用する高級機「ゾーリン・ソール」、汎用量産機「ドハディ」、ガイアギアの量産型「ガイヤス」を保有する。全体的に連邦系MSのデザインを継承しており、特にガイア・ギアとゾーリンソールに至っては、伝説的モビルスーツ「ガンダム」に酷似している。独立運動の英雄シャア・アズナブルだけでなく、連邦軍においても異端であったガンダムの魂も受け継ごうという意思の現れであろう。


マハ(地球連邦軍マン・ハンティング部局)

  マハは、地球上の居住許可を持たない不法居住者を摘発するために、連邦政府が組織した秘密警察である。マハの歴史は古く、UC.0090年代には活発に活動していた。UC.0150年頃になると、マハの不法居住者摘発もかなり甘いものになっていたが、ビジャン・ダーゴル大佐が指導者となるとともに、再び不法居住者摘発は活発化する事となった。
ダーゴル大佐の下でマハは「選ばれたエリートによる地球環境回復」というある種の選民思想を掲げ急速に組織を拡大し、連邦軍内でも特殊な独立した軍事組織として台頭。現在では半ば公然とダーゴル大佐の私兵集団と化している。地球の不法居住者摘発という本来の権限を越え、宇宙でも勢力を拡大。宇宙および地球の反連邦組織の弾圧にも着手し、独自の宇宙艦隊やマンマシーンを配備するまでに至った。その形態はかつてのティターンズ(Ζガンダム)を彷彿とさせるものであるが、ダーゴル大佐自身はまっとうな理想を掲げているのが大幅に趣きを異にする点である。とは言え、ダーゴル大佐は紳士であるものの、その部下には野心家肌の人物が多くみられ、しばしば過激な行動をとる。中には、どう考えてもダーゴル大佐の理想を曲解しているとしか言えないメンバーも居るのだ。

  無能な連邦政府は、この様なマハの勢力拡大を唯々諾々と許している状況である。UC.0197年、連邦政府はマハの組織と権限拡大を承認。地球上の不法居住者摘発を強化した。

  UC.0203年、マハはメタトロンへの大弾圧を開始し、メタトロンの拠点であったサイド2・ヘラスに進駐。以後このコロニーを宇宙での活動の本拠地とした。それに伴い組織を再編し、以後は宇宙のマハ組織を「スペース・マハ」と呼び、地球上のマハ組織を「ホンコン・マハ」など拠点ごとに呼称することにより区別する事となった。

  組織図としては地球連邦政府を頂点に、その下に連邦軍、その内部の諜報部門/秘密警察の一部局として“人狩り部門”マハが存在する訳だが、現在のマハはかつてのティターンズのごとく連邦正規軍を凌ぐほどの権力を有している。マハのリーダーがビジャン・ダーゴル大佐であり、彼の下に宇宙艦隊と各コロニーのマハ組織からなる「スペース・マハ」、およびホンコン・マハなど地上のマハ組織がつく形となっている。

  地球連邦軍のバックアップを受けられるため、その戦力は強大である。

  宇宙艦隊には、クエゼリン級巡洋艦、宇宙空母などの他に総旗艦である新鋭戦艦マハ・ゲイジスを保有している。

  マンマシーンには、連邦軍でも使用されている量産機「ガウッサ」の他に、スペース・マハが開発した「ブロンテクスター」、ホンコン・マハが地上の工廠で開発した「ギッズ・ギース」といった新鋭MMを保有している。

  ダーゴル大佐は、マハを中心とした選ばれた人間だけが地球に戻り、地球環境の回復に手を貸す事を目的としており、そのために「地球逆移民計画」を推進する。「地球逆移民計画」は連邦政府の承認を得、遂に実行の時がきた……。


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